• 2018年3月2日
  • 2022年8月30日

肩こりの原因と解消法とは? ストレッチの詳細や予防方法など!

 

肩には日常的に負担がかかりやすく、身体の中でも特に疲れやすい部位です。肩こりを放置していると、さまざまな不調を引き起こします。身体の不調は、肩の痛みや不快感のみならず、疲れ目やめまい、頭痛といった症状を感じる方も少なくありません。

当記事では、肩こりの原因を説明し、肩こり解消が期待できるセルフケアをご紹介します。自力では改善できない肩こりを抱える方に向けて、肩こりの解消を期待できる情報も紹介しますので、自分に合った方法で肩こりを改善しましょう。

肩こりはなぜ起こる? 4つの原因を紹介

肩こりはなぜ起こる? 4つの原因を紹介

肩こりは、首の後ろから肩・背中にかけて広がる筋肉のこわばりや痛みのことです。肩こりが悪化すると、疲れ目・倦怠感・頭痛・めまい・吐き気・肩周辺のしびれといったさまざまな症状が引き起こされることがあります。

肩こりには、自律神経の乱れが大きく関わっています。自律神経とは、体温調節や内分泌機能など身体の働きをコントロールする機能です。肩こりは、心と身体が興奮状態のとき優位に働く「交感神経」が、リラックス状態のときに優位の「副交感神経」の働きを上回り、血管が収縮することにより血流が滞り気味になり、筋肉の過緊張(コリ)へ繋がる場合があります

ここでは、肩こりの原因について、さらに詳しく紹介します。

日々の姿勢

日々の猫背や反り腰による筋肉のこわばりと血行不全が、肩こりの大きな原因です。同じ姿勢で長時間パソコンやスマートフォンを見つめていると、身体が前傾姿勢になります。悪い姿勢を続けると、頸椎の前弯カーブが失われてしまい通常よりも顔の位置が前に出ることで、肩まわりの筋肉が緊張状態になって肩こりが発生します。肩こりを引き起こすといわれているストレートネックは、頸椎がまっすぐになった状態です。

さらに同じ姿勢でいると、血液の巡りが悪くなり、老廃物が蓄積して肩こりが悪化するという悪循環に陥ります。

ストレス

ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、興奮しているときに働く交感神経が副交感神経よりも優位になり、身体の緊張が続きます。身体の緊張によって肩まわりの血流が滞った症状が、ストレスによる肩こり症状です。

ストレスによる肩こりには、周囲の環境や自身の性格が関係します。たとえば、急な環境の変化があると緊張状態が続き、肩こりが悪化するでしょう。また、完璧を求める方や責任感が強い方は、ストレスを溜めやすい傾向です。

自分と向き合う時間やリラックスできる時間を作ると、ストレスを原因とする肩こりを軽減できる可能性があります。

身体の冷え

冷えによる血流の悪化も肩こりの原因です。寒さによって身体を動かしにくくなると、血流が滞り、筋肉や関節がこり固まります。このように身体の動きが悪くなると血流が悪化するという悪循環に陥り、肩こりが起こりやすくなる傾向にあります。

冷えは冬の寒さだけでなく、夏場の冷房によっても起こります。屋外から冷房のきいた室内に入るとき、体温を正常にしようと自律神経のバランスが崩れて血行不全が起こりやすいため、身体を冷やしすぎない工夫が必要です。
(出典:日本整形外科学会「肩こり」

内蔵疾患の病気

内臓系の病気が原因で肩こりが起こることがあります。内臓疾患による肩こりは「なんとなく肩のあたりが痛い」と感じ、痛みや違和感の場所がはっきりしない場合がほとんどです。

狭心症など心臓の異常があると、左肩が痛むケースがあります。また、右肩のこりは胆石でによって引き起こされる症状です。糖尿病や高血圧、胃腸やすい臓の疾病なども肩こりの原因になり得ます。
(出典:健康長寿ネット「虚血性心疾患の症状」

内臓疾患による肩こりは、肩以外の場所においても不調や症状がある場合がほとんどです。発熱・食欲不振・胃腸の痛みや不快感など、ほかの不調がないか考えてみましょう。

【肩こりチェックリスト】セルフチェックの方法も!

【肩こりチェックリスト】セルフチェックの方法も!

