相手の顔色をうかがう人が陥りやすい「罠」
第13回目

看護師は、言動や行動から相手の思いを察する力に長け、周囲への気遣いができる方が多いと感じます。
しかし、相手の顔色ばかりうかがってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「相手を怒らせてしまったらどうしよう」「相手に嫌われたらどうしよう」といった「恐れ」や「不安」に基づいた動機で行動する方は、ある「罠」に陥りやすい状態になっています。
その「罠」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
自分の本当の気持ちがわからなくなる
相手の思いを優先し続けていると、「相手がどう考えているか」あるいは「相手にどう思われているか」という基準で行動するので、「自分はどうしたいのか」がわからなくなることがあります。
自分の本心を見失うと、自信がなくなり、行動力の低下につながります。人生の大事な選択の場面でも「何を大切に生きていきたいのか」がわからず、途方に暮れてしまうことも……。
感情が爆発し、収拾がつかなくなる
相手の気持ちを考えて行動することは、とても大切です。しかし、相手に合わせようとするあまり自分の気持ちを我慢してばかりいると、ある日突然、感情が爆発することがあります。
私は以前、同僚から突然「私に昨日言ったことを謝罪してほしい」と言われました。
そのときの私は、「あなたの意見に賛同しなかったからといって、なぜ私が謝る必要があるのか」と納得がいきませんでした。しかし、「謝罪をすることで相手の気が済むなら」と、謝ってしまったのです。あとになって怒りがこみ上げ、本当の気持ちを言えなかった自分を責めて号泣してしまった苦い経験があります。
今思えば、相手が受け入れるかどうかは別として、まずは私の思っていることを伝えることが大切だったと思います。私の感情が爆発したのは、「相手に心外なことを言われた」からではなく「自分が必要以上に我慢をしていた」のが原因だったのです。
人の顔色をうかがって生きてきた人にとって、「自分の本当の気持ちに従うこと」は、最初は非常につらく、ハードルが高いことのように感じるかもしれません。
そんなときには一度、あなた自身の心に「私、本当はどうしたい?」と聞いてみてください。 大切なのは、自分の本心に耳を傾けつつ、上手な伝え方や断り方を身につけること。最初は難しいかもしれませんが、少しずつでもいいので実践してみてください。
まずは、「月に1回は、自分に正直になる」というように、クリアしやすい目標をもってみてはいかがでしょうか。
自分の思いを大切にできる人は、真の意味で相手のことを尊重できるのです。

坂口 千絵(さかぐち ちえ)
看護師、教育・指導サポート歴25年以上。コーチング、カウンセングなどの個人セッション実績豊富。2019年、「サポート職に携わる人のサポートに徹する」ことを決断し、25年間の看護師人生に幕を下ろす。
家族の死、最愛の夫の病死を通じ、死生観について学んだ経験をもとに、魂の望みを叶えながら、周りの人の幸せもしっかりとサポートしたい人に向け、オンライン講座を提供。セッションは「とにかく話しやすい」「具体的でわかりやすい」と好評。
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