• 2021年11月17日
  • 2022年1月21日

保健師の平均年収は? 看護師との違い・年収アップの方法も解説

 

保健師とは、多くの人に対して保健指導を行い、病気予防や健康増進といった活動を行う医療専門家のことです。公務員のイメージが強いものの、活躍フィールドは保健所のみならず病院・学校・一般企業など幅広くなっています。

高齢化社会が進み、健康に対する注目度が右肩上がりとなっている近年、保健師の需要もますます高まりました。需要が高まれば、それだけ給料相場の水準も高まります。そのため、保健師の平均年収が気になっている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、保健師の平均年収について徹底的に解説します。保健師を目指そうと考えている人・すでに保健師として働いているものの、年収に納得のいっていない人はぜひ参考にしてください。

保健師の平均年収はどれくらい?

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、2020年度における保健師の平均年収は約476万円でした。

月収 賞与(ボーナス) 年収
約32.4万円 約86.7万円 約476万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

月収にすると、約32.4万円です。上記データの金額は、勤続年数や性別を問わないことを考えると保健師は全体的に多くの給料を得ていることがわかります。特に賞与は平均でも85万円を超えており、月収の2倍以上の賞与があることは嬉しいポイントとなるでしょう。

また、保健師の年収は勤務する職場の規模や、自身の年齢・経験年数によっても大きく異なります。ここからは、規模別・年齢別・経験年数別に保健師の平均年収を紹介します。

【規模別】保健師の平均年収

保健師の勤務する職場の規模別における平均年収は、下記のとおりです。

1,000人以上 約528万円
100~999人 約439万円
10~99人 約381万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

勤務する職員が100~999人といった中規模の施設においては、保健師全体の平均年収とほぼ同様(少し低くなる程度)でした。そして、1,000人以上の大規模な施設においては年収500万円を超えていることがわかります。規模が大きくなればなるほど好待遇で、賞与や手当も多く受け取れるためでしょう。

一方で、10~99人の規模では約381万円と、保健師全体の平均年収から約100万円程度低くなっています。とは言え、賞与を考慮せず単純に月収に算出すると約31.7万円と、決して悪くない給料を受け取れるでしょう。

【年齢別】保健師の平均年収

保健師の年齢別における平均年収は、下記のとおりです。

20~24歳 約395万円
25~29歳 約474万円
30~34歳 約489万円
35~39歳 約487万円
40~44歳 約476万円
45~49歳 約485万円
50~54歳 約528万円
55~59歳 約548万円
60~64歳 約420万円
65~69歳 約220万円
70歳~ 約280万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

保健師の年収は、25~29歳からゆるやかに上昇し、この上昇は55~59歳まで続く傾向にあります。50代となると年収が500万円を超えているケースが多く、それだけ勤続年数が給与に大きな影響を与えることがわかるでしょう。

なお、60代を過ぎると定年の影響により平均年収は大きく下落します。

【経験年数別】保健師の平均年収

保健師の経験年数別における平均年収は、下記のとおりです。

0年 約271万円
1~4年 約390万円
5~9年 約453万円
10~14年 約489万円
15年~ 約485万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

保健師は、勤続年数が5年を経過したあたりで平均年収が大きく上昇する傾向にあります。月収30万円は必ずほしいという場合は、最低でも5年をめやすに同じ施設での勤続を目指しましょう。

また、勤続年数10~14年と15年以上で平均年収がさほど変わらない理由には、10年の勤続年数を経過したあたりですでに管理職など上の立場に就いているためと言えます。

保健師の年収は地域で変わる?

保健師の年収

保健師の年収は、地域によって約249万~322万円もの開きがあります。そのため、地域による給与水準の違いはあると言えるでしょう。

では、保健師の年収が高い都道府県・低い都道府県は一体どこなのでしょうか。ここからは、厚生労働省からのデータをもとに、保健師の年収が比較的高い都道府県と比較的低い都道府県をそれぞれ解説します。

保健師の年収が高い都道府県

保健師の年収が高い都道府県は、和歌山県・広島県・山口県・静岡県・島根県の5県でした。それぞれの平均年収は下記のとおりです。

和歌山県 約596万円
広島県 約592万円
山口県 約589万円
静岡県 約573万円
島根県 約569万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

上記の5県のうち、広島県や静岡県においては面積も広く、人口も比較的多いため給料が高い傾向にあります。一方で和歌山県や山口県、島根県においては面積が広いわけでも人口が多いわけでもありません。それにもかかわらず平均給与が高いということは、それだけ経営が安定した施設や待遇や福利厚生の整った職場が多いことがわかります。

保健師の年収が低い都道府県

保健師の年収が低い都道府県は、福井県・宮城県・鳥取県・福島県・香川県の5県でした。それぞれの平均年収は下記のとおりです。

福井県 約274万円
宮城県 約287万円
鳥取県 約290万円
福島県 約306万円
香川県 約320万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

全体的に、人口密度の低い県がランクインしています。とは言え、上記の県において働くすべての保健師の年収が低いというわけでもありません。平均年収の低さが目立つ福井県においても、平均年収が500万円を超える保健師も当然存在します。

