初診含めたオンライン診療が恒久化へ~電話診療と区別、診療報酬の設定が焦点【まとめてみました】

ナースぷらす 編集部からのコメント

菅首相が就任会見で「オンライン診療の恒久化」を表明したことを受け、関係閣僚が10月8日に会合を開き、「初診を含め原則解禁」という方針で合意。オンライン診療を巡る動きが活発化しています。
政府の規制改革推進会議も新型コロナウイルス感染症拡大防止と新たな生活様式に向けた規制改革という観点から、当面の審議事項にオンライン診療・服薬指導の「時限的措置の恒久化」を盛り込みました。日本医事新報社では、これまでの議論を振り返りつつ、菅政権が目玉政策の1つとして打ち出し注目を集めているオンライン診療の行方を探っています。

オンライン診療を巡る動きが活発化している。菅義緯首相が就任会見で「オンライン診療の恒久化」を表明したことを受け、関係閣僚が10月8日に会合を開き、「初診を含め原則解禁」という方針で合意。政府の規制改革推進会議も新型コロナウイルス感染症拡大防止と新たな生活様式に向けた規制改革という観点から、当面の審議事項にオンライン診療・服薬指導の「時限的措置の恒久化」を盛り込んだ。これまでの議論を振り返りつつ、菅政権が目玉政策の1つとして打ち出し注目を集めるオンライン診療の行方を探る。


 

オンライン診療の政府方針・運用を巡る経緯をまとめたのが

オンライン診療は「情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為」と定義される遠隔医療のうち、医師–患者間の医療行為を指す。遠隔医療が初めて認められたのは1997年。情報通信機器の発達や普及などを受け、旧厚生省が「離島・僻地の患者」「特定の慢性疾患の患者」「原則初診対面」という条件を満たす場合、医師法の「無診察診療」に該当しないという見解を示した。

状況が大きく動いたのは2015年8月。1997年の遠隔診療に付けられた条件は例示にすぎず、条件に該当しない患者に対しても医師の判断のもと遠隔診療を行うことは問題ない、という事務連絡を厚労省が発出した。

この事務連絡が、実質的な“オンライン診療解禁”と受け止められたことで、オンライン診療サービスを提供する事業者が増加。規制緩和や医療分野のICT活用の重要性から保険適用に向けた議論が進み、2018年度診療報酬改定で「オンライン診療料」が新設された。

■3閣僚が「原則解禁」で合意

18年度改定で保険適用されたオンライン診療だが、診療報酬が対面に比べ3割以上低い上に対象疾患や、オンライン診療を始めるまでに必要な対面診療期間などの算定要件が厳しく、ほとんど普及が進まなかった。続く2020年度改定で、対象疾患に慢性頭痛を追加、事前対面診療期間の3カ月間への短縮などの見直しが行われたところに、新型コロナ感染症のパンデミックが発生し状況が一変。患者が医療機関に殺到することで必要な医療が提供されなくなる医療崩壊や院内感染を防ぐための有効な手段としてオンライン診療の活用に期待が集まった。

厚労省は4月10日、初診時も含めオンライン診療・電話診療を時限的に容認することを決め、事務連絡を発出。電話や情報通信機器を用いて初診患者を診療した場合に算定する「電話等を用いた初診料」が新設、受診歴のない初診患者の初診料算定が可能になり、現在もこの運用は続いている。

9月の菅政権発足で、再びオンライン診療は注目を集めることになった。菅首相が就任会見で「オンライン診療の恒久化」に言及したことを受け、田村憲久厚労相、河野太郎規制改革担当相、平井卓也デジタル改革担当相の3閣僚は10月8日、初診を含めたオンライン診療の原則解禁で合意。田村厚労相は、「安全性と信頼性の確保」を前提に具体的な制度設計の検討を急ぐ意向だ。

■オンライン診療システムの普及は「数%」

新たな診療形態として認められる方向になったオンライン診療。現在はどの程度普及しているのだろうか。オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を提供するメドレーの豊田剛一郎代表取締役医師によれば、「4月の事務連絡以降、契約件数が急増し、4月は2月の約10倍になった」という。ただ今回の時限的・特例的措置は電話やFAXなどオンライン診療システムを使用しない形でも可能なため、システムの普及は「まだクリニック全体の数パーセント程度」(豊田氏)にとどまっている状況だ。

これを裏づけるようなデータが図1図2。東京・板橋区医師会が4月から5月にかけて実施したアンケートでは、電話や情報通信機器を用いた診療の実施率は51.5%。映像を用いたオンライン診療の実施率は4.2%となっている。電話や情報通信機器を用いた診療を実施していない医療機関に今後導入する意向を尋ねた質問で「ある」と回答したのは8.8%、「検討中」が28.7%、「ない」が28.7%だった。

<電話や情報通信機器を用いた診療の実施率>

<今後の導入の意思(電話、オンライン診療をしていない医療機関)>

■導入のメリット感じられる報酬設定がカギ

3閣僚合意で注目すべきは、映像を用いたオンライン診療と電話診療を区別し、初診はオンライン診療を原則とする方針を打ち出している点。田村厚労相はこの理由について「(医師が)より多くの情報を得るためには映像の方が安全」と説明している。

従来、オンライン診療は電話診療より診療報酬が低かった。今回の時限的・特例的措置で同額に揃えられたが、オンライン診療システムの導入や運用には初期費用、保守料がかかり、現状でも医療機関があえて導入するメリットを感じにくい。新たな診療形態として普及を図るには、映像を用いたオンライン診療の特性を踏まえ、コストに見合う診療報酬が設定されるかが1つの重要なポイントとなる。

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