• 2021年6月9日
  • 2021年11月16日

患者さんからの質問にうまく答えられず悩んでいる方へ

 

患者さんから質問されたとき、うまく答えられずに悩んだことはありませんか? でも、答えられないからといって、そのままにするわけにもいきませんよね……。そこで今回は、患者さんの質問に対する「上手なアドバイスのコツ」についてご紹介します。「上手に説明できない場合」と「そもそも答えがわからない場合」にわけて解説していくので、ぜひ参考にしてください。

上手に説明できないことで悩む場合

上手に説明できない人の課題としてあげられるのが、「起承転結を重視しすぎる」ということ。それによって、ダラダラと長く説明してしまったり、まとまりがなく結果的に自分でも何が言いたいのかわからなくなってしまったりするのです。

そんな人におすすめしたいのが、【①結論を先に述べる】というやり方。そのうえで、【②その結論に至る理由を説明していく】と相手に伝わりやすくなります。結論が複数ある場合は、それぞれについて個別に説明を行い、必要に応じて【③相手の理解度を確認】しながら【④再度、要点を伝える】と、簡潔で明瞭な返答が可能になるでしょう。なお、患者さんにアドバイスをする際、一般的な知識だけでなく、【⑤患者さんの個別性や患者背景なども考慮】しながら助言をすると、相手の理解はより深まると思います。

【例】
患者さんからの質問:「退院後、食生活はどのようなことに注意すればよいか」

①大事なことは3つあります。1つ目は○○、2つ目は△△、3つ目は□□です 
➡ まずは結論を伝える

②1つ目の○○についてですが、なぜ、気をつける必要があるかというと……  
➡ それぞれの結論について理由を個別に説明する

③ここまででわからないことはありますか?  
➡  必要に応じて理解度を確認する

④最後にもう一度まとめますと、1つ目は…… 
➡ 再度、要点を伝える

⑤○○さんの場合は、前回の検査結果でまだ異常値が出ていますので、特に2つ目の△△に重点をおいたほうが良いですね。普段はコンビニのお弁当などで済ませることが多いとのことですから、ご家族にも協力していただくことが大切です 
➡ 患者さんの個別性や背景などにも考慮する

口頭だけでは伝わりにくいこともありますので、そういう場合は、紙に要点を箇条書きにしながら説明したり、図や絵を用いて説明するといいでしょう。

そもそも答えがわからなくて悩む場合

知識不足などが原因で、質問に対する答えがわからない場合、あいまいな回答は相手に不信感を与える原因にもなりかねません。したがって、わからないことには「わかりません」と伝える必要があります。

とはいえ、会話を「わかりません」で終わらせてしまうと、患者さんの不満足感につながりかねないので、その点にはご注意を。特に、質問の内容がクレームに該当する場合は、管理職への相談が必要になるケースもあるため、慎重な対応を心がけてください。

そういう場合は、「確認次第、あらためてお伝えします」「医師からの説明をご希望でしたら調整をさせていただきますが、いかがですか?」など、患者さんの「知りたい」という思いにできるだけ対応する形で、会話を進めるといいでしょう。

理路整然と返答できれば、それにこしたことはありませんが、説明がうまくないからといって必要以上に悩むことはありません。大切なのは患者さんに対する「誠実さ」です。「質問にうまく回答できるか」ばかりに目を向けるのではなく、「この場面では、どのように対応すれば患者さんが納得できるだろう」という視点で考えて、きちんと対応する——。それこそが、“いちばんのコツ”ですよ。

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