• 2021年10月26日
  • 2021年11月16日

助産師の仕事はきつい? 看護師との違いや大変と感じる理由・対策法も

 

助産師は新生児の誕生に立ち会える職業であり、他の専門職とは違ったやりがいを持って働ける仕事です。しかし、助産師として働く人の中には、助産師の仕事はきついと感じている人もいます。

助産師として働くにあたっては、助産師の仕事内容を知り、きついと言われる仕事で働けるかを考えておくことが大切です。

当記事では、助産師の基本情報から、主な仕事内容とやりがい・魅力、助産師の仕事がきついと感じる理由と対策法までを解説します。

助産師とは

助産師とは、女性の妊娠から出産までを助け、出産後も母子が健康な状態を保てるように支援する仕事です。助産師は名称独占の国家資格であり、助産師として働くためには助産師資格を取得する必要があります。

助産師の活躍する場所としては、病院・診療所・助産所が代表的です。助産師には開業権があり、自身で開業した助産所を経営する人もいます。

助産師と看護師の違い

病院や診療所で活躍する職種として、助産師の他に看護師もよく知られています。助産師と看護師の違いを、4つのポイントに分けて解説します。

●必要な資格・条件

助産師になるためには、看護師国家試験に合格した上で、さらに助産師資格の取得が必要です。なお、男性は助産師にはなれません。

看護師になるためには、看護師国家試験に合格する必要があります。看護師国家試験は性別に関係なく取得できます。

●サポートする対象

助産師の仕事でサポートする対象は、妊娠・出産などの問題を抱える女性や、生まれたばかりの新生児です。

看護師の仕事でサポートする対象は、病気や怪我で医療機関を利用する全ての人です。

●できること・できないこと

助産師は正常分娩のときに、医師の指示を仰がずに分娩介助を行えます。

看護師は、自分の判断で患者の診察・治療を行うことができません。医師の指示のもとに行う医療行為は認められています。

●勤務時間

助産師は、産科や入院施設のある病院では24時間体制となります。二交代制・三交代制のどちらかで勤務することになり、二交代制の場合は日勤が9時~17時、夜勤は17時~9時が一般的です。三交代制の場合は、日勤・準夜勤が16時~0時、深夜勤は0時~9時となります。

助産院で働く助産師は、勤務時間が不安定になりやすいことが特徴です。出産はいつ始まり、いつ終わるか分からず、分娩介助で長時間勤務が発生するケースもあります。

一方で、看護師は救急病棟勤務などのケースを除き、基本的にシフト通りの勤務時間で働けます。

助産師の仕事内容

助産師の仕事をする女性

助産師の仕事内容は、妊娠している女性のケアや出産時の分娩、出産後のサポートの他、新生児の保健指導も助産師の大切な仕事です。

助産師の仕事内容は、「外来」と「病棟」で違いがあります。外来の助産師は、医療機関を訪れた妊婦の診察や検査が主な仕事内容です。一方、病棟の看護師は、入院している妊婦の分娩介助や、帝王切開後の術後ケアなどを担当します。

