一昔前は、「看護師は女性の仕事」という認識を持つ人が多くいました。しかし、近年は男性看護師の需要が高まっており、看護師をめざす男性は増加傾向にあります。
この記事では、なぜ「男性看護師になるのはやめとけ」という声があるのか、理由を解説します。男性看護師として働くメリットや男性看護師の活躍が期待されている職場、理想の職場を探す方法を紹介しているので、看護師をめざす男性の方はぜひ参考にしてください。
男性看護師になるのはやめとけと言われる5つの理由
力仕事の多い医療現場において男性看護師は重宝されていますが、「男性看護師になるのはやめとけ」という声も聞かれます。
ここでは、「男性看護師になるのはやめとけ」と言われる理由を5つ紹介します。
1.一般男性の平均給料を下回っている
男性看護師の平均給料が低いことを理由に、「男性看護師になるのはやめとけ」と言われています。
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、男性看護師の平均給料が32万3,700円なのに対し、男性全体の平均給料は33万7,200円と、約14,000円の差があります。
男性看護師 | 32万3,700円 |
男性全体 | 33万7,200円 |
また、年齢別の平均給料は以下のとおりです。
年齢 | 男性看護師 | 男性平均 |
---|---|---|
20~24歳 | 25万3,800円 | 21万5,400円 |
25~29歳 | 29万1,100円 | 25万3,300円 |
30~34歳 | 32万2,200円 | 29万500円 |
35~39歳 | 32万4,800円 | 32万7,000円 |
40~44歳 | 34万8,300円 | 35万7,600円 |
45~49歳 | 35万7,300円 | 38万2,800円 |
50~54歳 | 37万9,900円 | 41万2,100円 |
55~59歳 | 33万9,800円 | 41万3,600円 |
60~64歳 | 31万6,600円 | 31万3,600円 |
65~69歳 | 26万5,800円 | 27万4,800円 |
70歳~ | 25万8,600円 | 25万6,500円 |
34歳までは看護師のほうが平均給料が高い傾向に。しかし、35歳からは男性全体の平均給料のほうが高く、年齢を重ねるにつれて差が開いていきます。
50~54歳で男性全体の平均給料は41万円を超えるのに対し、男性看護師は38万円弱です。この結果から、男性看護師はほかの職業よりも、キャリアを積んで収入アップをするのが難しい可能性があると考えられます。
2.激務で身体的にも精神的にもハード
激務なのは看護師に限ったことではありませんが、特に病院勤務の看護師は夜勤があるため、生活が不規則になり疲労がたまりやすいといえます。また、夜勤は日勤に比べて人数が少ないため、業務負担が大きく、その分責任も増えます。
さらに、看護師はシフト制で働くのが一般的で、土日祝に出勤することも少なくありません。家族や友人と休みが合いづらく、一緒に過ごす時間を作りにくいため、うまくリフレッシュできずに心身共に疲れてしまう人もいるでしょう。
3.女性の割合が多く人間関係に悩んでしまう
看護師の職場はまだまだ女性が多く、厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2020年末時点の看護師の人数は128万911人で、そのうち男性看護師は10万4,365人でした。
男性看護師の人数は年々増加傾向にありますが、全体の10%にも満たないのが現状です。
多くの男性看護師は女性看護師と上手く連携して仕事をしていますが、なかには女性看護師とコミュニケーションを取るのが難しいと感じている人もいるようです。また、職場によっては肩身の狭い思いをしてたり、男性看護師特有の悩みは相談しづらいと悩んでいたりする男性看護師がいると考えられます。
参照元:厚生労働省「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
4.患者さんに女性看護師が良いと言われてしまう
患者さんによっては、男性看護師からのケアを嫌がる人もいます。
看護では体位交換や移乗介助など、患者さんの体に触れる場面が多々あります。特に着替えや清拭、入浴介助、排泄介助など、羞恥心を伴う介助を男性看護師にされたくないと思う女性の患者さんは多いでしょう。また、女性の患者さんだけでなく、男性の患者さんであっても男性に体に触れられるのを好まない人もいます。
看護を断られることに、必ずしも性別が関係しているとは限りません。しかし、女性の患者さんからすると、同性の女性看護師のほうが恥じらいが少なく看護への抵抗は少ないでしょう。
5.キャリアプランが描きにくい
男性看護師は女性看護師に比べて人数が少ないため、同性のロールモデルを見つけにくかったり、キャリアプランが描きにくかったりといった悩みがあるようです。
先輩の女性看護師がロールモデルになる場合もありますが、自分と近い境遇の同性の男性看護師のほうが目標にしやすいでしょう。将来的にキャリアに悩む可能性があるため、「男性看護師になるのはやめとけ」という声があると考えられます。
男性看護師として働く3つのメリット
「男性看護師になるのはやめとけ」という声がある一方で、男性看護師にはメリットもあります。以下では、男性看護師として働くメリットを3つ紹介します。
1.雇用が安定している
看護師は需要の高い職業であり、人手不足の問題を抱えている医療機関が多いため、就職・転職に困ることは少ないといえます。給料が急激に下がったり解雇されたりする心配も少なく、安定して働けるでしょう。
また、日本は超高齢社会であるため、今後は病院やクリニックといった医療機関以外に介護施設などでも需要が高まると予想されます。
2.スキル・資格取得によって収入アップを狙える
