• 2023年10月27日
  • 2023年10月27日

在宅医療の人材教育に貢献する体験型学習システム|「Dr.そうすけの在宅キャンプ」とは

 

在宅医療とは、通院が困難で自宅での療養を希望する患者さんのために、患者さんの生活の場である自宅や老人ホーム、高齢者住宅などに訪問して行われる診療のことです。具体的には、医師や訪問看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、ケアマネジャー、介護福祉士といったさまざまな医療・介護の専門職が連携し、チームとして患者さんの治療や介護、リハビリなどに対応します。

現在、高齢者の増加にともなって、在宅医療のニーズも年々高まっていますが、一方で在宅医療に従事する医療・介護人材が不足していることも事実。この状況は、社会全体にとっての大きな課題と言えるでしょう。

そうしたなか、人材育成をスムーズに進めるための画期的なオンライン教育プログラムとして注目を集めているのが、「Dr.そうすけの在宅キャンプ」です。本記事では、「Dr.そうすけの在宅キャンプ」を取り上げ、その特徴や内容について紹介していきます。

在宅医療が注目される背景と課題

教材を紹介する前に、まずは在宅医療の現状をおさらいしておきましょう。

内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者の人口は3,624万人となっており、総人口の約20%に達しました。高齢者の数は今後も増え続け、令和19年には国民の3人に1人が65歳以上になると見込まれています。

また、日本財団が行った「人生の最期の迎え方に関する全国調査結果」によると、人生の最期を迎えたい場所について「自宅」を希望する人が58.8%にのぼっており、多くの方が「住み慣れた場所で暮らしたい」「自分らしい生活を続けたい」と願っていることがわかります。 そうした国民の希望を受けて、国では在宅医療の仕組み作りを推進。医療と介護が連携した包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指しています。

1. 在宅医療のメリットとデメリット

在宅医療のメリットとして挙げられるのは、患者さんが通院・入院の負担や不安から解消され、住み慣れた自宅や施設で療養生活を送れる点です。加えて、患者さんや家族、チーム医療のスタッフが信頼関係を築きやすいことや、医療・介護のトータルサポートが受けられることも、在宅医療のよさと言えるでしょう。

一方で、在宅でできる治療には限界があります。加えて、緊急時にすぐさま対応できない場合もあり、そうした点が在宅医療のデメリットとされています。

2. 在宅医療が抱える課題

厚生労働省の「在宅医療連携モデル構築のための実態調査報告書」によると、医療機関の約6割が「診療所のある地域での在宅医療における課題」として、「在宅医療に携わる医療従事者(マンパワー)の確保」を挙げています。つまり、社会のニーズに対して、訪問診療・往診を行う人材の供給が追い付いていないわけです。

また、在宅におけるさまざまな状況に対応するためには、医療だけでなく介護・福祉分野においても、高い専門性を持った人材の育成が急務と言えます。

「Dr.そうすけの在宅キャンプ」とは

在宅医療分野における人材不足が続くなか、人材育成に貢献するべく開発されたのが、先に紹介した「Dr.そうすけの在宅キャンプ」です。

「Dr.そうすけの在宅キャンプ」は、在宅医療に長年携わってきた飯塚聡介医師が監修をつとめるオンライン動画教材で、医師や看護師だけでなく、医療事務、ケアマネジャー、社会福祉士、保健師、医療ドライバーなど、幅広い医療・介護職を対象にしている点に特徴があります。

ここからは、「Dr.そうすけの在宅キャンプ」の概要やそのほかの特徴、講義内容、利用方法などについて詳しく紹介していきましょう。

1.主な特徴と想定される利用シーン

在宅医療の研修を手軽に実施できる「Dr.そうすけの在宅キャンプ」は、「日々の業務に追われて研修の時間がとれない」「研修プラグラムが用意できない」「在宅医療に参入するにあたって何からはじめていいかわからない」などの課題を抱えている医療機関・事業所にとって、非常に使い勝手のよいプログラムです。

主な特徴や想定される利用シーンは、以下の通りとなります。

【特徴】

  • 在宅医療にかかわるすべての人を対象としている。
  • 200本を超える豊富な講義動画が用意されている(随時更新中)。
  • PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスに対応。
  • 講義の時間は1本あたり7〜10分程度のため、すきま時間に効率よく学べる。

  • 幅広い職種・テーマに対応しているため、現場での動きが網羅的に習得できる

「教育は楽しんで学び、習慣化してこそ効果が得られる」との考えから、監修者が在宅医療の現場で培ったより実践的な内容を楽しく、わかりやすく伝えているのもこの教材の魅力です。どの講義も講師役の「Dr.そうすけ」と、アシスタント兼ナビゲーター役の「るか君」の軽妙なかけあいで進んでいくので、7〜10分間があっという間に感じますよ。

【想定される利用シーン】

①就職前の学習
内定から入職までの期間に在宅キャンプしてもらうことで、在宅医療に対する心構えや実践的な知識が身につきます。

②入職直後のオリエンテーション
動画を視聴してもらうだけで現場の実践感覚が養われるため、人材教育のための人手が確保しにくい医療機関・事業所の研修教材として活用できます。動画で在宅医療の基礎を学んでもらうことで、教育する側が重要なローカルルールやポイントの教育に集中できるのも大きなメリットです。