保健師と看護師の平均年収の違い

保健師と看護師の女性

保健師と同様、施設の利用者や病院の患者さんに対する健康のサポートを行う職業に看護師があります。保健師と看護師(准看護士・助産師含む)の平均年収の違いは、下記のとおりです。

看護師 約492万円
准看護師 約413万円
助産師 約570万円
保健師 約476万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

看護師と保健師とでは、やや看護師のほうが平均年収は高い傾向にあります。とは言え、約16万円の差であり、ほぼ同様と言っても過言ではありません。

ずば抜けて平均年収が高い職業は、助産師です。助産師はその名のとおり助産を業とする職業であり、保健師や看護師よりも幅広い知識が必要となることを考えると、平均年収が高いことも頷けるでしょう。

保健師の種類ごとの平均年収

保健師の女性(行政保健師)

保健師は、勤務する職場の種類によっても平均年収が大きく異なります。なお、勤務する職場の種類によって保健師の名称も異なることが特徴です。

保健所・保健センターに勤務する保健師 「行政保健師」
一般企業・民間企業に勤務する保健師 「産業保健師」
医療機関に勤務する保健師 「病院保健師」
学校(小学校・中学校・高校・大学・専門学校)に勤務する保健師 「学校保健師」

ここからは、各保健師の平均年収を詳しく紹介します。

行政保健師

公立学校や保健所などの行政施設で働く行政保健師の平均年収・賞与は、人事院・総務省のホームページからデータが記載されています。下記は、人事院・総務省のホームページから算出した国家公務員と地方公務員それぞれの平均月収・賞与・平均年収です。

  国家公務員(※1) 地方公務員(※2)
平均年収 355,144円 378,048円
賞与 約158万円 約168万円
平均年収 約584万円 約622万円
(※1出典:人事院「令和2年国家公務員給与等実態調査」
(※2出典:総務省「令和2年4月1日地方公務員給与実態調査」

上記データの月収には各種手当が含まれており、賞与は4.45か月分として出しています。

行政保健師は、国家公務員よりも地方公務員のほうが給料が高くなる傾向です。行政保健師として活躍したいという人は、地方公務員を目指しましょう。

産業保健師

産業保健師の平均年収は、一般的に500万~600万円と言われています。行政保健師と変わりない金額であるため、会社で働く産業保健師を目指す人も多いでしょう。

しかし、産業保健師の活躍フィールドである企業には、規模の小さいものから大きいものまでさまざまです。保健師を置く企業は中小企業よりも大手企業が多いため、産業保健師の平均年収は自ずと高いというイメージがもたれるものの、結局は就職した企業の給与体系にもとづいて額が決定するため、すべての産業保健師が年収500万円を超えているわけではありません。

年収の高さを魅力に感じて産業保健師を目指そうと考える人は、「給与が高く設定されている企業の求人先を探すこと」「大手企業が求める保健師を把握し、目指すこと」の2点をおさえておきましょう。

病院保健師

病院保健師の平均年収は、一般的に400万~500万円と言われています。しかし、病院の規模や働き方によっても年収は前後することが特徴です。

看護師免許と保健師免許という2つの国家資格が必要な保健師が病院で働くときは、看護師業務を任せられることも多々あります。そのため、看護師業務しか携われない看護師と比べると当然年収は高くなるでしょう。

また、24時間体制で患者さんをサポートする大規模の病院の場合、夜勤業務による夜勤手当もつくことにより、さらに多くの給料を得られる可能性があります。病院保健師として多くの給料を得たいのであれば、「看護業務の知識・経験をもっておくこと」「当直業務を積極的に行うこと」の2点をおさえておきましょう。

学校保健師

学校保健師の平均年収は、一般的に450万~500万円と言われています。しかし、勤務先の学校が私立なのか公立なのかによっても給料に大きな差が出ることが特徴です。

学校保健師は基本的に、私立の学校(小学校~大学、専門学校)で働く保健師を指します。公立の学校(小学校~高校)で保健師として働く、いわゆる「保健室の先生」になるためには、養護教諭免許の取得が必須です。また公立学校は行政機関となるため、学校保健師よりも行政保健師と言うほうが適切でしょう。

私立の学校保健師は養護教諭免許が必要ないため、年収は450万円程度と考えておきましょう。一方で、養護教諭免許を取得したうえで公立の学校保健師となった場合は、500万円程度の年収を得ることが可能です。

求人から見る!保健師の平均年収

保健師の女性

前述のとおり、保健師の平均年収は規模や経験年数、地域、種類によっても大きく異なるため、「結局のところ保健師の平均年収はどれくらいになるの? 」と気になる人も多いでしょう。

最も現実的な平均年収を知りたいのであれば、求人情報に記載されている給与額をチェックすることがおすすめです。ここからは、求人情報をもとに施設形態別・勤務形態別の保健師の平均年収を紹介します。

