ビューティーレクチャー キレイのための基礎知識

「イライラ」「肩こり」「肌荒れ」はストレスのサイン? ストレスフリーな体を目指す栄養ケアプラン

第45回目

「勤務先の病院で嫌なことがあったりするとうまく寝つけない」「イライラしてチョコレートを一気食いしてしまった!」。
みなさんはそんな経験、ありませんか? なかには、そうした精神状態が皮膚のトラブルやおなかの不調などに発展し、「ストレス過多」と診断されたことがある方もいるかもしれません。とはいえ、ストレスが原因で起こる体調不良は、どう対応していいのかわからなかったりすることも……

今回は、管理栄養士・分子栄養学カウンセラーの篠塚明日香さんに「ストレスに負けないエネルギッシュな自分」を取り戻すための栄養ケアの方法を教えてもらいました。

よくあるストレス症状、3パターンへの対策方法

わたしたちの体には、ストレスを感じたときに特定の栄養素を使って身を守ろうとするシステムが備わっています。そのため、必要な栄養素が不足していると、体が「ストレスに弱い」状態になってしまいます。

また、ストレスを受けたときにどんな症状が出るかは個人差があり、体質や普段の食事によっても違いが出てきます。ここでは、三つの系統にわけて、それぞれのケア方法を紹介していきましょう。

イライラ系のあなたは「亜鉛」の摂取を強化

まず一つめは、「イライラ系」です。

イライラ系の特徴

□イライラする
□攻撃的になる
□神経過敏の傾向がある
□過食傾向がある
□甘い物がやめられない
□カフェインを欲する

人の感情を左右するのは脳内物質の量。たとえば、幸せを感じるのは「セロトニン」、やる気を出すのは「ドーパミン」というホルモンの働きが関係しています。そして、これらの脳内物質は、食事から摂取した栄養素を使ってつくられます。

つまり、栄養のバランスがとれた食生活ができていると、脳内物質のバランスもいい状態が保てるので、精神の安定につながるという仕組みです。

では、意味もなくイライラしてしまったり、身近な人に八つ当たりしてしまったりと、感情のコントロールがうまくいかなる理由は何でしょう?

下はアドレナリンというホルモンが体内で合成される流れを示した図ですが、このアドレナリンが多過ぎる状態だと、イライラを引き起こす原因になってしまいます。

アドレナリンの合成にかかわる栄養素とイライラの関係

アドレナリンの材料になるのは、チロシンというアミノ酸(大豆やカかつおなどに多く含まれています)で、これがLドーパミン➡︎ドーパミンというふうに代謝され、最終的にアドレナリンへと変わります。そして、その工程では鉄、ビタミンB6、銅といったミネラルが必要です。

銅と亜鉛はシーソーのようにお互いに量を調整し合うミネラルで、ちょうど1:1の量で働くのが理想的。そのため体内では、銅が過剰になると亜鉛が減り、亜鉛が増えると銅が減るという調整が行われているのですが……。体がストレスを感じると、このバランスが崩れてしまうのです。

というのも、ストレスを感じると体内では活性酸素が発生しますが、これが増え過ぎると老化やガンの原因になるため、人体はメタロチオネインという物質を合成して除去しようとします。このメタロチオネインを合成する際に必要なのが亜鉛というわけです。

つまり、ストレスによって亜鉛がたくさん使われるために、必然的に銅とのバランスがとれなくなってしまうのです。

ストレスによる「亜鉛:銅」のバランスの乱れ

亜鉛が消耗すると、体内では当然銅が多い状態になりますが、銅が多いと、ノルアドレナリン、アドレナリンへの代謝が必要以上に増えてしまうことに。その結果、イライラしたり、攻撃的になったりしてしまうのです。ちなみに、銅と亜鉛のバランスは栄養専門の病院などで血液検査から調べることが可能です。

また、マウスを使った実験では、亜鉛を抜いたエサを与えることで攻撃性が高まったという研究報告もあります。

そのため、ストレスでイライラしやすい人は、普段から亜鉛をしっかりと摂取するのがおすすめです。亜鉛は牡蠣やレバー、高野豆腐、アーモンドに多く含まれているので、おやつにはチョコレートよりもアーモンドを選ぶといいでしょう。

また、カフェインにはアドレナリンを出す作用があり、とり過ぎるとイライラの原因にもなるので、コーヒーやお茶などの飲み過ぎには注意が必要です。

体調不良系のあなたは「マグネシウム」をしっかりと摂取

次に、「体調不良系」について説明しましょう。

体調不良系の特徴

□首肩がガチガチになっている
□背中や腰が痛い
□朝から疲れている
□よく眠れない
□頭痛や生理痛が酷い
□足がつる
□瞼がぴくぴくする

仕事のことを考えるだけで首や肩がこる、はりやマッサージをしても効果が続かない、疲れているのに寝つけない、生理痛がひどくなった。そんな体調不良を感じる人は、「マグネシウム」不足を疑ってみるといいでしょう。

