• 2022年1月12日
  • 2024年1月29日

助産師に必要な資格とは? 資格取得できる学校・難易度・最短ルート

 

助産師は、看護職の中で唯一、正常分娩で赤ちゃんを取り上げられる職業です。重大な責任が伴う仕事ではあるものの、生命の誕生に携われることに大きなやりがいを感じるでしょう。核家族化が進む中、産後の女性を支える助産師の存在は見直されており、活躍の場所も広がりつつあります。

当記事では、助産師に必要な資格や、資格取得のルート、助産師資格取得の難易度を解説します。また、資格取得後の勤務先や、助産師になるのに役立つ資格も紹介するため、助産師を目指している方はお役立てください。

助産師になるには資格が必要?

助産師には、助産師免許と看護師免許の両方が必要です。

助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

助産師の仕事内容は、分娩介助や妊産婦・新生児への保健指導に限らず、家庭相談や性教育など多岐にわたります。思春期から結婚・妊娠、更年期へとライフステージが多様に変化する女性に寄り添い、健康的な生活をサポートする存在が助産師です。正常分娩であれば、助産師が主体となって分娩を進められます。

江戸中期頃、妊産婦の世話や分娩介助を行う方は「産婆」と呼ばれていました。明治時代に入り、産婆の資格や業務内容が制定され、分娩の専門職としての役割が明確化します。昭和23年、産婆は「助産婦」となり、国家資格として指定されました。その後、2002年3月の法改正で「助産師」と名称が変更されています。

助産師の資格を取得する方法

助産師の資格を取得する方法

助産師の資格を取得する方法には、さまざまなルートがあります。ルートにより資格取得までにかかる年数や、学習の範囲は異なります。また、国立大学や私立大学、助産師学校など、各学校において必要な費用も差があるため、自分の希望や条件に適したルートを選びましょう。

ここでは、助産師資格を取得する方法をルート別に解説します。

看護学科・助産師科目のある4年制大学

大学の4年間で、助産師資格と看護師資格の両方を取得するルートです。大学では看護学部を履修した後、3年次の選択制により助産師課程へ進みます。

助産師課程の3年次では、母性の心理学や助産学概論などの授業や校内演習が中心です。多くの大学では4年次から臨地実習が始まり、10例程度の正常分娩と、1組以上の母子に関して妊娠から産後まで継続した支援を取り扱います。大学の助産師課程では2年間にわたり助産師課程を履修するため、時間をかけて助産師について理解を深められるでしょう。

看護大学では、保健師や養護教諭資格の取得、大学院に進み研究者を目指すといった選択肢を考えることも可能です。ただし、4年間で看護師と助産師の両方の試験勉強が必要となるため、非常に多忙な学校生活となります。大学で一般教養を身につけたい方や幅広い選択肢を持ちたい方は、助産師科目のある4年制大学が向いています。

看護学科のある4年制大学→助産師の養成学校

看護学科のある4年制大学で看護師資格を取得した後、助産師の養成学校に1年間通って助産師資格の取得を目指すルートです。

看護大学では、基礎看護学・成人看護学・小児看護学といった専門分野や解剖学などの専門基礎分野を学びます。また社会学・心理学・経済学などの基礎分野も学べるため、一般教養と看護学の知識を身につけ、多面的に状況を判断する力を養うことが可能です。大学卒業後は、助産師の養成学校に通い、助産師としての専門性を高めます。

看護大学に通えば、大学という充実した学習環境を活かし、視野を広げつつ看護について学んだ後、助産師の勉強に集中して取り組めるでしょう。大学卒業後に看護師として働いてから、助産師を検討するのも可能です。しかし、助産師資格の取得までは最低で5年かかるため、長期スパンで考える必要があります。大学で看護学を学びたい方や、大学卒業後に助産師になるか検討したい方は、4年制大学を卒業してから助産師の養成学校へ進みましょう。

