• 2021年11月12日
  • 2022年1月21日

助産師の平均年収は? 看護師と比較した給与の違い・年収アップの方法

 

助産師はニーズが高くやりがいも大きい職業であるため、助産師としての活躍を続けたい人・助産師を目指している人は多いでしょう。助産師として働き続けることを考える上で、自分に適した勤務形態や就業場所をよく検討することも大切ですが、収入面の待遇を確認しておくことも重要です。

当記事では、施設規模や年齢などに応じた助産師の平均年収について解説します。助産師の平均年収が高い地域や、看護師との平均年収の違い、助産師が年収アップを狙う方法も併せて確認し、自身の希望に合った職場への就職・転職を目指しましょう。

助産師の平均年収はどれくらい?

厚生労働省によると、2020年における助産師の平均年収は約570万円です。年収の内訳である月収や賞与は、下記の通りとなっています。

月収 賞与 年収
約38.5万円 約108.2万円 約570万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

助産師の月収は40万円に近く、賞与も100万円を超えていることから、平均年収は決して低水準ではないことが分かります。しかし、あくまでも平均であるため、すべての助産師が約570万円の年収を手にしているわけではありません。ここからは、就業先の規模・年齢・経験年数に応じた平均年収を紹介します。

【規模別】助産師の平均年収

助産師の平均年収は、就業先の規模によって異なります。ここでは、「1,000人以上」「100~999人」「10~99人」の3つの区分における平均年収の違いを確認しましょう。

1,000人以上 約549万円
100~999人 約532万円
10~99人 約637万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

上記のデータによると、1,000人以上の規模の大きな施設では、100~999人の中規模の施設よりも、平均年収がやや高い水準となっています。これは、大規模な施設は経営が安定していることから基本給が高く、時間外手当などの各種手当や福利厚生が十分に整備されていることが理由として挙げられます。

一方で、10~99人の比較的小規模の施設も中規模の施設より平均年収の水準が高い結果となっています。この理由としては、小規模の施設では1人あたりの担当業務や時間外勤務・オンコール対応が多いことなどが考えられるでしょう。

【年齢別】助産師の平均年収

一般的な病院やクリニックでは、勤続年数に応じて一定の昇給が見込めるため、同じ職場で勤続すれば、年齢に応じて収入も上がると考えられます。また、主任や師長といった役職に就くことにより、役職に応じた手当も支給されるため、さらなる年収アップが期待できるでしょう。

20~24歳 約387万円
25~29歳 約502万円
30~34歳 約503万円
35~39歳 約571万円
40~44歳 約618万円
45~49歳 約593万円
50~54歳 約751万円
55~59歳 約679万円
60~64歳 約644万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

ただし、途中で転職することによって一時的に年収が上がらなくなる場合もあります。助産師と近い職業である看護師の場合、40歳未満で転職を1回以上経験している人は過半数を占めます。
(出典:日本看護協会「2017年 看護職員実態調査」

また、20~30代は結婚や出産・育児などで残業や夜勤が難しいケースが多いため、年収の上がり幅が小さいと考えられます。55歳未満よりも55歳以上のほうが年収が低いことには「役職定年を迎える」「体力的に長時間労働が難しい」「介護休暇を取得する」などの理由が挙げられます。60歳で正職員としての定年退職を迎え、嘱託職員となる場合もあることから、60歳以上ではさらに収入が減少すると考えられます。

【経験年数別】助産師の平均年収

一般的な病院やクリニックでは、定期昇給などにより、勤続年数(勤務年数)が長くなるほど平均年収も高くなる傾向にあります。助産師における経験年数別(年次別)の平均年収は、次の表の通りです。

0年 約321万円
1~4年 約440万円
5~9年 約445万円
10~14年 約499万円
15年以上 約614万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

助産師の平均年収は約570万円と比較的高い水準である一方、経験年数が10年未満の助産師の平均年収は450万円を下回っています。ただし、経験年数10年以上となると年収500万円に近くなり、15年以上では600万円以上の収入を得ることもできます。助産師として高収入を得たい人は、経験年数・勤続年数を重ねることを目標にするのも1つの方法です。

助産師の年収は地域で変わる?

