大学病院で働く看護師の年収・仕事内容|勤務するメリットも紹介
  • 2024年7月20日
  • 2024年7月17日

大学病院で働く看護師の年収・仕事内容|勤務するメリットも紹介

 

看護師が働く医療機関には、さまざまな種類がありますが、大学病院はそのなかの1つです。大学病院では「医療」の提供以外にも、「教育・研修」や「研究」といった役割も担っています。

この記事では、大学病院で勤務している看護師の仕事内容や年収の相場について、詳しく解説します。さらに、看護師が大学病院で勤務するメリット・デメリットについても取り上げるので、大学病院で働くかどうか検討している看護師の方は、ぜひご一読ください。

大学病院で働く看護師の仕事内容

大学病院は、医療を提供する以外にもさまざまな役割を担っている機関です。主な役割としては、以下の3点があります。

(1)教育・研修

大きな役割の1つが医療従事者の教育です。医師・歯科医師をはじめ、看護師や保健師、助産師、薬剤師といったさまざまな分野の医療従事者に対し、充実した実習の場を設け、育成を図ります。また、医療従事者に対し、充実した生涯学習の機会を提供することも期待される役割の1つです。

(2)研究

医学の進歩・発展を目指し、難治性疾患の原因解明や新しい治療法の開発といった医療技術の研究をするのも、大学病院が担う重要な役割です。研究の一環として、製薬会社から委託を受けて医薬品や医療用具の治験も行っています。医療設備や人員がそろっている大学病院は先端医療の研究や治験にふさわしい環境といえるでしょう。

(3)医療

難治性疾患や希少疾患、重症度の高い患者さんに対し、一般病院では難しい高度医療を提供するのも大学病院に期待される役割です。研究により開発した先進医療を導入して治療にあたります。

大学病院は教育機関や研究施設としての側面も持つものの、看護師の業務内容そのものは一般病院と大きく変わることはありません。基本的に、外来患者さんの診療をサポートし、入院患者さんをケアするのが主な仕事です。
(出典:文部科学省「21世紀に向けた大学病院の在り方について (21世紀医学・医療懇談会第3次報告)」

業務の専門性が高い

看護師業務の基本的な内容は一般病院と大きく変わらないものの、大学病院では専門性が高くなる傾向にあります。大学病院は一般病院よりも難治性疾患や希少疾患の患者さんの治療にあたるケースが多くなるためです。

また、内科が循環器内科や呼吸器内科に分かれるなど、診療科が多く細分化されていることも、専門性が高くなる理由の1つです。

一方で、大学病院では注射や採血、点滴のルート確保などは医師が担当し、看護師は行わないケースが多く見られます。

大学病院で働く看護師の年収相場

大学病院で働く看護師の年収相場

大学病院で働く看護師の平均年収がどれくらいなのか、気になっている看護師の方もいるでしょう。実は、大学病院看護師に限定した公的な年収データは存在しません。ただし、私立大学病院に限定したデータはあります。

データによると、私立大学の大学病院で働く看護師の月収・年収の相場は以下の通りです。

  • 月収:約37万円
  • 年収:約535万円

※賞与は月収の2.5か月分で計算

(出典:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」

以下は病院・診療所の職員数別の年収相場を示すデータです。

病院・診療所の職員規模 年収
病院・診療所の規模合計 約508万円
1,000人以上 約557万円
100~999人 約486万円
10~99人 約453万円
(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

病院・診療所全体での年収相場は500万円ほどで、規模が大きくなるほど年収も上がります。職員数が1,000人を超える病院と100人未満の診療所とでは、100万円近い違いがあります。

大学病院は、医師・看護師・事務員などすべての職員を合計すると1,000人を超えることが一般的です。大学病院で働く看護師の給与水準も、職員規模1,000人以上の病院に近いと考えられます。

職員規模の大きい病院での給与が全体平均より高めなのは、一般病院よりも先端的治療を実施する機会が多く、それだけ高い診療報酬を得られることが主な原因です。

看護師が大学病院で働くメリット・デメリット

看護師が大学病院で働くメリット・デメリット

大学病院勤務には、さまざまなメリットがあります。ただし、デメリットもないわけではありません。ここでは、看護師が大学病院で働くメリット・デメリットについて解説します。