看護師は自身のスキルや資格取得によって、収入アップを狙える職種です。
資格を取得することで専門性の高い看護師として働けるだけでなく、職場によっては資格手当を得ることもできます。スキルアップやキャリアアップ、収入アップをめざす男性看護師におすすめの資格は、以下のとおりです。
- 認定看護師
- 専門看護師
- 保健師
- ケアマネジャー
- 公認心理師
- 臨床心理士
特定の科目や分野のプロフェッショナルをめざすのであれば、認定看護師や専門看護師がおすすめです。身体のケアだけでなくメンタルケアも行いたい方は、公認心理師や臨床心理士といった心理系の資格を取得すると良いでしょう。
今後さらに需要が高まると予想される高齢者看護・介護に進みたい方は、ケアマネジャーのほか介護福祉士の資格を取得するのもおすすめです。
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3.男性看護師が必要とされる場面がある
看護現場は想像以上に力仕事が多いため、男性看護師は頼りになる存在です。特に体が大きかったり体重が重かったりする患者さんの体位交換や移乗介助では、女性看護師に頼りにされることが多いでしょう。
また、男性の患者さんに悩みを相談されたり、ケアを求められたりすることも。女性の多い職場で、数少ない男性看護師は無くてはならない存在です。
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男性看護師の活躍が期待される職場
男性看護師は体力が必要だったり、男性の患者さんが多かったりする診療科・職場で重宝される傾向にあります。男性看護師の活躍が期待される職場は、以下のとおりです。
- 精神科
- 救急科
- 手術室
- 整形外科
- リハビリテーション科
- 泌尿器科
- 男性専門外来
- 介護施設
整形外科・リハビリテーション科・介護施設など、上手く体を動かせない患者さんや高齢者を支える機会が多い診療科・施設は、男性看護師が活躍しやすい職場といえます。また、せん妄状態・錯乱状態となって暴れる患者さんがいる精神科では、力のある男性看護師が重宝されるでしょう。
泌尿器科や男性専門外来には、女性には言いにくい症状・悩みを抱える男性の患者さんが多くいます。同性として悩み相談に乗ったり、心身共にサポートできたりと、大きなやりがいを感じられるでしょう。
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男性看護師が理想の職場を探す方法
ここでは、男性看護師が理想の職場を探す方法を紹介します。
それぞれメリット・デメリットも紹介しているので、就職・転職の予定がある男性看護師さんは、内容を参考にして理想の職場を見つけてください。
知人に紹介してもらう
男性看護師が理想の職場を探す方法として、知人に紹介してもらう方法があります。
知人に職場を紹介してもらうメリットは、職場の内情が分かること。特に知人が過去に勤務していた職場や現時点で勤務している職場の場合、スタッフの雰囲気や業務内容、医療機関の考え方、給料事情などを詳しく知ることができます。そのため、入職後のミスマッチが生じにくいでしょう。
知人からの紹介は、メリットがある一方でデメリットもあります。
いざ、採用担当者から話を聞くと想像と違ったということもあるでしょう。知人を通して選考を受けた場合、内定の辞退がしにくいほか、紹介者である知人との関係にヒビが入る恐れがあります。
求人サイトを利用する
職場を探す一般的な方法として、求人サイトの利用があります。
求人サイトは自分のペースで就職・転職活動ができるのがメリットです。転職を決意していなくても、情報収集のために求人サイトを利用できます。多数の求人が掲載されているので、各職場を比較することも可能。また、求人サイトによっては自身のスキルや希望条件を入力しておくことで、スカウトメールが来ることも。スカウト機能を使うことで、より効率的に理想の職場を探せるでしょう。
求人サイトは自分のペースで転職活動ができたり、自由に職場を探せたりする一方で、すべて自身で判断しなければならないというデメリットがあります。求人ページに情報は書かれていても職場の内情まではわかりません。そのため、なかなか自分に合う職場を見つけられない可能性があります。
転職エージェントを利用する
転職エージェントは、人材を募集している職場と転職希望者のマッチングを行うサービスです。
転職エージェントでは、転職のサポートを行っています。求人の紹介をはじめ、応募書類の添削や面接対策を受けられるほか、職場の実情を詳しく聞くことが可能。非公開求人を紹介してもらえることもあり、思いがけない求人に出会える可能性があるでしょう。また、自分では気づかなかった強みを知れたり、考えもしなかったキャリアプランを提案されたりなど、視野が広がるのもメリットです。
一方で、転職エージェントには担当するアドバイザーによって対応が異なるというデメリットもあります。多くの求人を紹介されたり、幅広いキャリアの可能性を提示されたりしたことで、どうしたら良いのか悩んでしまうことがあるでしょう。逆に、紹介先が少なく選択肢が狭まる可能性もあります。転職エージェントは、担当するアドバイザーとの相性が重要といえます。
まとめ
一部では「男性看護師になるのはやめとけ」という声も聞かれますが、男性看護師は需要の高い職種です。力仕事の多い看護現場で男性看護師は重宝されており、人数は増加傾向にあります。超高齢社会である日本では今後も医療・介護需要が伸び続けることから、看護師の需要はさらに高まるでしょう。
看護をするうえで、患者さんや高齢者の身体を支えるのには力が必要です。男性看護師の活躍の場はさらに広がると予想されており、資格・スキルによってキャリアアップや収入アップが望める仕事といえます。
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