ビューティーレクチャー キレイのための基礎知識

【新型栄養失調対策】たんぱく質+鉄分で体の不調をととのえる

第43回目

体がだるい、よく眠れない、めまいがする、頻繁に頭痛が起こる――。そうした不調を抱えている女性は、決して少なくありません。では、みなさんはそんなとき、どうしていますか? 「仕事は休めないし、気合いで乗り切るしかない!」と、栄養ドリンクに頼ったり、鎮痛剤を飲んだりして、無理をしまう人もいるのではないでしょうか。でも、ちょっと待って! その不調は、もしかしたら“栄養失調”かもしれません。現代社会で栄養失調? と感じるかもしれませんが、珍しくないことなのです。

現代女性のたんぱく質摂取量は、1950年代と同じレベル!?

ここで看護師のみなさんに質問です。毎日どのような食事をしていますか? 頭の中で1日に食べる平均的なメニューを思い浮かべてみてください。たとえば……。こんな食事が多かったりはしませんか?

・朝食:トースト、サラダ、コーヒー
・昼食:パスタセット(サラダ、スープ、デザート付き)
・間食:チョコレートを1~2片
・夕食:ごはん、みそ汁、焼き魚、おひたし、冷奴

こうした食事をしている方に「食生活で心がけていること」を聞くと、おそらく「野菜をたくさん摂るようにして、ヘルシーな食生活を意識しています」「カロリーが気になるので、タンパク質は大豆製品と魚を中心にお肉は控えめにしています」などの答えが返ってくることと思います。

でも、この感覚こそが“新型栄養失調”の一因でもあるのです。まずは、こちらのグラフをご覧ください。

日本人のたんぱく質摂取量(1人1日当たり/総量)

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成15年~29年)、「国民栄養の現状」(昭和25年~平成5年)、「国民栄養調査」(平成6年~14年)をもとに編集部が作成

問題なのは、たんぱく質の摂取量。もっともたんぱく質摂取量が多かった1995年に比べると、1日20g近くも減っているのです。長年、女性の不妊治療や妊娠糖尿病などの臨床に携わり、“たんぱくリッチ食”を掲げた食生活指導も行っている宗田マタニティクリニック院長・宗田哲男先生は次のように話します。

「もともと日本人のたんぱく質摂取量は先進国の中では少ないほう。特に、動物性たんぱく質の摂取量は欧米の半分程度なんです。現在では、さらにその傾向が強くなっていて、特に女性のたんぱく質不足が深刻化しています」

宗田先生は著書『産科医が教える 赤ちゃんのための妊婦食』で「9割は栄養不足」だと断言するほど、日本人女性の栄養状態が危険だと感じています。スリムな体型=健康的だという意識から、低カロリーな食事を心がけている方も多いと思いますが、宗田先生は、もっと積極的にたんぱく質・鉄分・脂質を摂るべきだと言います。

たんぱく質や鉄分が不足すると心と体はどうなるの?

では、たんぱく質・鉄分・脂質が足りないと、心身にはどのような影響があるのでしょうか。下に一例を示しておきます。

・めまい、立ちくらみ
・イライラ、怒りっぽい
・急に心臓がドキドキする、不安に襲われる
・やる気が出ない
・疲れやすい
・体がだるい
・頭痛がある
・朝起きられない
・肌荒れ、爪が割れやすくなる
・髪の毛がパサパサ、抜け毛が増える
・すぐ風邪をひく など

これをみて、「あれ?」と思った方はいませんか? そう、栄養不足が引き起こす症状は、うつ病やパニック発作などの症状と非常に似ているのです。仕事で大きなストレスを抱えている、あるいは劣悪な環境で働いているなど、心に負担をかける要素がないにもかかわらず、体がだるかったり、疲れやすかったりするのは、栄養不足が原因かもしれませんよ?

