• 2023年5月13日
  • 2023年5月10日

病院とクリニックの違いはなに? 仕事内容や求人の特徴を紹介

 

医療業界にはさまざまな施設・業種があり、多種多様な患者さんをサポートしています。看護師さんもそのうちの1人で、医療業界にはなくてはならない存在です。

看護師さんが勤務できる施設には病院やクリニックなどがあり、それぞれ特徴があります。看護師として働くにあたっては、まず施設の特徴や仕事内容などを把握することが重要です。

当記事では、病院とクリニックの違いについて詳しく解説します。それぞれに向いている人の特徴や求人を探すときのポイントも紹介するため、ぜひお役立てください。

病院とクリニックの違い

そもそも病院とは、公衆または特定多数人に対して、医師や歯科医師が医療行為を提供する施設のことです。一定数以上の医師やベッドおよび入院施設を有しており、適正な診療を受けられる施設として運営されています。

クリニック(一般診療所)とは、病院ほどの入院施設は有していないものの、同じく適正な診療を行うための施設です。同じカテゴリーには、医院も含まれます。

厚生労働省では、各医療施設を下記の通り定義しています。

病院

医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所であって、患者20人以上の入院施設を有するもの

一般診療所

医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所(歯科医業のみは除く)であって、患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院施設を有するもの

上記であげられている入院施設数のほかにも、病院とクリニックはさまざまな違いがあります。簡易的に表へまとめると、病院とクリニックの違いは下記の通りです。

医療施設 病院 クリニック(一般診療所)
施設数 8,205施設 104,292施設
病床数 20床以上 20床未満または無病床
スタッフの配置基準
  • 医師16:1
  • 薬剤師70:1
  • 看護職員3:1
  • 医師1人
  • 看護職員4:1
役割や仕事内容
  • 重く複雑な病気の治療
  • 高度医療機器による診断
  • 高度医療機器による治療
  • 病気の初期治療
  • 安定期の治療
  • 在宅患者の治療
診療費 初診料+特別料金
※紹介状の有無で特別料金の変動あり
初診料のみ
※初診料機能強化加算が生じる場合もあり
(出典:厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」

上記の施設数は、厚生労働省による調査が行われた2021年時点のデータです。以下では、各項目の詳細を解説します。

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施設数

厚生労働省が公表した資料によると、2021年時点の病院とクリニックの施設数は下記の通りです。

病院 8,205施設
クリニック(一般診療所) 104,292施設
(出典:厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告」

医療施設全体で見ると、増加傾向にあります。病院は前年度に比べると若干の減少を見せつつも、クリニックが1,680施設の増加となりました。ただし、増加傾向を見せているクリニックは、無床の施設が多いことが特徴です。

全体の動向としては、入院施設を有する病院・クリニックが減少しつつあります。一方で、ベッド数を増床させた病院・クリニックも若干数あり、なかには900床以上を有する病院もあります。

病床数

病院とクリニックの最大の違いは、病床数の制限です。病院とクリニックは、下記の通り設置できるベッドの数に差があります。

病院 20床以上
クリニック(一般診療所) 0~19床
(出典:厚生労働省「社会保障審議会医療部会(12/2)資料」

病院は20床以上と下限のみ設定されているため、施設ごとに規模はさまざまです。

厚生労働省の資料によると、2021年時点で900床以上の病床数を維持している病院は全国に52施設です。100床以上の病院は約5,000施設あり、病院の全体数8,205施設の半数以上におよびます。
(出典:厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告」

クリニックも全体の割合としては、制限最大の19床に近い病床を設置しているところがほとんどです。有床クリニック6,169施設のうち、4,395施設が10~19床設置しています。

スタッフの配置基準

病院とクリニックは、医師はじめ各スタッフの配置基準も異なります。病院は最低3人の医師を配置し、なおかつ下記の通り患者数に応じた割合を満たすことも必要です。

医師 看護師
一般病床 16:1 3:1
療養病床 48:1 4:1
外来患者 40:1 30:1
(出典:厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について」
(出典:厚生労働省「社会保障審議会医療部会(12/2)資料」

なお、耳鼻咽喉科と眼科のみ、外来患者80人あたり医師1人の割合となっています。一方のクリニックは、医師の配置数に制限がありません。1施設に対して医師1人でも運営が許可されています。ただし、看護師は外来患者4人あたり1人の割合での配置が標準です。

医療従事者の役割・仕事内容

病院とクリニックは、仕事内容や働き方も異なります。病院で働く医療従事者の場合、多くのスタッフでチーム医療に取り組むことが特徴です。たとえば看護師はシフト制で働くことが多く、病院の規模によっては夜勤のほかに緊急呼び出しが生じる場合もあります。

クリニックで働く医療従事者は少ない人数で現場をまわすため、即戦力となる人物が求められます。問診や採血など診療の補助に加えて、医療器具の洗浄、発注、受付や電話による患者さんの応対、院内の清掃も看護師の仕事です。

診察費

2015年成立の医療保険制度改革法によって、紹介状なしの患者さんが大病院を受診すると特別料金が徴収されるようになりました。
(出典:厚生労働省「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律(平成27年改正)について」

特別料金は200床以上の病床を有する病院または特定機能病院などに該当する施設に対して、紹介状を持参せずに受診した場合に発生する料金です。

初診料や再診料とは別に発生する特別料金は、全額自己負担となります。病院やクリニックの規模別に整理すると、紹介状なしの患者さんが窓口で支払う自己負担金は下記の通りです。

クリニック
200床未満の病院
200床以上の病院 特定機能病院
200床以上の地域医療支援病院
特別料金の有無 なし かかる場合がある 5,000円以上かかる
自己負担金
(3割負担の場合)
診療費のみ
(860円)
診療費
+特別料金
(860円+自己負担金)
診療費
+特別料金
(860円+5,000円以上)

上記は、初診料2,880円かつ健康保険適用によって3割負担となる場合の金額です。200床以上で特定機能病院や地域医療支援病院に該当しない病院を受診する場合は、病院が独自に設定した特別料金が全額自己負担でかかることがあります。

特定機能病院や地域医療支援病院を受診すると、特別料金のみで自己負担額は5,000円以上です。再診の場合も、2,500円以上の特別料金が設定されています。
(出典:全国健康保険協会「9月 いきなり大病院は特別料金がかかる」

病院とクリニックならどっちで働くのがいい?