看護学科のある短期大学→助産師の養成学校

短期大学に3年間通って看護師資格を取得した後、助産師の養成学校に1年間通い助産師資格取得を目指すルートです。

短期大学では、4年制大学と同じく専門基礎分野・専門分野・基礎分野を学びます。大学の医学部や大学病院に付属している短期大学が多く、4年制大学と比べて学生の人数は少ない傾向にあります。卒業後は4年制大学への編入、助産師の養成学校への進学など、選択肢は豊富です。

短期大学に通うメリットは、4年制大学より1年早く看護師資格の取得を目指せる点です。しかし、近年では短期大学から4年制大学へ移行するケースが多く、短期大学の数は全国的に減少しつつあります。また、3年間で一般教養と看護学を学ぶため、ハードなスケジュールとなるでしょう。大学編入を視野に入れている場合や、一般教養を学びつつ3年間で看護師資格を取得したい場合は、短期大学から助産師の養成学校へ通うルートがおすすめです。

看護学科のある専門学校→助産師の養成学校

看護専門学校に3年間、もしくは4年間通って看護師資格を取得した後、助産師の養成学校に1年間通い助産師資格の取得を目指すルートです。文部科学大臣に指定された4年制専門学校では、大学卒業と同等の資格があると認められる「高度専門士」の称号が与えられ、大学院の受験資格を得ることも可能です。
(出典:文部科学省「専門士・高度専門士の称号とは:文部科学省」

専門学校では一般教養は含まれず、看護師に特化したカリキュラムが組まれています。専門学校に通うメリットは、実習授業が多く、看護師としての実践力を養えることです。また、学校により差があるものの、3年制専門学校であれば4年制大学に通うより学費を抑えられます。

一方で、3年制専門学校では同時に目指せる資格がないため、看護師以外の選択肢を考えるのは難しいでしょう。まずは看護師として即戦力になりたい方や学費を抑えたい方は、専門学校から助産師の養成学校へ進み、助産師資格を取得する方法がおすすめです。

5年一貫の看護高等学校→助産師の養成学校

中学校卒業後、5年一貫の看護高等学校へ通って看護師資格を取得し、助産師養成学校に1年間通って助産師資格の取得を目指すルートです。

5年一貫の看護高等学校では、高等学校の看護科で3年間看護の基礎について学んだ後、看護専攻科へ進級して2年間実践的な知識を深めます。高校卒業資格を取りながら看護について学び、卒業と同時に看護師試験受験資格を得ることが可能です。

5年一貫の看護高等学校を卒業し、助産師養成学校へ通う方法は、助産師を目指す最短ルートです。大学や専門学校へ通う必要がなく学費の負担を減らせるため、効率よく助産師を目指せます。しかし、高校生から看護師を目指すので、一般科目の勉強や部活動の優先順位は低くなる傾向にあります。中学生のときから看護師を目指す方、いち早く助産師として活躍したい方は、5年一貫の看護高等学校から助産師養成学校へ通うルートを選択してもよいでしょう。

【看護師免許の所有者】助産師の養成学校

すでに看護師免許を取得している方は、助産師の養成学校に1年間通うと助産師国家試験の受験資格を得られます。大学を卒業している方は、大学で1年間もしくは大学院の修士課程で2年間、助産学専攻に通う方法もあります。

助産師になるためには、病院や助産所などで10例程度の正常分娩を取り扱う実習が必要です。

実習中分べんの取扱いについては、助産師又は医師の監督の下に学生一人につき十回程度行わせること。この場合において、原則として、取り扱う分べんは、正期産・経膣分べん・頭位単胎とし、分べん第一期から第三期終了より二時間までとする。

(引用:「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」

また、助産師受験資格として、文部科学大臣の指定学校もしくは都道府県知事の指定養成所の卒業が必須であるため、通信教育だけでは助産師国家試験を受験することはできません。

第二十条 助産師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。

一 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において一年以上助産に関する学科を修めた者

二 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した助産師養成所を卒業した者

(引用:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

看護師の仕事にブランクがある人でも、助産師の養成学校に通えます。助産師を目指すことは、看護師のキャリアアップにも役立つでしょう。ただし、養成学校の授業は日中に行われるため、看護師として働いている方は仕事を休職して学校へ通う必要があります。以前看護師として働いていた方や看護師として働く中で助産師を志すようになった方は、助産師養成学校に通って助産師を目指しましょう。

最短で助産師になるには何年必要?

