現状を変えたいときにやっておくとよいこと
第11回目

現状を変えるためには「行動」が必要不可欠ですが、やみくもに動いても空回りに終わってしまいます。なんとかして現状を変えたいと思うときにやっておきたいのは、「動機の確認」です。つまり、「変えたい」のか、それとも「変えなければならない」と思っているのかを、自分自身に問いかけることが大切なのです。
マイナスにプラスをかけてもマイナス
「現状を変えたい」という気持ちは、「いまも悪くはないけれど、さらによい状態にしたい」という動機が出発点になります。この場合は、現状を受け入れた状態からより高い理想へと向かうため、無理せず変化することができます。
しかし、「現状を変えなければならない」という気持ちは、「いまの状況はイヤだ」という現状否定が動機になっています。そのため、たとえ変化があっても再び現状を否定して問題点を探し続け、現状を受け入れられないといった悪循環に陥ってしまいます。なぜなら「マイナス(現状不満)にプラス(希望)をかけてもマイナス」だからです。
そもそも、いま置かれている状況そのものに「良し悪し」は存在しません。その状況が「悪い」と判断しているのは、あなた自身なのです。どんなに現状をイヤだと感じていても、無意識に何らかのメリットを感じているため、変化せずに留まり続けるといったケースは非常に多いもの。現状を変えたいと思っているにもかかわらず、行動しても変われない理由も、ここにあります。
本物とニセモノの願望を見極める
私がカウンセリングでお会いした看護師さんの9割以上は、「現状をどうにかして変えたい」と思っています。しかし、実際にお話を伺うと、皆さんが掲げる理想の状態はニセモノの願望であることも少なくありません。自分が心から望むものではなく、「こうあることが幸せな状態である」という社会通念こそが、自分の望みであると勘違いしてしまっている方が多いのです。
たとえば「時間内に仕事を終わらせたい」という看護師さんのお話を掘り下げていくと、実は「遅くなってもいいから、確実に経験を積み重ねていきたい」ということが本当の望みだったということもありました。
世間でいわれている幸せが自分にとっての幸せであるとは限りません。
大切なのは、
・「変えたい」と思う動機が現状否定からくるものではないか
・理想の状態は、社会や第三者から言われたことにより「こうであるべき」と思い込んでしまったものではなく、自分が本当に望んでいるものか
をていねいに内面から見ていくことです。自分の現状を冷静に見つめながら真の望みを知ることで、無理なく変化することができますよ。

坂口 千絵(さかぐち ちえ)
看護師歴20年。新人教育のリーダーとして数多くの新人を育てた経験をもとに、カウンセリング、コーチングなど、さまざまな資格を活かして看護師さんの悩みに寄り添い、問題解決へと導く個人セッションを行っている。コーチング、カウンセリングの枠にとらわれない、「相手の思いを否定せず、ひとりでは考えつかない解決方法の提案」がクライアントから好評を博す。
HP:http://infinity-space.jimdo.com/
ブログ:http://ameblo.jp/counselor-chisa/