肩こりが生じやすい理由として、日常生活において「リラックスしにくい状態」にあるのが原因というケースが多く見られます。肩こり度は、以下のチェックリストである程度判断できます。

【肩こりチェックリスト】

  • 仕事がとても忙しく「疲れたぁ……」と感じることがよくある
  • 責任の重い仕事をしている
  • 対人関係で悩むことがある
  •  思うように休息がとれない
  • 気が付くと何かしら考え事をしている
  • 姿勢をシャキッと正すのがつらく、猫背姿勢の方が楽である
  • パソコンやスマホを長時間、または頻繁に使用する
  • 運動する時間がない、または運動する気力がない
  • 睡眠時間の確保が難しいことが多い
  • ストレスだと感じることが多い
  • 朝、目覚めがスッキリせず、疲れが抜けない日が多い

【簡易診断】

1〜3個…… 肩こりを生じやすい状態なので、予防体操で早めのケアを!

4〜6個…… 自覚症状のない「隠れ肩こり」という場合も、重症になる前に対処を!

7〜11個……肩は常にガチガチ、頭痛などつらい症状も出ているのでは?

肩こりは、鏡を使ったセルフチェックでも簡単に確認できます。まず、全身が映る鏡の前に立ち、目をつむって肩を上げます。次に、肩の力を抜き、目を開いて身体の状態を確認しましょう。以下のポイントを重点的にチェックしてください。

左右の肩の高さ 左右の肩の高さが異なっていると、将来的に肩こりが悪化する可能性があります。
左右の鎖骨の形 鎖骨の端と端を結んだ形が左右で異なっていると、左右どちらかの肩がこっている可能性があります。
骨盤の形 骨盤の出っ張っている部分に手をあてたとき、左右の高さが違うと、身体が歪んでいるため肩こりが起こりやすい状態です。

鏡の前で肩回しや肩の上げ下げを行い、痛みや引っかかりがある場合も、肩こり解消法を試したほうがよいでしょう。

肩こり解消ストレッチ

肩こり解消ストレッチ

肩こりは、肩甲骨のストレッチによって改善することがほとんどです。肩こりの原因となる筋肉は肩甲骨につながっているため、肩甲骨まわりをほぐすことで肩こりがやわらぎます。

現代は、パソコンやスマートフォンを頻繁に使用する影響で、肩甲骨が外側に広がっている方が多い傾向です。肩甲骨ストレッチによって姿勢を正し、つらい肩こり症状を和らげましょう。

ここで紹介する4つのストレッチは、どれも1分もかかりません。自分の好きな体操を組み合わせて、1分程度のストレッチをしましょう。

ストレッチ1:交互に肩を上下

《目安:10回程度》

(1)左肩を耳に近づけるように持ち上げます。

(2)左肩を脱力すると同時に右肩を耳に近づけるように上げます。

(1)・(2)をリズミカルに交互に行います。

ストレッチ2:両肩をすくめる

《目安:5~10回程度》

(1)顔を正面に向け、両肩を耳に近づけるように上げて3秒キープします。

(2)3秒キープしたら、肩を落として脱力します。

ストレッチ3:ひじを大きく回す

《目安:左右1セットで3~5回程度》

(1)両肩先に指先をつける。

(2)ひじを大きく回します。

(3)(1)の状態に戻し、反対も同様に回します。

ひじを回したときの角度によって気持ちよく伸ばされる部位は異なりますが、伸びをしっかりと感じるためにも、可能な限り大きくひじを回します。そのとき、肩甲骨も動かされるよう意識しましょう。

ストレッチ4:肩甲骨を寄せる

《目安:左右1セットで3~5回程度》

(1)両ひじを背後で近づけるように寄せます。

(2)右腕を左斜め前に伸ばし、そのポーズのまま深呼吸をします。

ゆっくり息を吸い、ゆっくりと息を吐きます。そのときに、寄せた肩甲骨が動くのを意識して、体の横・背中が伸ばされるよう意識しましょう。

(3)(1)の状態に戻し、反対側も同様に行います。

【ストレッチ以外】肩こり解消が期待できる方法5選!

【ストレッチ以外】肩こり解消が期待できる方法5選!

