• 2017年6月16日
  • 2021年11月12日

医療者が陥りやすいコミュニケーションの特徴とは

 

私は、これまでに何度か転職をした経験がありますが、どの職場においても医療者のコミュニケーション方法には共通の特徴があると感じていました。すべての人がというわけではありませんが、組織にとってよくない影響をおよぼす可能性があるコミュニケーションのとり方をしている医療者は、少なくないように思います。

医療者の危険なコミュニケーションの例

話の内容について確認を怠る

会話中、すべての内容を確認することは不可能です。しかし、内容が複雑、もしくは長いものであるにもかかわらず、復唱や要約をせずに「理解したつもりになっている」方は少なくありません。話の内容を間違って受け止めてしまうことは誰にでもあります。ミスを起こさないためにも、相手の話を最後まで聞き、復唱・要約する習慣をつけるようにしましょう。

話の経緯が見えない

周知・徹底が必要な話題において、「結論」だけを話し、「その結論に至った理由」が不明瞭な会話がとても多いと感じました。人間は「理由」があると納得しやすいため、「結論」を述べるだけでは十分な理解が得られない場合があります。
たとえば、「これまで臨時薬の残数チェックは日勤リーダーが1日1回行っていましたが、夜勤でも業務終了後に確認をすることになりました」という新しい決定事項があるとします。この場合、「どういう経緯で(なぜ)その決定事項に至ったのか」が伝わらなければ、周知・徹底が十分に行き渡らない可能性があるのです。「1日1回の残数確認だけでは数が合わないことが立て続けに発生したので」などのように、簡単でもよいので理由を述べるよう意識しましょう。

すぐに答えを教える

新人に質問されたときなどに「こうすればいいんだよ」とすぐに答えを教えることは、とても良心的に見えます。しかし、長期的な視点で考えた場合、「自分で判断する力」が育ちにくくなるので注意が必要です。「あなたは、どう考えているの?」など、必要に応じて質問し、考える力を育てることも大切にしましょう。

スタッフに仕事をまかせない

以前、自分でも対応できるようにと、「この伝票は、どのように処理をすればいいですか?」と先輩看護師に確認したことがあります。しかし、「私がやっておくから大丈夫」と言われてしまい、困惑しました。相手を気づかい、よかれと思っていったことが、結果として相手の成長につながらない場合もあります。これまで見てきた看護師さんは「仕事を教える手間を省くため」「自分がやったほうが早い」などの理由から、十分な指導をしないケースが目立ちました。チームワークを育むためにも、適切な指導を行うよう心がけましょう。

忙しくても確実なコミュニケーションを

看護師の仕事は多忙なだけでなく、複雑な仕事を多岐にわたって行う必要があります。そのため、「忙しいがゆえに、会話をできるだけ早く完結させようとする、あるいは省略するコミュニケーションの傾向が強い」と感じました。
しかし、それが医療事故を引き起こすきっかけとなったり、新人の教育指導が不十分になったりなど、さまざまな弊害を引き起こす恐れも。「急ぐときほどゆっくり確実に」を意識して、自分のコミュニケーション方法を見直してみてくださいね。

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