助産師の年収

助産師の平均年収は、就業先の規模や年齢・経験年数といった要素のほか、就業する地域によっても違いが見られます。助産師の年収が高い地域とやや低い地域を比較すると、約167万〜485万円もの開きがあるため、就業するエリアは十分に検討しましょう。

ここでは、助産師の平均年収が高い都道府県と低い都道府県について、それぞれ5つずつ紹介します。平均年収が高いエリア・低いエリアを踏まえた上で、自分が働きたい勤務地を考えてみましょう。

助産師の年収が高い都道府県

2020年における「賃金構造基本統計調査」では、助産師の平均年収が高い上位5つの都道府県は以下の通りとなっています。

埼玉県 約880万円
和歌山県 約696万円
山口県 約692万円
香川県 約692万円
北海道 約650万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

2020年における助産師の平均年収では、埼玉県を筆頭に和歌山県、山口県、香川県、北海道が上位となっています。これらの都道府県では、助産師の平均年収が看護職よりも高くなっているという共通点が見られます。全国平均よりも平均年収が80万〜310万円ほど高くなっていることから、高水準の収入が見込める求人も多いと考えられるでしょう。

ただし、都道府県別の平均年収額や順位は、調査年度によって変動する場合があります。「上記のエリアは助産師の平均年収が高水準となった実績がある都道府県」という認識にとどめ、自分が働きたいエリアについて検討しましょう。

助産師の年収が低い都道府県

助産師の平均年収が全国平均よりも大幅に高いエリアもあれば、年収の水準が低くなっている都道府県も存在します。2020年の「賃金構造基本統計調査」において、助産師の平均年収がやや低い傾向にある都道府県は次の通りです。

群馬県 約395万円
大分県 約446万円
岡山県 約468万円
福島県 約480万円
新潟県 約483万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

群馬県・大分県・岡山県・福島県では、看護職全体の平均年収が全国平均と比べてやや低めの水準となっています。また、新潟県では、助産師と看護師との間で平均年収に大きな差がないという特徴があります。

ただし、平均年収は調査年度によって多少の変動があり、上記のエリアにおける助産師の平均年収が常に低いとは限りません。平均年収の水準がやや低い都道府県での就業を希望する場合は、直近の傾向をあらためて確認したり、全国平均に近い年収を提示する求人を探したりすることも重要です。

助産師と看護師の平均年収の違い

助産師は、看護師・准看護師・保健師と並ぶ看護職の1つです。ここでは、助産師を含めた4つの看護職の平均年収について比較します。

看護師 約492万円
准看護師 約413万円
助産師 約570万円
保健師 約476万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

助産師の平均年収は、看護系の専門職の中で最も高い水準を示しています。病院や有床診療所に勤務する助産師の場合、看護師・准看護師と同様に夜勤や残業、オンコール対応があるケースも少なくありません。勤務形態が似ていると考えられる看護師や准看護師と比べても、助産師の平均年収は約78万~157万円高いことは、魅力の1つと言えるでしょう。

保健師も助産師と同様に、看護師資格に加えて保健師資格が必要なダブルライセンス職であるため、看護師よりも高めの給与水準を示しています。ただし、保健師は「自治体などの公的機関の公務員となるケースが多い」「夜勤・残業が少ない」などの理由から、助産師よりも平均給与が低くなっていると考えられます。

助産師の年収が看護師よりも高い理由

助産師の女性

看護業界は慢性的に人手不足であるため、看護師の需要は非常に高い状態が続いています。その中でも、助産師は専門性の高さやニーズの多様化によって特に需要が高まっており、平均年収も上昇傾向にあります。

ここでは、助産師が看護師よりも年収が高い理由について、「専門性の高さ」「需要の高まり」といった2つの観点から解説します。

助産師になるのは簡単ではない

看護師よりも助産師の平均年収が高い理由の1つとして、助産師として働くまでの道のりが決して楽なものではないことが挙げられます。

助産師になるためには、大学や看護専門学校などの看護師養成課程を経て看護師資格を取得た上で助産師養成所で1年間学び、助産師国家試験に合格する必要があります。教育機関において看護師養成課程と並行して助産師養成課程で学ぶこともできますが、非常に多忙な学生生活となることは覚悟しなければならないでしょう。

また、看護師国家試験は言うまでもなく、助産師国家試験も周到な準備なしでは合格が難しい試験です。学生時代にしっかりと学業に励み、知識やスキルを身につけた上で試験勉強を行って、2つの国家試験に臨む必要があるでしょう。

