• 2024年4月6日
  • 2024年4月2日

既往歴とは? 既往症・持病との違いや履歴書への正しい書き方

 

医療機関を初めて受診するときには、ほとんどの場合で過去に何らかの病気を患った経験があるかどうかを質問されます。この「過去に患った経験のある病気」は既往歴(きおうれき)といい、問診だけでなく生命保険の加入時や履歴書の作成時にも伝える必要があります。

また、履歴書においては既往歴を「健康状態」欄に記載することが基本です。このとき、既往歴の有無によって適切な書き方が異なることにも注意しておきましょう。

今回は、既往歴の概要と既往歴の有無による正しい履歴書の書き方を紹介します。最後に、既往歴や持病は選考書類に影響を及ぼすかどうかについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

既往歴とは?

既往歴(きおうれき)とは、過去に患った経験のある病気のことで、現在は治癒しており継続的な通院の必要がないものを指します。

既往歴に含まれる具体的な病気・症状には、がんをはじめとした大きな病気のほか、出産経験や交通事故によるケガ、さらにアレルギーなどが挙げられます。しかし、症状が一時的で後遺症リスクのない風邪や腹痛などは既往歴にあたりません。

また、基本的に医療機関の初診時の問診票には「これまでにかかったことのある病気はありますか? 」といった文言で既往歴を問われます。医師は、問診票に記載された既往歴の内容を見て、「患者さんの現在の症状と既往歴の関連性」や「必要と考えられる検査」、さらに「重症化リスク」を判断して治療法を選択します。

このように既往歴は、現在の病気の診断や適切な治療法の選択に重要な手がかりの1つといえるでしょう。

既往歴と既往症の違い

既往歴と似た言葉として、既往症(きおうしょう)が挙げられます。

既往症は過去にかかった病気・ケガの履歴のことで、既往歴とほとんど同じ意味をもつ言葉です。厳密にいうと、既往症は過去に患った病気そのものを指し、既往歴は過去に患った病気の記録を指します。

医療機関や人によって呼び名が異なるだけであり、「既往歴はありますか」「既往症はありますか」のいずれの聴取パターンにおいても、過去の病歴を伝えれば問題ありません。

なお、「病歴」も既往歴・既往症と同様の意味として使われる言葉です。

既往歴と持病の違い

既往歴と混同されやすい言葉としては、「持病」が挙げられます。

持病とは、現在も治療を行う必要があり、長期的かつ慢性的に患っている病気を指します。現在も治療中の病気を指す言葉には「現病歴」や「現症」がありますが、なかでも持病はなかなか完治しない点が特徴です。例として、糖尿病や高血圧などの基礎疾患や慢性疾患は基本的に持病にあたります。

既往歴や持病がある、または健康な場合の正しい履歴書の書き方

既往歴や持病がある、または健康な場合の正しい履歴書の書き方

既往歴は病院の問診票だけでなく、生命保険・医療保険加入時の告知書や履歴書の「健康状態」欄にもしっかり記載する必要があります。既往歴があるにもかかわらず「既往歴なし」と申告するのは絶対に避けましょう。

特に、保険加入時は要注意です。加入者の保険料負担の公平性を保つため、保険会社・保険商品によっては健康なことを加入条件としているケースや、告知内容で保険料を決定しているケースがあります。万が一、虚偽申告した場合は「告知義務違反」となり、保険契約が解除される可能性も否定できません。

また、既往歴においては「虫垂炎など軽かったと感じる病気や交通事故・ケガは既往歴には含まれない」という誤解もよくあります。自己判断のみで既往歴を書いた場合、そのつもりがなくても申告義務に違反する可能性があるため、あらかじめ「どの病気やケガが既往歴にあたるか」を把握しておくことが大切です。

ここからは、既往歴や持病がある場合と健康な場合の正しい履歴書の書き方例を紹介します。

既往歴や持病がある場合の書き方

既往歴や持病がある方は、履歴書の健康状態欄にその旨を記載することが基本です。

とはいえ、採用側にとって健康状態欄は「応募者の健康上の問題によって業務に支障をきたす可能性があるか」を判断するための要素となります。したがって、単純に既往歴の有無よりも持病や後遺症、定期的な通院の有無のほうが重要となることを覚えておきましょう。

たとえば、「既往歴があるものの、持病はなく定期的な通院の必要性や既往症による健康上の問題もない」という場合は、履歴書の健康状態欄に「良好」と記載しても問題ありません。なぜなら、既往歴によって業務に何らかの支障をきたすおそれがないためです。

しかし、持病や既往症による後遺症が原因で業務に何らかの支障をきたすおそれがある場合は、履歴書の健康状態欄にその旨を必ず記載しなければなりません。また、通常業務に支障をきたすおそれがなければ「良好」と記載しても問題ないものの、一部の業務に配慮や制限が必要となる場合は、具体的な内容を付け加えておくことが大切です。