悪化した肩こりは、ストレッチだけでは解消できない場合があります。つらい肩こり症状を緩和させるには、以下のような方法がおすすめです。

  • 温熱療法
  • 運動療法
  • マッサージ療法
  • 薬物療法
  • 局所麻酔剤

ここからは、肩こり解消が期待できる方法について、詳しく説明します。

温熱療法

温熱療法とは、患部を温めて血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる方法です。温熱療法は、慢性化した肩こりに効果が期待できるといわれています。

なお、急な腫れや痛みは患部を冷やすほうがよいケースもあります。温熱療法を行ってよいか心配な場合は、主治医などに相談しましょう。

以下は、家庭でもできる温熱療法の方法です。

入浴 温かいお湯が入った湯船にゆっくりと浸かることで全身の血行が良くなり、肩こりの解消につながります。入浴は、疲労感の回復や水圧によるマッサージ効果も期待できるため、全身症状の回復にも役立ちます。   なお、肩こりが気になるからといって湯船に深く浸かりすぎないよう注意しましょう。胸より上の位置で長湯すると、心臓に負担がかかります。
蒸しタオル 肩に蒸しタオルを15分〜20分ほどあてる方法です。蒸しタオルは電子レンジで約1分加熱すれば簡単に作れますが、そのままでは温かさが長持ちしません。電子レンジに入れる際にラップで包み、加熱後はラップの上から別のタオルで覆うと熱が逃げにくく、火傷の危険性も低減します。
貼るカイロ 貼るタイプのカイロを肩に使う温熱療法です。カイロは高温になりやすいため、服の上から貼って火傷を防ぎましょう。
ホットパック ホットパックは、電子レンジ温めるタイプや、電気コードをつなぐタイプがあり、ドラッグストアなどで購入できます。火傷や事故防止のため、製品の取扱説明書に沿って正しく使用しましょう。

運動療法

運動療法は、身体を効果的に動かして肩こりの解消を目指す方法です。整骨院でも実際に取り入れられており、ストレッチ・ウォーキング・体操・筋トレなどさまざまな種類があります。以下の2つは、肩こり解消が期待できる運動療法です。

パーキングファンクション・トレーニング

パーキングファンクションとは、身体を支える筋肉に余分な力が入っておらず、楽に身体を支えられる姿勢をいいます。身体がパーキングファンクションを覚えると、可動域が広くなり、肩こりの改善につながります。  

まず行うのは、首や肩まわりの筋肉を感じるトレーニングです。

(1)背筋を伸ばして椅子に深く座る
(2)両足の裏を床につけ、手は膝の上に置く
(3)目を閉じて頭をゆっくりと前後左右に動かし、首や背中の筋肉が動くのを感じる
(4)力を抜いても頭が倒れないパーキングファンクション・ポジションを見つける

  次は、腕の筋肉の動きを感じるトレーニングです。

(1)パーキングファンクション・ポジションで腕組みをする
(2)腕組みをしたまま力を抜き、首や背中の筋肉が動くのを感じる
(3)2の姿勢のまま背もたれに寄りかかり、頭を前後左右に動かして新しいパーキングファンクション・ポジションを見つける

最後に、簡単なストレッチを行います。

(1)両手を前でつなぎ、背筋とひじを伸ばして手を天井に突き上げ、10秒キープする
(2)右手を左肩に乗せ、顎を突き出して3秒キープを3回行う
(3)左手を右肩に乗せ、顎を突き出して3秒キープを3回行う
(4)背中側で手をつないで肩甲骨を寄せるように腕を伸ばし、首を右に傾け10秒キープする
(5)背中側で手をつないで肩甲骨を寄せるように腕を伸ばし、首を左に傾け10秒キープする
(6)頭を大きくゆっくり回す

肩こり体操

肩こり体操の目的は、肩甲骨まわりの緊張を取り、血行を促進することです。肩や腕を動かすときに痛みがある場合は、無理のない範囲で行いましょう。

(1)両肩を上下する
(2)両手でバンザイのポーズをする
(3)ひじを身体の前で交差する
(4)ひじを曲げて後ろに引く
(5)両肩を外側から内側、内側から外側へ回す
(6)1~5の手順を10回2セット行う

体操のポイントは、肩甲骨付近を意識してゆっくり動かすことです。

マッサージ療法

マッサージ療法は、肩まわりの筋肉を直接ほぐして血行を促進させるため、肩こりの解消が期待できます。特に肩こりが悪化して痛みが発生している場合、肩の緊張をほぐすマッサージ療法で楽になるでしょう。

肩こりは、僧帽筋という首から背中にかけて広がる筋肉に関係するといわれています。肩まわりだけではなく、後頭部から首にかけての筋肉や肩甲骨まわりの筋肉もほぐしましょう。

薬物療法

薬物療法は、主に痛みに対するアプローチです。肩こりで痛みがあると肩の動きが鈍くなり、血行不良からさらに肩こりがひどくなるという悪循環に陥ります。薬物療法は痛みを緩和し、肩こりの慢性化を防ぐことが目的です。