マグネシウムは、筋肉をゆるめる働きをしたり、ストレスに対抗する「コルチゾール」というホルモンを調整したりする栄養素で、不足するとリラックスしにくい状態になります。また、ストレスを受けるとたくさんのマグネシウムが消耗され、尿中に排せつされる量が増えることもわかっています。

マグネシウムは、糖質をエネルギーに変えるときにも使われますが、ストレスによってマグネシウムが消耗されると、食べたものをエネルギーに変える力が低下していまいます。そのため、「寝ても疲れが取れない」などの不調を引き起こすことにもなりかねません。

マグネシウムは、海藻や豆類に多く含まれるため、意識して摂取するようにしたいところですが、ひとつだけ注意してほしいことがあります。

それは、加工食品に含まれる添加物がマグネシウムの吸収を阻害するということ。コンビニ弁当や加工食品の摂取量が多い人はとくに気をつけてください。

マグネシウムを補うためのおすすめは、あおさのみそ汁です。あおさは海藻のなかでも、とくにマグネシウムが多く、乾燥あおさを常備しておけば、調理なしですぐに食べることができます。のりの代わりに、あおさでおにぎりを作ってもおいしいですよ。

さらに、あおさのみそ汁に、にがりを数滴混ぜて飲むと効果倍増。にがりはマグネシウムそのものですので、サプリメント感覚で常備しておくといいでしょう。なお、にがりはごはんを炊くときに混ぜたり、ミネラルウォーターに混ぜて持ち歩いたりという使い方もできます。

肌荒れ系のあなたは「ビタミンC」の摂取と「腸内環境ケア」で対応

さて、最後は「肌荒れ系」です。

肌荒れ系の特徴

□紫外線ケアをしてもシミが増える
□肌の乾燥やくすみが酷い
□吹き出物がすぐできる
□胃腸の調子が悪い
□おならの臭いが気になる
□おなかにガスがたまる

「日焼け止めを塗っているのに、なぜかシミやくすみが増えてしまう」「ストレスフルな生活をしているせいか、肌のたるみが気になる」などは、「ビタミンC」の不足でよく見られる症状です。

ストレスによってビタミンCが消耗することはよく知られていますが、これにはストレス対抗ホルモンのコルチゾールが関係しています。コルチゾールを合成するのに、ビタミンCがたくさん使われるため、強いストレスが長期間続くとビタミンCを必要以上に消耗してしまうのです。

また、ビタミンCは、コラーゲンの合成やシミをつくるメラニンの働きを抑制する際にも使われますが、強いストレスがあると、ビタミンCはコルチゾール合成に優先的に使われてしまうので、肌の栄養補給にまでまわらなくなります。

大きなストレスがなく生活している場合、コルチゾールの基礎分泌量は約1020mgといわれていますが、強いストレスを感じたときの基礎分泌量は、その1015倍にあたる200 mg。ストレスのない生活といつもストレスがある生活では、栄養素の消耗にも大きな違いが出るというわけです。

ビタミンCパプリカ、いちごなどの新鮮な野菜や果物に多く含まれるので、意識してとりたいところ。ただし、ビタミンCは水溶性のため体内にためておくことができず、数時間後には尿として体内から出ていってしまう点には注意が必要です。毎食こまめに食べられるといいのですが、忙しくてそうもいかないときはサプリメントなどで補充するといいでしょう。

参考までに付け加えておくと、ストレス過多になると腸に悪玉菌が増えることもわかっています。イライラによっておなかを壊す、便秘する、おならが臭くなるなどの症状は、腸内環境が悪くなっている重要なサイン。そうした状態が続くと、にきびや肌荒れの原因になりかねません。

乳酸菌が含まれる食品=みそや甘酒などを食事に取り入れると、短期間で腸内環境を変えることができるので、ぜひ試してみてください。

ここまでストレスを解消するための栄養対策について書いてきましたが、体の負担を考えても、長期間ストレスを抱え込むのは避けたいところ。食べものの消化力が落ちれば、栄養をきちんと取り込むことができなくなりますし、腸内の善玉菌が減少すれば、栄養吸収の能力も下がります。もちろん、代謝も低下してしまいます。

ストレスを放置して深刻な状態になる前に、食事だけでなく、根本的なストレス対策に取り組むようにしましょう。

撮影/櫻井健司

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篠塚 明日香(しのつか あすか)

プロフィール

篠塚 明日香(しのつか あすか) 管理栄養士/分子栄養学カウンセラー

1977年、茨城県に生まれる。管理栄養士、分子栄養学カウンセラー。東京家政大学短期学部栄養科卒業後、老人介護保健施設での給食管理の実務を経て管理栄養士となる。体調不良をきっかけに、栄養療法クリニックのカウンセラーに転職。中医学や分子栄養学を学びながら、栄養療法で自身の副腎疲労を改善した経験を持つ。
現在は、フリーランスとして分子栄養学を一般家庭でも使える知識まで落とし込んだセミナーを開催。1,000人以上の体調不良者の血液検査データを見てきた経験を活かし、個別の栄養相談にも対応するなど、分子栄養学の普及活動をしている。その他、エステティックサロンでの専属講師としてダイエット指導、企業商品の考案などにも携わる。

所属:合同会社スリップストリーム: https://slipstream-web.com/

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