最短で助産師になるには何年必要?

最短で助産師になるには2つのルートがあり、それぞれ4年かかります。この2つが助産師になるための最短ルートであり、ほかの方法で助産師を目指す場合は5〜6年の年数が必要です。

1.看護学科・助産師科目のある4年制大学を卒業するルート
看護系大学で4年間勉強し、看護師国家試験に臨む。試験合格後、大学にて「助産師選択課程」を選択していた場合は助産師国家試験の受験資格が得られる。

2.看護学科のある短期大学卒業から助産師養成学校を修了するルート
3年制の短大または専門学校に進学し、看護師国家試験に臨む。試験合格後、1年制の助産師養成所(助産師学校)で専門教育を修めると、助産師国家試験の受験資格が得られる。

助産師が学校を卒業するまでに必要な学費

助産師になるまでに必要な学費は、進学する学校によって大きな差が出ます。自分や家族の経済状況を考慮しながら進学ルートを決めていきましょう。

進学先の施設別に、入学金と入学金を除いた年間費用の平均を表にまとめました。

【助産師資格取得に必要な学費】

施設の種類 平均入学金 入学金以外の平均年間費用
国立大学 282,000円 535,800円
私立大学 245,951円 1,111,129円
私立短期大学 237,615円 889,971円
専門学校 182,000円 974,000円
(出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
(出典:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
(出典:東京都専修学校各種学校業界「令和4年度専修学校各種学校調査統計資料」

「入学金以外の平均年間費用」は、1年間にかかる費用であるため、必要金額の合計を算出するには在学年数に応じた乗算が必要です。3年制の学校であれば「入学金+(年間費用×3)」が必要な学費の目安となります。

必要に応じて、お住まいの都道府県や自治体・進学希望先の学校等が設けている奨学金制度にも目を向けてみましょう。

助産師の資格を取るのは難しい?

助産師の資格を取るのは難しい?

助産師の資格取得自体は難しくありません。以下は、保健師・助産師・看護師の合格率をまとめた表です。

国家試験 合格率
保健師 93.7%
助産師 95.6%
看護師 90.8%
(出典:厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」

保健師・助産師・看護師の国家試験合格率は、いずれも90%を上回っており、中でも助産師の合格率は95.6%と最も高くなっています。

しかし、助産師国家試験の問題よりも、助産師学校への入学が難しいというケースもあります。全国における助産師学校・養成所は230校であり、4年制大学における助産師課程は志望者のうち約10人が進級できる選抜制です。また、助産師養成学校の1学年あたり定員は少ない場合5人、多い場合でも85人であり、倍率が非常に高くなっています。
(出典:日本看護協会「看護統計資料」

助産師を目指す方は、入学したい助産師学校の倍率や試験内容を確認し、小論文や面接などの対策を行ったうえで入学試験に臨みましょう。

助産師の資格取得後の勤務先・働き方

助産師の資格取得後の勤務先・働き方

助産師は医療機関のほかにも、さまざまな勤務先で活躍しています。勤務先により助産師が受け持つ業務も異なるため、自分の希望や将来像と合わせて就職先を選択するとよいでしょう。

ここでは、助産師の資格取得後の勤務先と、各勤務先の概要や仕事内容について詳しく解説します。

病院

病院とは、20人以上の入院患者の受け入れが可能な医療施設のことで、大学病院や総合病院を指します。現在では、医師や看護師、臨床検査技師といった専門職が協力して診療を行うチーム医療が主流です。

病院は、助産師の最も多い勤務先です。例年、約60%の助産師が病院に勤めており、2019年では助産師40,632人中24,738人が病院に勤務しています。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

助産師は産科もしくは産婦人科に配属され、医師と連携を取りながら妊婦健診や分娩介助、新生児指導などを行います。病院では、異常分娩を含むすべての妊娠を扱います。助産師外来や両親学級を設けている病院も多く、助産師としてさまざまな業務を任されるでしょう。

