• 2022年5月30日
  • 2022年6月2日

精神科の看護で大切なことは? 看護師のやりがいや適性も紹介!

 

病院の精神科には、うつ病・躁うつ病や統合失調症などの心の疾患を抱える患者さんや、認知症患者さんなどさまざまな人が入院します。身体のけがや病気で入院する患者さんとは行うケア方法が大きく異なるため、精神科の看護師として働くのであれば「何を大切としなければならないのか」をきちんと知っておくことが大切です。

そこで今回は、精神科の看護において大切なことや、精神科看護師のやりがい、向いている人の特徴、キャリアに不安を感じた際の行動を解説します。精神科看護師として働き始めて間もない方や、精神科看護師を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

精神科の看護において大切なこと

一般的な診療科には、身体のけがや病気を抱える患者さんが入院する一方、精神科には心の治療やケアが必要な精神面での病気を抱える患者さんが入院します。そのため、精神科の看護はほかの診療科と具体的な業務の傾向もやや異なることが特徴です。

精神科看護師の主な仕事内容は「コミュニケーションによる心のケア」「患者さんのセルフケア援助」などが挙げられます。患者さんとの距離を縮めるためにも、特にコミュニケーションによる心のケアは大切です。

また、精神科看護師は各業務をこなす中で意識しておくべき大切なことも存在します。ここからは、精神科の看護において大切なことを3つ紹介します。

患者さんを観察すること

精神科の看護において最も大切なのが、患者さんを観察することです。精神科に入院する患者さんの中には、意思疎通や自分の症状、気持ちを伝えられないケースも多々あります。

そのため精神科看護師は、患者さん本人から伝えられない精神面・身体面や生活習慣の些細な変化を、きちんと気づいてあげることが大切です。患者さんの些細な変化をキャッチするためには、日頃から患者さんを観察・理解しておくことが欠かせません。

スタッフ間で気づきを共有すること

患者さんに関する何らかの変化に気づいた場合は、自分の頭の中に留めておくだけでなく、スタッフ間でも徹底的に共有することが大切です。

変化や気づきの共有は、いわゆる「患者さんの変化によって気に掛けるべきポイント」にもなります。例えば、いつもはスリッパを履いていた患者さんがおしゃれなスニーカーを履いたときは、離院・離棟の可能性もゼロではありません。

そのため、「今日はスニーカーを履いているため、見守り体制を強化しましょう」など、患者さんの変化に加えてどのような点に注意すべきかも併せて共有することが重要です。

柔軟な対応を心がけること

精神科に入院する患者さんは、日によって情緒や気分が大きく変わることも珍しくありません。そのため、看護師は一人ひとりの患者さんに対して柔軟な対応を心がけることが大切です。

特に柔軟な対応を心がけなければならないシーンは、患者さんの精神面・身体面や生活習慣に些細な変化が見られたときや患者さんの様子がおかしいと感じたときです。またこのとき、なぜいつもと様子が違うのかを問われるだけだと、患者さんはストレスを感じてしまう可能性があります。

そのため、「今日はいつもと様子が違いますが、どこかにお出かけですか?/特別な日ですか?」など、ストレートに変化を伝えるのではなく、変化の理由・背景を引き出せる質問も組み込むとよいでしょう。

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精神科看護師のやりがい

精神科看護師のやりがい

精神科看護師は、日々の仕事の中で下記のようなやりがいを感じられます。

患者さんの回復に直接携わることができる

精神科での治療は、薬物療法が一般的です。しかし、精神面での疾患を抱える患者さんにとっては看護師の存在もれっきとした治療の要因となります。日々の薬物療法に加えて、患者さんと信頼関係を築きながら退院支援を進める精神科看護師は、患者さんの回復に直接携われる職業といっても過言ではありません。患者さんが徐々に回復する姿は、大きなやりがいを感じられるでしょう。

幅広い経験を活かせる

精神科には、うつ病など精神科特有の病気だけでなく、認知症・てんかんなどあらゆる病気を抱える患者さんも多く存在します。精神疾患系だけでなく身体疾患系の知識も重宝されるため、看護師としての幅広い経験や看護スキルを活かすことが可能です。

精神科の看護師に向いている人の特徴

精神科の看護師に向いている人

精神科の看護師に向いている人の特徴は、下記の通りです。

患者さんと粘り強く向き合える

精神科特有の心の病気は、治療が長期化することもあります。また、意思疎通が困難な患者さんや、心ない言葉をぶつける患者さんなどさまざまな個性の患者さんもいます。どのような患者さんに対しても、精神的なタフさをもったうえで粘り強く向き合える看護師は、精神科での仕事が向いているといえるでしょう。

