• 2021年5月7日
  • 2022年1月12日

未来に絶望的になっているあなたに伝えたいこと

 

仕事をするなかで、つらいことや苦しいことにぶつかる場面は、誰にでもあるもの。みなさんはそういうときに、どうやって気持ちを立て直していますか? 今回は、「将来に絶望してしまうくらいつらいこと、苦しいことがあってなかなか立ち直れない」という方に向けて、アドバイスをさせていただきます。

乗り越えなくていい

私にも「絶望」という言葉を使いたくなる経験が、いくつかあります。これまで生きてきたなかで、最大の絶望は「主人の病死」でした。病の発症から死に至るまでの壮絶な経験、そして、喪失体験は筆舌に尽くしがたいものがあり、思い出すといまだにつらい思いがわきあがってきます。そうした経験をしているとき、「いつか、乗り越えられる」と自分に言い聞かせたことも幾度となくありますが、「越えられるとも思っていないし、越えたいとも思わない」というのが正直な思いでした。

そして、私が自分に対してどれだけ慰めの言葉をかけても、また、まわりからどれだけ励まされても、何ひとつ、私の心には響きませんでした。

もし、あなたがいま「絶望」を感じる渦中にいて、乗り越える気力もなく、ただ現実を「生きる」ことで精一杯だとしたら……。私がお伝えしたいのは、「無理に乗り越えようとしなくていいし、前向きにならなくてもいい」ということです。

絶望は続かないことを知る

人が絶望を抱くのは「逃げ道はない」あるいは「逃げてはいけない」という自分の考えに縛られ、視野が狭くなっている状態のときです。でも、実際にはあなたが思う以上に、さまざまな可能性が存在しています。

たとえば、取り返しのつかない失敗をしたり、仲間から疎外されたりしたことで絶望しているのであれば、今いる環境を変えることで改善される場合があります。自分自身に対して絶望を感じているのだとすれば、そういった自分に抗わないことで解決の糸口が見つかることもあるし、人に助けを求めることで良い方向に事態が進展していく可能性もあります。これらはすべて、ひとつの「例」に過ぎませんが、必ずどこかに突破口は存在しているのです。

もし、「突破口を探そう」という気力すらないのなら、それでもまったくかまいません。私の経験上、突破口というのは現状に抗い続けて手に入れるものではなく、そのときがくればいつの間にか「開かれている」ものです。

渦中にいる間は、「つらい」「苦しい」「泣きたい」など、さまざまな感情が、これでもかというほどわき上がってきます。そんなときは、感情にふたをせず、ただただ感じることを許可してあげてください。

この世に「変化しないものなど何もない」ように、すべてのものは変化します。そして、絶望という「闇」は、希望という名の「光」がなければ存在することはできません。つまり、必ずどこかに「光」があるのです。

また、絶望を経験することによって得られる「何か」も必ずあります。それは「人に寄り添う心」だったり、「あのとき以上に絶望する経験なんてないと思える強さ」だったりと多種多様ですが、いつかきっと、あなたにとって「とても大事なもの」になるでしょう。あなたの心が、いまより少しでも安らげることを心より願っています。

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