病院とクリニックならどっちで働くのがいい?

病院とクリニックは働き方や環境が異なる分、それぞれのメリットがあります。主なメリットは次の通りです。

病院で働くメリット
  • 教育制度が整っているところが多い
  • ジョブローテーションが用意されているところもある
  • 最先端の医療に触れる機会がある
クリニックで働くメリット
  • 勤務条件の融通が利きやすい

  • 人数が少ない分、濃密な人間関係を築きやすい

  • 状況に応じた指導を受けられる

教育カリキュラムに沿ってスキルアップしたいか、ワークライフバランスなど勤務条件を重視するか、職場に求める待遇で適した働き方は異なります。

ここからは、病院とクリニックどちらで働くか悩んでいる方へ、それぞれの魅力や向いている人の特徴を詳しく解説します。

病院に向いている人

病院はスタッフ数が多いため、分業制が成り立っていることが特徴です。教育制度や研修制度も整備されており、症状ごとの適切な対応方法などを効率よく学べて、スキルアップできる環境です。

先端医療に取り組んでいる病院で働けば、より専門性の高い知識や技術、チーム医療の連携を学べます。

病院での勤務が向いている人の特徴は、下記の3つです。

  • 特定の業務に集中したい人
  • 教育制度を重視したい人
  • シフトでメリハリつけて働きたい人

総合病院のように診療科目が豊富でスタッフ数の多い職場は、シフト制を取り入れているところが多いことも特徴です。そのため業務をほかのスタッフと分業でき、休み希望を通しやすいメリットがあります。

一方で、看護師など業種によっては休日出勤や夜勤ありの病院もあるため、転職時は希望の勤務ができるか否かを事前に確認しましょう。夜勤も入れて効率よく収入アップを目指したい場合も、勤務条件は重視したいポイントです。

クリニックに向いている人

クリニックは少人数で運営していることが多いため、1人あたりの業務範囲が幅広くなります。診察室内の業務に加えて、検査や受付関係の仕事を担当することもあります。1つの分野に集中したいと考えるタイプよりも、さまざまな業務を経験したい人に適した環境です。

クリニックに向いている人の特徴は、下記の3つです。

  • さまざまな業務を経験したい人
  • 患者さん一人ひとりに丁寧に対応したい人
  • ワークライフバランスを重視したい人

地域密着型のクリニックは、患者さん一人ひとりとの距離が近い傾向にあります。かかりつけの医療機関として、来院した患者さんへ丁寧に対応したい人や、自分のペースで働きたい人に適しています。

また、ワークライフバランスを取りやすいこともクリニックの魅力です。経営者との距離も近く、ある程度は勤務時間が固定されるため、プライベートと両立しつつ働けます。夜勤を避けたい看護師さんの場合、無床のクリニックで働く選択肢もあります。

病院・クリニックの求人を探すときのポイント

病院・クリニックの求人を探すときのポイント

病院とクリニックでは、求人の掲載場所や傾向も異なります。規模の大きな病院はホームページや人材紹介会社で募集を出している場合が多い傾向です。一方、地域密着型のクリニックは、無料配布の求人雑誌に掲載していることもあります。

病院やクリニックの看護師求人を探すときは、下記のポイントを意識しましょう。

  • 複数の媒体を比較する
  • 事前に希望条件を明確にする
  • 焦って無理に決めない
  • 応募前に見学も検討する

看護師さんが転職するときは、求人雑誌やサイトのほかにも、さまざまな媒体で情報収集することが大切です。

たとえば転職の経験が少ない方は、面接や応募書類のアドバイスも行ってくれるサービスも検討してはいかがでしょうか。看護師の転職サポートを専門としたエージェントなら、医療従事者ならではの要望も理解してくれます。

実際に求人への応募や転職エージェントなどに相談するときは、事前に給与などの希望をまとめておくことも大切です。一度希望を箇条書きにしてから優先順位をつけると、複数の求人を比較するときの指標となります。

転職活動をするうえで注意したいポイントは、焦って決めないことです。優先順位の高い希望を妥協してまで早く決めるよりも、自分が安心して長く働けるかどうかを重視しましょう。

応募先の目処が立ったら、病院見学も検討したいところです。病院見学のポイントやマナーについては、下記の記事で解説しています。

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まとめ

病院とクリニックでは、施設数や病床数、スタッフの配置基準、スタッフの役割・仕事内容、診療費に違いがあります。施設数はクリニックのほうが多い傾向です。一方の病院は、クリニックよりも医療の質が高く、看護師としてスキルアップしたい方に適しているといえます。

看護師求人を探す際は、マイナビ看護師にご相談ください。マイナビ看護師では、求職者様の転職をサポートしております。面接対策や履歴書の添削など、多方面にわたるサポートを提供しておりますので、就職・転職の際はぜひご利用ください。

※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています

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