助産師として働くということは、これらの課題・困難を乗り越えた上で就業するということです。看護師になるよりも難易度が高く、専門性も高いと評価されるため、看護師よりも助産師のほうが年収は高い傾向にあると考えられます。

産婦人科が減って助産師も少ない

近年では少子化が大きな社会問題となっている一方で、産婦人科の数や助産師の数が少ないために、助産師のニーズは依然として高い水準を維持していることも、平均年収の高さにつながっています。

厚生労働省によると、産婦人科・産科を標榜する一般病院数は2008年で1,496件ありましたが、2019年は1,300件と10年程度で減少しています。一般診療所も同様の傾向があり、2008年には3,955件あった産婦人科・産科クリニックは、2017年には3,327件にまで減っています。
(出典:厚生労働省「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」

出生数・産婦人科の施設数ともに年々減少傾向にありますが、毎年赤ちゃんが産まれることには変わりありません。高齢出産の増加により、厳密な体調管理を必要とする出産も増えました。そのため、以前よりも多忙になり、妊産婦や新生児のケアに関する専門知識を保持する助産師を求めている施設も多数存在します。

また、助産師は看護師資格と助産師資格の両方が必要である上、女性しかなれない職業です。そうした背景もあり、2018年における看護師の総数が約122万人であるのに対し、助産師の総数は約3万7,000人と大幅に少なく、人材不足が続いている状況です。
(出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

上記のような理由から、助産師の需要は高くなっており、ほかの看護職よりも恵まれた給料設定になっていることがうかがえます。

求人から見る! 助産師の平均年収

助産師の女性

これから助産師を目指している人や助産師として活躍し続けたい人が、求人情報の年収相場を知っておくことは非常に重要です。実態に即した助産師の年収を知れば、就職活動や転職活動の参考になるでしょう。

ここでは、実際の求人情報に基づく助産師の年収相場を紹介します。

【施設形態別】助産師の平均年収

助産師の平均年収は、勤務先の施設形態によっても異なります。職場別の大まかな業務内容とともにチェックしましょう。

病院 約450万〜550万円
クリニック・診療所 約400万〜500万円
美容クリニック 約450万〜500万円
施設(有料老人ホーム・老健など) 約300万〜330万円
訪問看護ステーション 約350万〜450万円
一般企業 約400万〜450万円
治験関連企業 約400万〜500万円
保育施設 約330万〜440万円
(出典:マイナビ看護師

大学病院・総合病院などの病院やクリニックといった、助産師の専門性を生かせる職場はほかの施設形態よりも平均年収が高い傾向にあります。その他の施設では給与水準がやや低下するものの、夜勤や残業が少なく休みも確保しやすいため、家庭と仕事を両立しやすいでしょう。それぞれの施設における助産師の主な仕事内容は下記の通りです。

●病院
正常分娩の介助や帝王切開のサポート、助産師外来における妊婦健診、授乳指導・栄養指導・沐浴指導、育児へのアドバイスなど、さまざまな業務に従事します。

●クリニック・診療所
有床診療所の場合、病院と同様に分娩介助など助産師の基本的な業務を担当します。クリニックによっては、育児相談やマタニティヨガ教室、ベビーマッサージなどの企画・実施も助産師の仕事です。

●美容クリニック
美容クリニックの中には、不妊治療を扱う施設も存在します。助産師は、主に不妊治療を受ける患者さんのサポートや医師の補助を行います。

●施設(有料老人ホーム・老健など)
デイサービスなどの高齢者向けの福祉施設では、看護師と同様に利用者の健康管理を主に担当します。障害児施設では、障害を持つ子どもたちの支援プラン作成や療育など、発達を促すサポート業務に携わります。

●訪問看護ステーション
助産師は、一般的な訪問看護師が行う看護業務のほか、乳幼児や学童の看護ケアも担当します。

●一般企業
医師や看護師に自身の健康状態を相談できる「メディカルコールセンター」において、健康相談員として活躍できます。利用者の健康上の悩みや疑問に対し、電話やメールなどで回答することが助産師の主な仕事となります。

●治験関連企業
治験関連企業では、治験コーディネーターなどとして、治験が円滑に進むよう医療機関をサポートする役割を担います。問い合わせへの応対や契約業務、治験に関する書類作成・整理など、さまざまな業務をこなします。

