【識者の眼】「コロナワクチンの供給と優先順位」岡本悦司

ナースぷらす 編集部からのコメント

世界経済がコロナ禍で停滞していますが、ニューヨークでも東京でも「株価が最高値更新」という奇妙な現象が見られたそうです。株価は近未来への期待を反映するとしたら、やっぱりその期待とは「コロナワクチン」の誕生に関するモノでしょう。ピンチはチャンスなのかも知れません。

今回の日本医事新報【識者の眼】では岡本悦司氏(福知山公立大学地域経営学部長)が、昨年12月に米国FDAが緊急使用許可を出したファイザー社のワクチン、モデルナ社ワクチンについて詳細に説明。そして「免疫の持続期間」「変異型ウイルスの出現」と2つの事象に懸念を表明しています。ぜひ、お読みください。

世界経済がコロナ禍で停滞するなか、年末にはニューヨークでも東京でも株価が最高値を更新するという奇妙な現象が見られた。株価は近未来への期待を反映するとしたら、その期待とはコロナワクチンであろう。

12月11日米国FDAはファイザー社のワクチン(BNT162b2)に最初の緊急使用許可を出し、ついで18日にはモデルナ社ワクチン(mRNA-1273)にも許可を出した。

翌19日には予防接種諮問委員会(ACIP)が、モデルナ社ワクチンの評価結果を公表したが、その結果は極めて有望なもので、2回接種(筋肉注射)後2カ月間の発症予防効果は94.1%とされている。

株価の急騰は、投資家の関心が、ワクチンの開発から、その生産と供給に移ってきた、と見ることができる。

フル稼働で生産したとしても、初期においては、需要が供給をはるかに上回るのは確実で、接種の優先順位が問題となるが、ACIPは対象者と優先順位、そして大まかな推計をこのほど公表した。

それによると全員にゆきわたるまでを4期に分け、下図のようにそれぞれの段階で接種すべき対象者がリストアップされている。

米国では既に1a期の接種が始まっているが、1月2日現在1307万1925本(221万7025本)が供給され、422万5756人(28万2740人)が第1回接種を受けた(カッコ内は介護施設入所者分で内数)。

それでも1a期の目標2400万人にはまだ及ばないようだ。

コロナもいよいよ克服か、と希望を抱かせるニュースだが、筆者としては2つばかり懸念を表明したい。

ひとつは免疫の持続期間である。感染後に作られた抗体が短期間で消失する、という報告もあり、ワクチンについても効果が永続するかはまだわかっていない(ACIPが評価したのは接種後2カ月間のみ)。

そしてもうひとつは変異型ウイルスの出現である。ワクチン開発は朗報でも、それは忍者のように変化(へんげ)するウイルスと人類とのエンドレスバトルの始まりにすぎないのかもしれない。

参考文献

岡本悦司(福知山公立大学地域経営学部長)[新型コロナウイルス感染症]

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