【既往歴や持病がある場合の履歴書(健康状態欄)の例文】

CASE(1) 良好
(通常業務に支障はありませんが、腰痛の影響によって重量のある物は運べません)
CASE(2) 20XX年X月に●●●を発症したことによって、今のところX月までは隔週での定期通院が必要です。公休日に通院の予約が取れなかった場合は、休暇取得を希望させていただきます。

健康な場合の書き方

既往歴や持病がなく健康である場合や、既往歴はあるものの、問題なく日常生活や仕事ができる場合は、履歴書の健康状態欄に「良好」と記載しておきましょう。

なお、応募先に対して健康さをよりアピールしたい場合は、「きわめて良好」と記入し、どれほど健康なのかもあわせて記入することも有効です。特に、体力を必要とする職種や外回りの多い営業職に応募する場合は、採用担当者によい印象を与えられるでしょう。

【健康な場合の履歴書(健康状態欄)の例文】

CASE(1) 良好
CASE(2) きわめて良好
(前職では●年間、無遅刻・無欠席です)

既往歴や持病は書類選考に影響する?

既往歴や持病は書類選考に影響する?

履歴書の健康状態欄は、採用側にとって「応募者の健康状態によって業務に支障をきたす可能性があるか」を判断する要素であることから、「既往歴や持病が選考書類に影響を及ぼすのでは」と考える方も多くいるでしょう。

結論から述べると、応募者の健康状態だけを原因として書類選考で落とされることはありません。なぜなら、一部の職種を除き、基本的に企業は応募者の健康状態を直接的な理由として不採用にすることが禁じられているためです。

しかし、応募者の健康状態が原因で「業務遂行に問題がある」とみなされ、結果として不採用になるケースもあります。

業務に支障があるかどうかがポイント

応募者の健康状態だけが原因で不採用につながることはありませんが、「健康状態が原因で業務に支障をきたす」と判断された場合は不採用となる可能性も十分に考えられます。

たとえば、長時間のパソコン作業が想定される経理部門の求人に、腱鞘炎の持病がある方が応募するとなれば、通常業務に何らかの支障をきたすことは明らかです。もし健康状態が良好な数名の応募者がほかにいた場合は、総合的な判断によって腱鞘炎の持病がある方は不採用となる可能性がより高まるでしょう。

しかし、腰痛によって重量物を運べない方の場合は、経理部門の通常業務となるパソコン作業に大きな影響はきたしません。業務遂行への問題はないとみなされるため、既往歴や持病のない良好な健康状態の応募者と同様の基準で採用・不採用が判断されるでしょう。

健康状態に問題がある=不採用ではない

前述の通り、企業は健康状態を直接的な理由として不採用にすることが禁じられています。既往歴や持病があっても「通常業務に支障はない」と判断されれば、合否にマイナスな影響を及ぼすことはありません。

また、健康状態に何らかの問題があっても、保有スキルや人柄がそれを上回れば採用されるケースも少なからずあるでしょう。企業によっては、代替業務を任せてもらえるケースもあります。

したがって、「健康状態に問題がある=不採用につながりやすい」というイメージは間違いであることを覚えておきましょう。

健康状態の箇所は空欄や嘘を記載しないことが大切

履歴書は、すべての欄を記入して提出することが基本です。既往歴や持病がない方や、既往歴はあるものの日常生活や仕事を問題なく行える方であっても、健康状態欄は必ず記入して空欄を埋めましょう。

また、既往歴や持病のある方が履歴書の健康状態欄を記入する際、応募した職場に必ず採用されたいからといって、嘘の申告をしてはなりません。業務全般に支障がない既往歴なら申告しなくても問題ないものの、持病や既往症の後遺症が原因で業務に何らかの影響や制限が生じる場合は、必ず申告する必要があります。

嘘の申告をしたにもかかわらず採用されたとしても、健康診断や業務中の動きなどで嘘が露呈する可能性は十分に考えられます。企業からの信頼を失う原因となるため、あらかじめ正直に申告しましょう。

なお、履歴書テンプレートによっては健康状態欄がないものもありますが、健康状態欄がないからといって既往歴や持病を申告しなくていいというわけではありません。既往歴や持病のある方が健康状態欄のない履歴書を作成する際は、備考や特記事項に詳細を記入しておきましょう。

まとめ

既往歴とは、過去に患った経験のある病気のことで、現在は治療・通院の必要がないものを指します。混同されやすい言葉として持病が挙げられますが、持病は長期的かつ慢性的に患っている病気のことで、現在も治療・通院の必要があるものを指します。

履歴書に既往歴を記載する理由は、採用側が「応募者の健康状態によって業務に支障をきたす可能性があるか」を判断するためです。そのため、業務遂行に何らかの影響を及ぼす既往歴や持病については、正直に申告しておきましょう。

全国の看護師求人を豊富に掲載する「マイナビ看護師」では、業界に精通したキャリアアドバイザーが「既往歴や持病のある方でも働ける求人」のみをピックアップして紹介いたします。既往歴や持病があっても看護師として活躍したいという方は、マイナビ看護師の無料転職サポートサービスをぜひご利用ください。

※当記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています

著者プロフィール