【識者の眼】「COVID-19は後遺症の病態解明も課題」片岡仁美

ナースぷらす 編集部からのコメント

新型コロナウイルス感染症がさらに拡大するなか、その罹患後に数週間が経っても症状が改善しない・残存する場合があることが指摘されています。今回のWeb医事新報【識者の眼】では片岡仁美氏(岡山大学病院ダイバーシティ推進センター教授、総合内科・総合診療科)が「COVID-19は後遺症の病態解明も課題」と題して寄稿。2021年2月より岡山大学病院の総合内科・総合診療科内に「コロナ・アフターケア(CAC)外来」を開設する中、新型コロナ罹患後に5割を超える方が全身倦怠感を訴えているなどの実状を記しています。ぜひ、お読みください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染がさらに拡大するなか、COVID-19罹患後の後遺症についても注目されるようになっている。COVID-19罹患後に数週間経っても症状が改善しない・残存する場合があることが指摘されており、Long COVID、Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 infection(PASC)などのタームが用いられている。我が国からはMiyazato先生らが63名のCOVID-19感染後の患者の追跡調査を行い、初期症状の出現から120日後においても咳(6.3%)、倦怠感(9.5%)、嗅覚異常(9.7%)などが認められること、脱毛が1〜4カ月後に24.1%に認められることを報告している1)。COVID-19罹患後の遷延する症状については世界各国から報告がなされているが、中国からの報告では76%の患者において退院6カ月後においても何らかの症状が存在し、倦怠感や筋力低下は63%の患者で認められたとされている2)。

従来、感染症罹患後に急性症状は治まったにもかかわらず倦怠感が続く「感染症罹患後疲労症候群」という概念が報告され、1980年代にはEBウイルスやエンテロウイルス感染後の症候群として報告された。ウイルス・細菌を含む様々な感染症により引き起こされるとされ、その一部が筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に移行するとも考えられている。COVID-19罹患後の後遺症の症状は多岐にわたるが、著しい倦怠感が続く場合、感染症罹患後疲労症候群やME/CFSの病態への移行についても念頭に置く必要があろう。

岡山大学病院では本年2月15日に総合内科・総合診療科内に「コロナ・アフターケア(CAC)外来」を開設した。全身倦怠感、嗅覚・味覚障害、頭痛、呼吸困難など複数の症状に対して同時にアプローチすること、かつ心理・社会的背景までアプローチする包括的診療を目指している。5月10日までに20名以上が受診されており、その主訴は多岐にわたるが、全身倦怠感を訴える方は5割を超える。CAC外来では総合内科・総合診療科の医師が診療を担当するが、漢方外来、精神科、耳鼻科、皮膚科など他科との緊密な連携をとりながら全人的な診療を行っている。COVID-19は、急性期のみならずその後遺症についてもさらなる病態の解明が待たれる。〈5月28日〉

【文献】

1)Miyazato Y, et al:Open Forum Infect Dis. 2020;7(11):ofaa507.

2)Huang C, et a:Lancet. 2021;397(10270):220-32.

片岡仁美(岡山大学病院ダイバーシティ推進センター教授、総合内科・総合診療科)[新型コロナウイルス感染症]

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