③リスキリング
「配置転換で新しいことに挑戦しなくてはいけなくなった」「今まで手を付けてこなかったことに挑戦したくなった」という方も、手軽に学習を進められます。

特別な研修時間を設けることなく、1人ひとりが自分のペースで学習できるので、チームのレベルアップをはかりたい医療機関・事業所はもちろん、個人として在宅医療を学びたい方にもおすすめです。

また、動画教材を上手に活用することで、「採用側と求職者側の意識のズレ」や「フォローアップ体制不足」といった課題も改善できるため、早期退職の防止にもつながりそうです。

2. 講義の内容

「チーム医療ってなんだ!?」「在宅医療の戦術と戦略」といった在宅医療の基本を学ぶコンテンツから、医療分野、相談分野、医療事務、医療ドライバー分野まで幅広いジャンルの講義が網羅されているため、職種を限定することなく在宅医療の知識を深められます。

以下は、講義テーマの一例です

【講義テーマ例】

分野 講義テーマ例
在宅医療従事者全般 チーム医療ってなんだ!?
訪問診療と連携
在宅医療の戦術と戦略
困難事例への対応
訪問診療〜居宅と施設の違い
スティグマには気を付けろっ!!
家とは何か
医療者 輸血〜血小板輸血とアレルギー反応
処置の準備〜注意点をまとめてみよう
一流ナースになるために〜認知症
一流ナースになるために〜高血圧
一流ナースになるために〜嚥下困難
一流ナースになるために〜身体診療
相談員 訪問診療と訪問看護の違い
初診の構造分析
患者さんを分析しよう〜医療ニーズ
患者さんを分析しよう〜サービス提供側体制
訪問看護に期待すること〜生活の把握
訪問看護に期待すること〜医療的な観察・報告
医療事務員 医療保障制度と社会保険制度
医療保険制度〜保険給付
医療保険制度〜保険外併用療養費
レセプト〜往診料
レセプト〜在宅患者訪問診療料
レセプト〜包括的支援加算
医療ドライバー 医療ドライバーになるために

コンテンツは200本以上が用意されており(2023年10月現在)、今後も随時更新されていく予定だとか。それぞれの動画には、対象となる分野(職種)が明記されているので、自分の業務に関連するものから学んでいくのもよいでしょう。

なお、法人として契約した場合、「どのスタッフがどれくらい動画を視聴できているか」を確認できるため、進捗にあわせて学習を促したり、各スタッフの課題に沿った研修を行ったりすることも可能です。

3.研修費用

「Dr.そうすけの在宅キャンプ」には、次の3種類のプランが用意されています。用途や人数、予算などにあわせて、最適なプランを選択しましょう。

①診療所プラン 35,800 円~/月
・動画視聴のためのIDは5名分〜(IDは追加で取得可能)
・すべての動画が見放題
・進捗管理機能

②訪問看護ステーションプラン 17,500 円~/月
・動画視聴のためのIDは3名分〜(IDは追加で取得可能)
・すべての動画が見放題
・進捗管理機能

③個人プラン 2,500 円/月
・動画視聴のためのIDは1名分
・すべての動画が見放題

詳しい情報を知りたい方は、下記の公式サイトにアクセスのうえ、指定のフォームを使ってお問い合わせください。

動画教材に対する思い

では最後に、教材で講師をつとめる「Dr.そうすけ」から、ナースプラスユーザーのみなさんに向けたメッセージを紹介します。

【Dr.そうすけからのメッセージ】
在宅医療はチーム医療です。在宅では医師だけでなく看護師や介護職の方々が、お互いの立場や役割を理解して動く必要があります。しかし、在宅医療について学べる職種横断的な教育機会はいまだに乏しく、チームの共通した知識や目標、あるいは在宅の作戦について深化できる環境が整っているとは言えません。

また、医療看護介護分野は人材不足が続いており、この課題を解消するためには他分野からの人材流入を促し、早期離職を防ぐ必要があります。加えて、再チャレンジがしやすいような仕組み作りも必要でしょう。

こうした状況のなか、「職種横断的に学べるプログラムがあれば、日本の在宅医療全体の底上げにつながるかもしれない」と考えて生まれたのが「Dr.そうすけの在宅キャンプ」です。この動画教材は「知識詰め込み型」を目指しておりませんので、すきま時間にリラックスして使ってもらうのがいちばん。私たち2人の物語に、共感したりつっこんだり驚いたりしながら、楽しく在宅医療を学んでください。そして、一緒に在宅医療の課題を乗り越えていきましょう。

まとめ

少子高齢化が進む日本では、在宅医療に対するニーズがますます高まっていくと予測されます。一方で、在宅医療に携わる人材は不足傾向にあり、在宅分野での人材教育は社会的な課題となっています。

今回、紹介した「Dr.そうすけの在宅キャンプ」は、手軽かつ網羅的に在宅医療への学びが得られる動画学習教材です。「在宅医療の人材育成に貢献したい」と考える医療機関・事業所の方や、「将来的に在宅医療に携わってみたい」という看護師の方は、ここからはじめてみるのもいいかもしれませんね。

特に、「在宅医療には興味があるけれど、知識や経験がない」「何からはじめていいかわからない」と二の足を踏んでいる方にとって、在宅医療の世界が垣間見れる「在宅キャンプ」は最良のツールになるはずです。

Dr.そうすけの在宅キャンプ

  • 公式サイト https://zaitakucamp.com/
  • 制作・著作:株式会社時空プロジェクト
  • 監修医師:飯塚聡介(日本内科学会総合内科専門医・医学博士)

著者プロフィール