【施設形態別】保健師の平均年収

下記は、実際にマイナビ看護師のサイトに記載されていた施設形態別の保健師の年収例です。

病院 約330万~500万円
クリニック・診療所 約300万~420万円
美容クリニック 約460万~510万円
施設(有料老人ホーム・老健など) 約350万~450万円
訪問看護ステーション 約340万~410万円
一般企業 約360万~480万円
治験関連企業 約390万~440万円
保育施設 約320万~400万円
(出典:マイナビ看護師

病院やクリニックにおいては平均年収が500万円を超えることも多く、保健師だけでなく看護師としての経験があればより高い給料が期待できます。看護師・保健師の国家資格を保有する保健師は、施設問わず全体的に資格手当を受けられる傾向です。

また、各施設形態において保健師はどのような仕事を担当するのか簡潔に紹介します。

病院

病院で働く保健師は、保健師の一般的な業務に加え、検診・健診や看護業務全般を行うことも多々あります。日勤・夜勤の交替シフト制であることも一般的です。

●クリニック・診療所

クリニック・診療所で働く保健師も、病院保健師と同様、保健師の一般的な業務に加えて、看護業務全般を担うことが基本です。夜勤はありません。

●美容クリニック

美容クリニックで働く保健師は、保健師として働くのではなく「美容看護師」として働くこととなります。美容に関するカウンセリングや専門機器による施術が基本の仕事内容です。

●施設(有料老人ホーム・老健など)

有料老人ホーム・老健といった介護施設で働く保健師は、保健師業務・看護業務をメインとした介護サービスを行います。また介護職員やスタッフ同士での連携をとりながら、利用者のサポートやケアを行うことも重要です。

●訪問看護ステーション

訪問看護ステーションで働く保健師は、看護業務全般をメインに利用者への訪問看護・ケアを行うことが一般的です。介護施設と同様、他業種のスタッフとの連携が重要となります。

●一般企業

一般企業で働く保健師の仕事内容は、産業保健師の一般的な業務だけでなく、医療・看護に関するコールセンター業務など多岐にわたります。企業によっては夜勤もあり、働き方によって給与額が大きく異なる点も特徴です。

●治験関連企業

治験関連企業で働く保健師は、治験事務局担当者(SMA)として治験を依頼する製薬メーカーと治験を行う医療機関との仲介業務が主な仕事内容です。

●保育施設

保育施設で働く保健師は、主に子どもに対する看護業務を行うことが基本です。子ども特有の病気やケガに関する知識が特に必要となります。

【勤務形態別】保健師の平均年収

次に、勤務形態別における保健師の平均年収を紹介します。年収は、マイナビ看護師にて実際に記載されていた給与額をもとに算出しています。

常勤(二交替制) 約430万~500万円
常勤(三交替制) 約360万~440万円
夜勤なし 約300万~400万円
夜勤専従 約380万~450万円
(出典:マイナビ看護師

二交替制で1シフトの勤務時間が長かったり、夜勤をしたりする働き方で勤務する場合は、給料が高い傾向です。一方で夜勤なしで働く場合、職場によっては300万円程度の年収となります。

また、各勤務形態において保健師はどのような働き方をするのか簡潔に紹介します。

●二交替制

二交替制では、一般的に朝9時から18時までの日勤と、18時から翌日朝9時までの夜勤の交替シフトで働きます。夜勤の場合は120分の休憩があるため、仮眠をとりつつ働くことが基本です。

●三交替制

三交替制では、一般的に朝9時から16時までの日勤と、16時から深夜0時までの準夜勤と、深夜0時から朝9時までの交替シフトで働きます。それぞれ負担のかからない働き方ができることが特徴です。

●夜勤なし

夜勤なしの職場では、日勤のみで働くこととなります。安定した生活リズムをとれるため、家事や育児と両立したいという保健師におすすめです。

●夜勤専従

夜勤専従では、その名の通り夜勤のみで働くこととなります。夜勤シフトのできない保健師・看護師も多いことから需要が高く、給料も高い傾向です。

保健師が年収アップを目指す方法

保健師の女性

保健師が年収アップを目指すのであれば、同じ職場で長く勤続し、役職に就くことが最もおすすめです。役職に就ければ自ずと基本給が高まるだけでなく、役職手当による収入アップも期待できます。安定した働き方も可能となるでしょう。

しかし、今の勤務先では昇給や昇格が見込めない場合は、転職を検討することも一案です。思い切って転職することで、次の職場で新たな経験を得られる可能性があるだけでなく、場合によっては段階的なキャリアアップも期待できるでしょう。

転職先を選ぶのであれば、看護師や保健師の専門転職サイト「マイナビ看護師」がおすすめです。マイナビ看護師では、全国の保健師求人を掲載しています。専属のキャリアアドバイザーが、ぴったりの求人紹介から面接対策まで、一人ひとりの転職活動を徹底的にサポートいたします。

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まとめ

ここまで、保健師の大まかな平均年収から、規模別・年齢別・経験年数別・地域別・種類別・施設形態別・勤務形態別の平均年収まで詳しく解説しました。

保健師は平均年収が高いとは言え、勤務する職場によって大きな差があります。年収500万円以上を得る保健師もいれば、年収400万円にも満たない保健師がいることも実情です。「保健師として働いているけど、なかなか給料が上がらない…」と感じている人は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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