人と話すこと・人の話を聞くことが好き

精神科看護師は、患者さんの回復を目指すために、患者さんとの関係性を地道に築き上げることが大事です。ほかの診療科よりも患者さんとの適切なコミュニケーションは重要となるため、話す・聞くなど人と人との関わりを得意とする看護師は、精神科に向いているといえるでしょう。

相手の価値観・自尊心を尊重できる

価値観や自尊心は人それぞれです。精神疾患を抱える患者さんに対して、価値観や自尊心を否定するような言動は特に悪影響を及ぼすため、基本的にはタブーとなっています。「多様性」を大切にし、患者さんの考え方や感情になるべく共感してあげられる看護師は、精神科の仕事に適正があるといえるでしょう。

また、上記に当てはまらない方は精神科看護師に向いていないというわけではありません。当てはまらないと感じる場合でも、実際に精神科看護師として働いたり勉強したりすることで、適正が身につくことがほとんどなためです。

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精神科看護師のキャリアに不安を感じたら?

精神科看護師のキャリアに不安を感じたら?

精神科で働く看護師を目指しているものの、将来に何らかの不安を感じる方や、現職(精神科)のキャリアや働き方に不安・不満を抱える看護師も少なくないでしょう。

最後に、精神科看護師のキャリアに不安を感じた際の対処法を3つ紹介します。精神科看護師として着実にスキルアップを図りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

認定資格を取りスキルアップを目指す

精神科看護師としてさまざまな経験を積むことで幅広いスキルを身につけられますが、より踏み込んで知識やスキルを得たい・キャリアアップに活かしたいという場合は、関連資格の取得がおすすめです。

おすすめの関連資格には、下記の2つが挙げられます。

精神科認定看護師

精神科認定看護師は、精神科での看護領域において優れた看護知識・技術を用いて質の高い看護を提供できると認められた看護師のみに与えられる認定資格です。看護現場における看護のケアの質向上を目的に、1995年に創設されました。活躍の幅を広げたい・転職や就職を有利にしたいという精神科看護師に最もおすすめの資格です。
(公式サイト:日精看オンライン「精神科認定看護師制度」

臨床心理士

臨床心理士とは、精神的な問題を抱える人々のメンタルケアに携わる心理専門職の証となる認定資格です。資格を取得するためには心理アセスメントや心理カウンセリングの専門的な勉強が必要であり、「職場・患者さんから信頼される存在になりたい」という精神科看護師にはおすすめの資格といえます。
(公式サイト:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士とは」

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病院以外の活躍の場を視野に入れる

近年では、地域包括ケアシステムの整備により、精神科も病院中心から地域中心へと変化しつつあります。そのため、病院でのキャリアに不安を感じた精神科看護師は、病院以外の活躍の場を視野に入れることもおすすめです。

病院以外の活躍の場は、地域包括支援センターや介護・福祉施設などあらゆる分野が存在します。各施設では、病院でのキャリアも十分に活かせます。今後地域包括ケアシステムの構築がさらに進むと、地域中心で活躍する精神科看護師の需要もさらに高まるでしょう。
(出典:厚生労働省「最近の精神保健医療福祉施策の動向について」
(出典:厚生労働省「精神障害者に対する支援について」

ほかの病院・施設への転職を検討する

現職に不安を抱える精神科看護師や、新卒で入職する医療機関に不安のある方は、思い切って希望条件に合うほかの病院・施設への転職を検討することもおすすめです。

転職を成功させるためには、一度自分自身の理想の働き方や感じられるやりがいの傾向を見直してみましょう。これらを明確にしたうえで条件に適した職場に転職することで、前向きな気持ちで着実にキャリアアップ・スキルアップを図れる可能性が高まります。

よりよい勤務環境を目指して転職を検討する場合は、マイナビ看護師の利用がおすすめです。マイナビ看護師では、業界に精通したキャリアアドバイザーが働きやすさやキャリアプランなどを考慮した求人の提案を行っております。転職に不安のある精神科看護師の方は、ぜひマイナビ看護師の無料転職サポートをご利用ください。

まとめ

精神科看護師は各業務をこなす中で、患者さんを観察すること・スタッフ間で気づきを共有すること・柔軟な対応を心がけることが大切です。これらを毎日意識して業務に取り入れることで、キャリアアップの可能性が大幅に高まるだけでなく、大きなやりがいも感じられるでしょう。

しかし、現職の働き方や将来のキャリアに何らかの不安を感じる精神科看護師も少なくありません。明確な目標をもって確実にキャリアアップを図りたいのであれば、思い切ってほかの病院や施設に転職することも一案です。

マイナビ看護師では、業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりにマッチした求人をご紹介しております。転職に不安を感じる看護師の方は、ぜひマイナビ看護師に相談してみてはいかがでしょうか。

※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

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