診療所

診療所(クリニック)とは、病床が20床未満の医療機関のことで、病院よりも小規模な医療施設です。助産師の約25%は診療所に勤務しており、病院に次いで多い勤務先となっています。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

診療所では、病院と同じく産科医と連携を取りながら妊婦健診や分娩介助にあたります。多くの診療所では、多胎妊娠や合併症があるハイリスク分娩には対応していません。しかし、病院よりも妊産婦との距離が近く、親密なコミュニケーションを取れるのは診療所のメリットといえるでしょう。

なお、分娩を取り扱わない診療所では、妊娠32週頃までの妊婦健診に対応し、分娩は病院や母子医療センターで行う「セミオープンシステム」が採用されています。

助産所

助産所とは、助産師により開業された施設のことです。医師が在籍しない助産所では医療行為ができないため、正常分娩のみ取り扱えます。助産所では緊急時に対応できるよう、嘱託医療機関と連携しながら母子のケアを行います。

助産所の数は病院・診療所に比べて少ないものの年々増加しており、2019年では1,246人の助産師が助産所を開業しています。助産所で働く助産師は、全体の約5%です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

助産所では、一人ひとりの妊婦に時間をかけて妊婦健診を行い、分娩から産後の食事やケア、新生児のお世話まで丁寧に指導します。畳での出産や水中出産など、より自然な形で分娩に向き合えることが特徴です。

学校

助産師として5年以上勤務し、必要な研修を修了すると、看護学校の専任教員として勤務することが可能です。なお、助産師の経験が3年以上あり、大学もしくは大学院で教育に関する科目を履修している場合は、条件を満たしていなくても専任教員になれます。
(出典:厚生労働省「看護師学校養成所における看護教員に関する規定」)

学校養成所や研究機関で働く助産師は全体の約4%で、2019年では1,531人となっています。求人数自体が少ない傾向にあるため、教員を目指す方は助産師として働きながら求人情報をこまめに確認しましょう。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

学校では助産学や実習を受け持ち、現場で必要となる知識・技術を指導します。大学や大学院の教員として働く場合は、研究力や研究実績が求められる場合もあります。

保健センター

保健センターは、すべての地域住民が健康な生活を送れるよう、各種検診や相談対応など、住民に身近な保健サービスを展開する公共施設です。

保健センターに従事する助産師は全体の1%未満と少なく、2019年では384人となっています。なお、保健センターで勤務する助産師は公務員となるため、各自治体が実施する公務員試験に合格することが必要です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

保健センターにおける助産師の主な業務は、母子手帳交付や新生児訪問、育児相談です。分娩などには直接関わらず、事務作業が中心となります。保健師や栄養士と連携しつつ、母子の健康管理やメンタルケアを通して育児が健やかに行われるように見守ります。

助産師の給料

助産師の給料

厚生労働省の発表した「令和4年賃金構造計画基本統計調査」を元に、助産師の月給・賞与・年収の全国平均額を表にまとめました。

【助産師の平均給料】

月給 賞与 年収
約39.9万円 約105.8万円 約584.6万円
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

国税庁が2023年1月に発表した「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の1年間の平均給与は443万円です。また、比較対象になりやすい看護師の平均年収は508万円です。助産師の給料は高い水準にあると分かるでしょう。

もちろん勤務先の施設規模や雇用形態・地域によって金額は変動しますが、月給が手厚く賞与もしっかりともらえるため、金銭面では十分な満足感が得られる職業といえます。

助産師の給料について、より詳しくは以下のリンクも参考にしてください。都道府県別の平均給与や、給料を上げるポイントについても分かりやすく解説しています。

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助産師として働くやりがい・魅力

助産師として働くやりがい・魅力

助産師は女性の出産という重要な場面に立ち会い、直接関わるため、やりがいを強く感じられる仕事です。実際に現場で働く人達が、特に魅力的だと感じる3つのポイントを紹介します。

