ビューティーレクチャー キレイのための基礎知識

知っていました? 産後の不調やうつの原因の一つは「栄養不足」なんです

第42回目

看護師といえば、専門性の高い勉強を積み、国家試験に合格して手にした職業。結婚や出産を経ても「仕事を続けたい!」と考える人が多いのもうなずけます。とはいえ、日々の業務は、立ち仕事が多いうえに夜勤までこなすハードな内容。時に「しんどい…」と感じることだってありますよね。それが、ワーキングママを実践する看護師さんとなれば、なおのこと。産後の復職直後などは、体調の変化も伴って「あれ? 産休前よりしんどい」「以前のように動けなくなったかも」と落ち込むことも多いと聞きます。
でも……。産後の復職がしんどく感じるのは、「ブランクがあると仕事が余計ハードに思えるから」などの単純な理由だけじゃないって、知っていますか?

産前産後における「健康づくり」の大切さを再確認!

みなさんは「プレコンセプションケア」という言葉をご存じですか? これは、「将来の妊娠を考えながら、女性あるいはカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと」を指す言葉(コンセプション=受胎という意味です)。世界保健機関が提唱したことをきっかけに世界各国で注目されるようになりました。
日本でも、2015年に国立成育医療センターがプレコンセプションケアセンターを開設したほか、「妊娠前相談外来」を取り入れる産科も増えており、「プレコンセプションケア」の考え方が少しずつ浸透しています。赤ちゃんを授かるための健康づくりは、妊娠・出産のときだけでなく、心身ともに元気で子育てをするためにも大事なこと。こうした動きは、どんどん広がってほしいですよね!

でも、その一方で産後に体調を崩したり、うつになったりする女性が大勢いることも事実。宗田マタニティクリニック院長であり、『産科医が教える 赤ちゃんのための妊婦食』の著者でもある宗田哲男先生は、「お母さんは、自分の持っていた栄養を赤ちゃんにたくさん与えた上で出産に挑んでいます。しかも、出産時には正常な量でも300ml程度の出血があり、これは生理の2〜3倍。体の栄養状態が極端に低下しますから、不調が起きるのも当然です」と話します。

産後の不調には「栄養不足」が関係している

とはいえ、産後の不調を軽減する方法がないわけではありません。宗田先生は「妊娠中、産後の食事でママの不調はぐっと減らせる」と言います。

「当然ですが、産後のママは疲労困ぱいしています。だからこそ、出産によって失われた栄養を補うことが最優先なのですが、育児に追われると食事がおろそかになって、パンやおにぎりだけになったりしがち。そのため、頭痛、肌荒れ、抜け毛、そして気持ちが不安定になるなどの症状が出てしまうんです」

つまり、産後の不調には「栄養不足」が大きく関係しているというわけです。失われた栄養を補給しないまま、2時間起きの授乳やオムツ替え、そして母乳を出すという重労働をこなし、人によっては数カ月で仕事に復帰する……。体が不調を訴えるのは、無理もありませんね。

しかも、宗田先生が指摘するように、食事がパンやおにぎりだけになっていたら? 母乳に含まれるたんぱく質や鉄分、カルシウム、脂質などが満足に摂れないため、母乳を出せば出すほど、体の中から栄養が減っていくことになります。産後の回復が悪くなったり、精神面の健康が崩れたりしないためにも、栄養補給にはしっかりと気を配りましょう。

笑顔で育児や仕事をこなすために「必要な栄養」とは?

【脂質】
ダイエットを経験したことがあると、脂質に対して悪いイメージを持ってしまいがちですが、脂質=悪者というわけではありません!

「脂質はたんぱく質と同様、人間の体や脳を構成する上で、非常に大切な役割を果たします。感情を司るセロトニンなどのホルモンの材料にもなるんですよ。もちろん、赤ちゃんにとっても、脳の栄養、細胞膜、ホルモンの材料、生命活動を維持するエネルギーとして欠かせません」(宗田先生)

といっても、脂質の中には避けるべき“油”もあります。それはトランス脂肪酸。マーガリンやフライドポテト、チキンナゲットのような揚げ物類、スナック菓子やクラッカーのようなサクサクとした食感のお菓子などに多く含まれますが、摂取しすぎると悪玉コレステロールの増加や心疾患、肥満などのリスクが高まる恐れも。注意してください!

【鉄分】
宗田先生が言うには、「鉄は血液の原料になるだけでなく、脳内の神経伝達物質の生成をサポートしています。鉄が不足すると、精神が不安定になってしまうんです」とか。月経のある成人女性は1日10.5mgの摂取が必要だとされていますが、実は、これを食事だけで摂るのはそう簡単ではありません。

「鉄には動物性のヘム鉄と、植物性の非ヘム鉄がありますが、ヘム鉄の吸収率が10〜20%であるのに対し、植物性非ヘム鉄の吸収率はわずか2〜5%。ホウレン草やひじきを一生懸命食べても鉄不足はなかなか解消されません」(宗田先生)

下にヘム鉄が多く含まれる食材を紹介しておきますが、こうした食材とあわせてサプリメントを摂取するのも良い方法。病院の処方薬以外だと高吸収のキレート鉄がおすすめだそうです。

ヘム鉄が豊富な食材

豚レバー……100gあたり13mg
鳥レバー……100gあたり9mg
しじみ ………100gあたり4.3mg
カツオ ………100gあたり1.9mg

【たんぱく質】
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質がありますが、ここで注目するべきなのは動物性たんぱく質のほう。「動物性たんぱく質の摂取頻度が多い人は、そうではない人と比べて母乳内のたんぱく質量が2倍も多いというデータもあります」(宗田先生)。

女性の場合、ヘルシーな大豆製品を選びがちですが、肉、魚、乳製品と大豆製品とをバランスよく摂取することで、アミノ酸のバランスが良くなり、体内で機能しやすくなるとか。また、タンパク質の品質を評価する指標である「プロテインスコア」の点数が高いものほど良質なタンパク質が摂れるそうなので、ぜひ参考にしてください。

食材のプロテインスコア

卵………100
肉……… 90
魚……… 90
チーズ… 83
豆腐…… 55

「肉の脂肪で乳腺炎になるという人もいますが、乳腺炎の原因の多くは薬の服用などで長時間授乳を中止することによるものです。そもそも母乳の半分は脂肪でできていますので、安心して肉も魚も食べてください」と宗田先生。
赤ちゃんが生まれたばかりの幸せな時期を、不調や産後うつの状態で過ごすのは残念なことです。自分が出産するときのため、あるいは看護師として産前産後のママと接するときのためにも、栄養補給の大切さは常に意識しておきたいですね。

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プロフィール

宗田哲男(むねた てつお)
宗田マタニティクリニック 院長

2008年に2型糖尿病を発症するが、糖質制限で劇的に改善し、15kgの減量にも成功。その経験をもとに、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠の患者にも糖質制限による食事指導をスタート。糖質の摂取を抑えて、たんぱく質をしっかりと摂る食事が、不妊や生理不順、産後うつで悩む人にも効果があることを臨床で解明し、『産科医が教える 赤ちゃんのための妊婦食』(アチーブメント出版)を出版した。ほかにも、『ケトン体が人類を救う』(光文社新書)、『最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!』(河出書房新社)など著書多数。

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