「体に栄養が満ちていて健康であれば、幸せを感じさせるセロトニンや喜びを感じさせるドーパミンといった神経伝達物質で、脳内が満たされます。そして、これらの物質の材料となるのは、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸なんです。また、セロトニンやドーパミン生成される過程では、鉄分も必要です」

つまり、たんぱく質や鉄分が足りないと、セロトニンやドーパミンが脳内で不足してしまうことに……。その結果、幸せや喜びを感じられなくなり、精神が不安定になって、うつやパニック障害、PMSなどを引き起こしやすくなってしまうのです。

「特に女性は、毎月の生理で50~120mlもの出血があるため、男性よりも鉄分が不足しやすい傾向にあります。中には重症貧血になる方もいるほどで、血液検査でフェリチン(貯蔵鉄)の値を調べてみると、15ng/ml以下の方も少なくありません」

なお、低用量ピルで月経をコントロールし、出血を抑えることで貧血を防止できるとのことなので、思い当たる方は対策の1つとして検討しても良いかもしれません。なお、“ダイエットの敵”として敬遠されがちな脂質も、「ホルモンや細胞膜の材料となるので、とても大事な栄養成分」だとか。不足すると疲れやすくなったり、体の抵抗力が低下したりするので注意しましょう。

どれくらいのたんぱく質・鉄分が必要なの?

では、毎日の生活の中で「新型栄養失調」を解消していくにはどうしたらいいでしょうか。まずは、チェックリストで自分の食生活を振り返ってみましょう。

【チェックリスト】

□丼ものや麺類など炭水化物を中心とした一品料理が多い

□ファーストフードや弁当など簡単な食事が多い

□コンビニ食のときはおにぎりと野菜ジュースを選ぶ

□野菜やサラダは積極的に摂っているが、肉や油は避けている

□菓子パンを食事代わりにすることが多い

□甘いお菓子をやめられない

2つ以上にチェックが入った方は要注意で、4つ以上なら厳重注意! 厚生労働省が推奨するたんぱく質の摂取量は、18歳以上の女性が1日50g、同男性が1日60gなので、その数値を目安にたんぱく質を摂るようにしましょう。

食材でおすすめなのは、肉類や魚、卵などで、豚肉(ロース)100gに含まれるたんぱく質量は19.3g程度。卵(Mサイズで約50g)なら100g中12.3g程度です。宗田先生に「1日に食べたい食品量の目安」を伺っておいたので、そちらも、ぜひ参考にしてください。

【1日に食べたい食品量の目安】

・卵 2~3個

・肉 100~200g

・魚 100g

・チーズ 60g

・納豆 1パック

もちろん、一つの食材だけでなく、肉、魚、卵と幅広く摂るのがベター。チーズや納豆も手軽にたんぱく質を補うのに有効な食材です。

なお、1日に必要な鉄分の推奨量は、月経のある成人女性で10.5mg、男性は18~29歳で7.0㎎、30~69歳で7.5㎎。これを食事だけで達成するのは難しいので、サプリや栄養機能食品に頼るのが良いとか。現在、不調を感じている方も、感じていない方も、この機会に毎日の食事を見直してみませんか?

<引用・参考>

文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

厚生労働省「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

監修協力/宗田哲男(宗田マタニティクリニック院長) 取材・文/招来にゃんこ

プロフィール

宗田哲男(むねた てつお)
宗田マタニティクリニック 院長

2008年に2型糖尿病を発症するが、糖質制限で劇的に改善し、15kgの減量にも成功。その経験をもとに、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠の患者にも糖質制限による食事指導をスタート。糖質の摂取を抑えて、たんぱく質をしっかりと摂る食事が、不妊や生理不順、産後うつで悩む人にも効果があることを臨床で解明し、『産科医が教える 赤ちゃんのための妊婦食』(アチーブメント出版)を出版した。ほかにも、『ケトン体が人類を救う』(光文社新書)、『最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!』(河出書房新社)など著書多数。

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