生命の誕生に関われる

幅広い助産師業務の中でも、特に「分娩」は多くの助産師にとってやりがいや喜びを感じる瞬間といえます。陣痛で苦しむ妊婦さんに寄り添いながらともに分娩に挑み、生命の誕生に直接的に関われるのは、かけがえのない体験です。

助産師は、正常分娩であれば医師の指示なく直接新生児を取り上げられます。助産行為は助産師と産科医のみに許される業務で、看護資格のみでは分娩に立ち会うことはできますがお産のサポートはできません。

「生命の誕生」という神秘的な瞬間に直接的に関わるのは、活力の源となり達成感や強いやりがいを感じられるでしょう。

自分の判断で多くの仕事ができる

助産師は、自分の判断でできる仕事の幅が広いのが特徴です。自分で考え、主体性を持って妊婦さんや赤ちゃんのために最善を尽くせるよう動けるという魅力があります。

助産師の仕事内容は、分娩介助だけではありません。妊婦さんの体調管理・心のケア・家庭環境や子育てに関するカウンセリングなど、出産及び出産後の育児に関して総合的なサポートを行います。多くを自分の意思と判断でできるため、責任は伴うものの妊婦さんと信頼関係を築きながらモチベーション高く仕事に取り組めるでしょう。

開業権がある

助産師には、助産所(通称:助産院、バースクリニック)を開業する権利があります。看護職の中で唯一独立開業が認められており、病院での勤務実績を経て開業へとステップアップする助産師もいます。

出産は、人生の中での一大イベントです。大型の総合病院ではなかなか実現が難しい、妊婦さん一人ひとりに寄り添ったバースプランの設計や柔軟な対応も、個人の助産院であれば可能でしょう。

ただし、助産師単独での助産介助は正常分娩に限ります。ハイリスク分娩や急な容態の変化に対応できるよう、産科医が在籍する医療施設と提携を結ぶ必要があります。開業に興味のある方は、まずは働きながら助産師としてのスキルを高めつつ、提携先の確保に向けて医療業界の人脈づくりも行いましょう。

助産師の看護師求人・転職・募集一覧

助産師に求められる能力

助産師に求められる能力

助産師に求められる能力として、公益社団法人日本助産師会は「助産師のコア・コンピテンシー」として日本の助産師に求められる必須の実践能力を提唱しています。

コア・コンピテンシーとは、人事管理や人材評価の概念を表す用語で「高い業績をマークする人材の行動特性」や「確実な成果を生む望ましい人材」といった意味があります。つまり「助産師のコア・コンピテンシー」とは「より妊婦さんや赤ちゃんに寄り添った優れた助産師になるために身につけるべきスキル」と言い換えられるでしょう。

実際に提唱されている助産師のコア・コンピテンシーの4つの要素をそれぞれ解説します。

倫理的感応力
対象となる一人ひとりの母親、赤ちゃん及びその家族を尊重し、希望を汲んで倫理的に応答すること。敬愛と信頼を持って活動し、情報の保護や平等で最善のケアを行う能力。

マタニティケア能力
分娩を軸としたマタニティサイクル(妊娠期、分娩期、産褥期、乳幼児期)において、母子及びその家族が求める安全で適切な助産ケアを提供すること。自身の持つ知識や技能を統合し、満足な分娩が行えるよう支援する能力。

ウィメンズヘルスケア能力
女性の生涯を通じた支援者として、相互に信頼関係を築くこと。ライフステージや遺伝などさまざまな課題を検討し、保健指導・生活相談など心身に関するさまざまな問題に対処できるよう支援できる能力。

専門的自律能力
助産師という自律した専門職者として、地域社会の医療・福祉・保健に貢献すること。研究会や情報交換会など医療職者と積極的に交流を図り自身のキャリアを高め、助産ケアの改革や質の向上を目指すほか、後輩助産師の育成も行う能力。
(出典:日本看護協会「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)活用ガイド」

助産師資格以外に役立つ資格

助産師資格以外に役立つ資格

助産師の中には、スキルアップを図り、さまざまな資格を保有している方もいます。別の資格を取得することで助産師としての知見が広がり、より豊かな助産ケアへつながるでしょう。