薬物療法で使用される薬は、非ステロイド系抗炎症薬が中心ですが、症状によっては筋弛緩薬や漢方を処方されることもあります。薬物の種類には、湿布薬・内服薬・坐薬などがあり、いずれも痛みに対してアプローチします。

局所麻酔剤

局所麻酔剤を注射するのは、肩のこりや痛みがある場所です。局所麻酔剤は、こりや痛みに対して即効性があるため、肩こりの慢性化を防ぐ効果が期待できます。

整形外科クリニックなどで受けられる保険診療の「トリガーポイント注射」が局所麻酔にあたります。トリガーポイントとは、筋肉の異常収縮によって生じる筋肉内のしこりで、押すと痛みを感じる場所です。トリガーポイントに数か所注射することにより、肩のこりや痛みにアプローチします。

肩こりを予防する方法3つ!

肩こりを予防する方法3つ!

肩こりの発生や悪化を防ぎたい場合、日頃から予防を心がけましょう。生活習慣の改善によって肩こりのない生活が叶うかもしれません。ここからは、肩こりを予防する3つの方法を紹介します。誰でもできる簡単な方法を中心に解説しているため、できることから始めましょう。

正しい姿勢を保つ

デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとるときには、正しい姿勢を意識することで、肩こりの解消が期待できます。椅子を使用する際は、背筋を伸ばし、骨盤を立てるイメージで座りましょう。下腹部に力を入れると正しい姿勢がキープできます。なお、足を組むと骨盤に加わる力が左右で不均衡になるため、両足は床に下ろします。

パソコンを使用する際は、顔がモニターから40cm~75cm離れた位置がベストです。目線は20度〜30度下に向くよう、椅子の高さやモニターの角度を調整します。

スマートフォンを操作するときは、頭をまっすぐにし、顎の動かせる範囲で下を見ましょう。画面を覗き込むのは、頭が垂れて猫背になるため、肩こりの原因になりかねません。頭をまっすぐにしたまま視線が届く位置までスマートフォンを持ってきて操作すると、肩や首まわりに負担がかかりにくくなります。

肩や背中の筋力を鍛える

肩の筋力を上げると、肩こりの予防につながります。肩は頭や腕などの重いパーツを支えているため、負担のかかりやすい部位です。筋トレによって血流が増えると、疲労物質が排出されやすくなります。

肩こりを予防するには、僧帽筋を鍛える筋トレが効果的です。1〜3kgの重りが入った手提げ袋を2つ準備し、以下の手順でそれぞれの工程を10回ずつ行いましょう。

(1)袋を両手に持ち、両肩を耳に近づけるように上げて3秒キープ

(2)袋を持ったまま肩甲骨を寄せる

(3)袋を1つにし片手に持ってテーブルなどにつかまり、腰を曲げて肩を上げる

いずれの動きも、肩甲骨を意識して行います。筋トレの後は肩や首を軽く回し、身体をケアしましょう。

筋膜リリースをする

筋膜リリースは、筋膜の柔軟性を高め、肩こりの予防を目指す方法です。筋膜とは、筋肉を包む薄い膜で、5つの筋膜が層をなして身体の組織を支えています。筋膜が縮んだり固まったりすると肩こりの症状を引き起こす場合があります。

筋膜は内臓の膜などとつながって全身に張り巡らされているので、肩だけではなく、周囲もバランスよくほぐしましょう。以下は、肩こり予防になる背中の筋膜リリースの方法です。

(1)腕を腰の高さと同じくらいのテーブルに置く

(2)両足で後ろへ下がっていく

(3)背筋が伸びるあたりまで下がる

(4)背中を弓なりに反らしてゆっくりと呼吸し、20~30秒キープする

筋膜リリースとは、日頃の姿勢や習慣によって動きにくくなった部分を伸ばす方法です。息を吐いてリラックスしながら痛みを感じない程度に身体を動かしましょう。

まとめ

肩こりは、日々の習慣が一因となり、肩まわりの血行不全や筋肉のこわばりが起きている状態です。自分の習慣を見直すことで、肩こり症状の緩和が期待できます。

肩こりには、肩甲骨まわりの簡単ストレッチがおすすめです。こり固まった筋肉は、温熱療法や運動療法といった方法を一緒に行うことで、ほぐれやすくなります。痛みを伴う肩こりの場合、薬物療法や局所麻酔剤の注射によって痛みが軽減するケースもあります。

自分に合った肩こりの解消法を見つけ、快適な生活を目指しましょう。

イラスト:シロシオ 「シロシオ イラスト&マンガポートフォリオサイト」

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