看護師が大学病院で働くメリット

大学病院で働くと、高い専門性が身に付くなどさまざまなメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

(1)高い専門性が身に付く

一般病院に比べ、大学病院は診療科が細かく分かれており、難病・希少疾患を患う患者さんや重症の患者さんを看護する機会が多い環境です。看護の仕事を通し、それぞれの領域に特化した深い知識やスキルが身に付きます。

また、資格取得支援制度があるなど、教育体制も整っていることが一般的です。特にスキルアップを目指す看護師の方にとって、専門性が身に付く環境は大きなメリットといえます。

(2)先端医療や看護が学べる

大学病院では医療研究が進められており、その成果を患者さんの治療に取り入れています。また、医療に関する勉強会も盛んです。業務を通して医療の先進技術に触れられ、学べる機会も多く、看護師としてスキルアップできます。

(3)給与が高い傾向がある

大学病院の看護師の給与は、おおむね1,000人以上の規模の病院と水準が同じで、小規模な診療所などと比べ高い給与が期待できます。給与は働くモチベーションに影響を与えます。給与の水準が高ければ、意欲をもって業務に取り組めるでしょう。

看護師が大学病院で働くデメリット

大学病院勤務は高い専門性の習得が期待できる一方で、幅広い疾患の看護を経験する機会がないといったデメリットがあります。ここでは、主なデメリットを3つ紹介します。

(1)幅広い領域の知識やスキルの習得が難しい

大学病院では担当する診療科目に特化する傾向があるため、幅広い領域のケアに触れる機会がありません。さまざまな疾患や病状に悩む患者さんのケアをしたいと考えている場合は、思い描く看護ができない可能性があります。

(2)仕事が忙しく残業が多い傾向にある

大学病院は目が離せない重症度の高い患者さんも少なくなく、緊急度の高い患者さんが急に入ってくることもあります。そのため残業が発生しやすい傾向です。

(3)委員会や研究活動が忙しく辛く感じる場合がある

大学病院では、医療内容のサービス向上と充実を目的としてさまざまな委員会活動を実施していることが一般的です。委員会の種類や名称は病院によって異なり、たとえば「看護業務委員会」や「看護部主任会」「看護教育員会」などがあります。看護以外にも委員会の活動や勉強会の参加などがあるため、プライベートとの両立で悩むケースもあるでしょう。

大学病院で働く看護師が年収を上げる方法

大学病院で働く看護師が年収を上げる方法

大学病院で働く看護師が年収を上げるには、さまざまな方法があります。たとえば、以下のような方法です。

  • 夜勤に入る
  • 資格を取得する
  • 長く勤続する
  • 役職に就く

収入アップのもっとも堅実な方法は、夜勤に入ることです。夜勤に入れば1回あたり4,000~11,000円の夜勤手当が支給されるため、入る回数を多くすればそれだけ収入を増やせます。ただし、夜勤は身体にかかる負担が少なくありません。年収アップのために無理はしないようにしましょう。
(出典:公益社団法人日本看護協会「夜勤者の賃金処遇」

専門看護師や認定看護師といった上位資格の取得を目指すのも、有効な方法です。勤務先にもよりますが、基本給が上がる、手当がつくなどして収入が増える可能性があります。勤務先の大学病院に資格取得の支援制度があり、利用要件を満たしている場合は活用するとよいでしょう。

資格取得は、給与アップだけでなく、スキル向上にもつながります。業務の幅が広がり、転職を考えたときには有利になる方法です。

また、多くの病院で勤続年数が長いほど給与が上がる給与制度を採用しています。そのため、同じ大学病院に長く勤務すれば昇給が期待できます。長く勤めてスキルを磨き、管理職になれば、役職手当がついて給与が上がるでしょう。

まとめ

私立大学の大学病院で勤務している看護師の月収相場は、約37万円です。また、賞与を考慮した年収の相場は約535万円となっています。なお国公立大学を含むデータは存在していません。大学病院は、病院・診療所のなかでは、職員規模1,000人以上の規模の大きいところが多いです。職員規模1,000人以上の規模の病院・診療所に限定した看護師の平均年収は約557万円となっています。

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※当記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています

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