ここでは、助産師に役立つ資格を4つ紹介します。助産師資格の有無に関わらず取得できる資格もあるため、ぜひ検討してみてください。

産後ケアリスト

産後ケアリストとは、産後の女性の悩みや不安に寄り添い、健やかな育児と日常生活をサポートする専門家です。

産後ケアリスト2級認定講座の受講資格は不問です。通学もしくは通信で講座を受講し、認定試験に合格すれば、日本産後ケア協会より産後ケアリストとして認定されます。2級認定者は、産後ケアリスト1級認定講座の受講資格を得られます。

産後ケアリストの資格を取得することで、産後の女性が抱えるメンタル・食事・育児・家事などの問題を冷静に捉え、知識と技術を用いてより適切なフォローが可能となるでしょう。産後の女性に対する接し方や、具体的なサポートへの理解を深めたい方は、産後ケアリストの取得がおすすめです。

アドバンス助産師

アドバンス助産師とは、CLoCMiP(助産実践能力習熟段階)レベルⅢを認証された助産師のことです。CLoCMiPレベルⅢでは、助産師としての知識・技術が一定の水準に達しているかを確認します。

アドバンス助産師の受講資格は、満5年以上の実践経験がある助産師資格保有者で、指定された研修や実施例数を満たしていることが条件となっています。毎年、新規申請要件が異なるため、受験する年の条件を確認してください。また、CLoCMiPレベルⅢは5年ごとに更新が必要です。

アドバンス助産師を取得すれば、第三者に対して助産師としての実力を証明できます。5年ごとに更新が必要となるため、助産実践能力の維持・向上にも役立つでしょう。

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リフレクソロジスト

リフレクソロジストとは、リフレクソロジーの技術と知識を持ち、心身の健康をサポートする人です。リフレクソロジーは反射療法とも呼ばれる健康法で、足裏を手で刺激して身体の不調の改善を促します。

JREC加盟スクールでカリキュラムを修了し、JREC主催のライセンス認定試験に合格後、会員登録をすることでリフレクソロジーライセンスが取得できます。リフレクソロジーライセンスには4種類あり、レベルや目的に合わせてコースの選択が可能です。

産後の女性は睡眠不足や腰痛、免疫力低下など、マイナートラブルを抱えやすい傾向にあります。リフレクソロジストの資格があると産後の女性に対して具体的なアドバイスが行えるようになり、身体の回復を早められるでしょう。

新生児集中ケア認定看護師

新生児集中ケア認定看護師とは、医療的なケアを必要とする新生児への対応や親子関係形成のサポートをする専門性の高い看護師のことです。

早産や乳幼児感染症などが原因で急性期にある新生児に対して、NICU(新生児集中治療室)での処置や栄養管理、ケア、診療介助を行う役割を持ちます。また、そうした赤ちゃんを持つ家族の心身をケアし、支援するのも新生児集中ケア認定看護師の仕事です。

新生児集中ケア認定看護師の要件は、満5年以上(うち、3年間は認定看護分野)の実践経験がある看護師資格保有者で、指定学校での教育を修了していることです。教育機関では、ハイリスク新生児の重篤化の予防・発育促進のためのケア方法や親子関係形成を支援する方法などを、約6か月・合計615時間以上学ぶことが求められています。

新生児集中ケア認定看護師資格を取得すれば、早産や低体重、乳幼児感染症などの問題を抱えて生まれた赤ちゃんをケアできます。

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まとめ

助産師になるには、「看護師免許」と「助産師免許」の両方が必要です。資格を取得する方法には、いくつかのルートがあります。助産師資格の合格率は高いものの、助産師学校の数は少ないため試験対策が必要です。

助産師の主な勤務先には、病院・診療所・助産所などがあります。さらに助産師としてスキルアップを目指す方は、ぜひ業務で役立つ資格取得にも挑戦してみてはいかがでしょうか。

「マイナビ看護師」では、業界に精通したキャリアアドバイザーが希望を伺いながら、助産師として活躍したい皆さんの転職を全面的にサポートしております。ぜひご利用ください。

※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています

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