●保育施設
保育園や託児所などで、利用する子どもたちの健康管理や身体測定、各種健診、病気やケガなどへの応急処置、保健だよりの作成、保健指導などを担当します。職場によっては保育の補助も行います。

自分に合った働き方ができる職場を見つけるためには、収入面だけでなく業務の概要を理解することが大切です。年収の目安と併せて仕事内容も確認し、就職・転職の際の参考にしてください。

【勤務形態別】助産師の平均年収

助産師の収入は夜勤の有無によっても変動します。勤務形態ごとの助産師の平均年収には、以下のような違いがあります。

常勤(二交替制) 約450万〜550万円
常勤(三交替制) 約430万〜550万円
夜勤なし 約350万〜500万円
夜勤専従 約450万〜600万円
(出典:マイナビ看護師

多くの場合、助産師を含む看護職には、夜勤の回数に応じた金額の夜勤手当が支給されます。したがって、常勤(交替制)や夜勤専従のほうが、年収相場が高くなる傾向にあります。それぞれの勤務形態における助産師の働き方は下記の通りです。

●二交替制(日勤・夜勤)

  • 日勤…8時30分~17時30分頃
  • 夜勤…17時~翌朝9時頃

病棟における夜勤は長時間の勤務となるため、体力面や精神面でタフさが求められますが、夜勤回数は三交替制よりも少ないというメリットがあります。

●三交替制(日勤・準夜勤・深夜勤)

  • 日勤…8時30分~17時頃
  • 準夜勤…16時30分~翌1時頃
  • 深夜勤…深夜0時~翌朝9時頃

夜勤の数は二交替制よりも多くなるケースもありますが、1回あたりの勤務時間は二交替制よりも短めです。

●夜勤なし
入院病床のないクリニックや保育施設などでは、日勤のみの職員募集が行われています。また、二交替制や三交替制を採用している病院・クリニックにおいても、日勤のみの勤務が可能な職場もあります。

●夜勤専従
主に二交替制勤務を採用している職場で、夜勤業務のみを担当する勤務形態です。昼夜逆転の生活となりますが、「常に同じ時間帯で働ける」「効率よく高収入を得られる」というメリットがあります。

勤務形態の違いは収入の違いに直結するほか、プライベートと仕事との両立のしやすさや、キャリアアップの早さにも影響を及ぼします。体力面や精神面なども考慮しながら、自分に合った勤務形態を選びましょう。

助産師が年収アップを目指す方法

年収アップを目指している女性

助産師の平均年収はほかの看護職と比較しても高水準を示していますが、年収をさらにアップさせる方法もいくつか存在します。助産師が年収を上げるには、以下の3つの方法が挙げられます。

●看護師長や副看護師長になる
看護師長などの管理職は、業務の円滑化や助産師・看護師の教育などに携わります。基本給アップや役職手当の加算により収入増が見込めますが、「責任が重くなる」「上司と現場看護師・助産師との板挟みになる機会も多い」というデメリットもあります。

●助産所を開業して独立する
「助産師として5年以上の実務経験がある」といった開業条件を満たせば、助産所の独立開業も可能です。経営が軌道に乗れば高収入を見込めますが、「妊婦が集まる助産所にする」「助産所で一緒に働いてくれる人材を見つける」といった課題をクリアする必要があります。また、助産所を開業した場合、分娩や妊婦健診における責任者は自分自身となります。母子の命や健康を任されるという重責・リスクに耐えながらの業務となるため、精神力・体力や臨機応変な対応力も求められるでしょう。

●年収の高い職場に転職する
助産師としての知識や能力を磨きながら高収入を目指したい人は、年収の高い職場に転職することがおすすめです。管理職や経営者ほどの重責は負わずに助産師としての仕事に集中できるため、キャリアアップ・スキルアップを実現しながら収入アップを目指せるでしょう。

助産師が収入アップを狙える3つの方法を確認した上で、助産師として活躍して高収入を目指せるキャリア形成について考えてみましょう。

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まとめ

助産師は資格取得の難しさやニーズの高さなどの理由から、平均年収は約570万円と看護職の中でも高い給与水準を示しています。就職先の規模や年齢・経験年数、勤務エリア、施設形態、勤務形態によっても収入相場は異なるため、自分の希望条件に合った求人を複数確認した上で検討を進めましょう。

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