また、助産師の仕事内容は、妊婦の時期によって区分されます。ここでは、妊娠期・分娩期・産褥期における助産師の主な仕事内容を解説します。

妊娠期

妊娠期は、妊娠確定前から出産の兆候が見られるまでの期間です。

●妊娠の検査・診断

問診や尿検査・エコーなどで、妊娠の検査・診断を行います。

●妊婦・胎児の健診と経過観察

妊娠が確定したあとは、月に1~2回の頻度で妊婦と胎児の健診を実施します。妊娠の経過観察も行い、異常妊娠を発見した場合は医師との連携が必要です。

●妊婦への指導や精神的ケア

正常な妊娠を継続できるよう、妊婦の食事内容や運動方法を指導します。妊娠中の悩み・不安について相談に乗ることも、助産師の大切な仕事です。

分娩期

分娩期は、妊婦に陣痛・破水などお産の兆候が見られてから、新生児を出産するまでの期間です。

●出産の準備・介助

妊婦・胎児の健康管理を行い、出産の準備を行います。分娩室とベッドを準備し、妊婦の食事・排泄介助することが主な仕事内容です。

●分娩介助

出産に入った妊婦へと声をかけたり、体をさすったりして、分娩介助を行います。初産の妊婦はパニックになることもあり、心身のケアを行うことも必要です。

●新生児の呼吸確立を援助

誕生した新生児が正常に呼吸を確立できるよう、吸引器で新生児の口・鼻・のどから粘液などをやさしく取り除きます。

産褥期

産褥期は、出産後から産後2か月までの期間です。

●産褥経過の観察・ケア

出産後の女性は、数日間の入院を行います。助産師は母子の健康状態を観察し、母親となった女性に赤ちゃんのお世話の方法を教えます。

●母乳指導

赤ちゃんへの授乳方法や、母乳がうまく出せないときのマッサージ方法を教えます。

●赤ちゃんのケア

赤ちゃんが正常な呼吸をできているか、体温調整に問題がないかなど、胎外の環境に適応できていることをチェックします。異常を発見したときは医師と連携し、適切な処置を行うことが大切です。

助産師のやりがい・魅力5選

助産師のやりがいを感じる女性

助産師は働く上で大きな責任が伴うことがあるものの、やりがいを感じられる瞬間も数多くある仕事です。助産師として働くやりがいや、他職では得られない魅力に惹かれて、助産師を目指す人も多くいます。

ここでは、助産師のやりがい・魅力と、それぞれのポイントやメリットを紹介します。

出産に立ち会える

助産師として働く最も大きなやりがいが、出産に立ち会えることです。出産は妊婦の人生を大きく変えるイベントであり、赤ちゃんにとってはまさに誕生のときでもあります。出産に立ち会って新しい命の誕生を助けることは、助産師ならではのやりがいを感じられる瞬間です。

生まれたばかりの赤ちゃんが元気に泣き出すと、付き添っていた妊婦の家族も明るい笑顔を見せてくれます。出産に立ち会った助産師に、妊婦が心からの感謝を伝えてくれることもあるでしょう。喜びであふれる光景を間近で見れることも、助産師として働く魅力です。

育児サポートができる

妊婦が出産後の産褥期には、助産師は育児サポートを行います。妊娠期から健診や経過観察をしてきた母子に出産後も寄り添い、赤ちゃんを健やかに育てる手助けができることは、助産師にとってやりがいを感じられるポイントなのではないでしょうか。

新米の母親は子育ての経験がないため、母乳のあげ方はもちろん、赤ちゃんの抱き上げ方やオムツの交換方法を知らない人も少なくありません。新米の母親に赤ちゃんのお世話の方法を教えることを通じて、助産師は自分の仕事が大切な役割を担っていることを感じられます。

長期的に働ける

人間の一生に欠かせない妊娠・出産と大きく関わる助産師は、需要が大きく長期的に働ける仕事です。助産師としての知識・経験は、妊娠・出産の場面に立ち会うほど蓄積されるため、年配になった後もベテランの助産師として働き続けることができます。

近年は、高齢出産を迎える妊婦も増えてきました。高齢出産の妊婦は、自分よりも年上で、かつ豊富な経験を持つ助産師を求める傾向があります。長期的に働いて経験を積み、多くの妊婦に信頼されることは、助産師にとって大きなやりがいを感じられる働き方といえるでしょう。

比較的高い収入を得られる

他の看護職と比較して、助産師は収入が高いことが特徴です。

下記は、助産師・看護師・准看護師の平均年収を比較した表です。

助産師 約570万円
看護師 約492万円
准看護師 約413万円
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

助産師の平均年収は約570万円であり、看護師よりも約78万円、准看護師よりも約157万円も高い年収を得られます。助産師になるためには、看護師免許と助産師資格の2つが必要となるものの、資格の難度に見合うだけの高い収入を得られることが魅力です。

独立できる

助産師は開業権を持っている仕事であり、独立して自分の助産院を開業することができます。助産師として多くの経験を積まなければ助産師の経営は成功できないものの、独立開業できることは看護師では得られない魅力です。

助産院を独立開業すると、自身が施設の長となって妊婦の出産をサポートできます。地域の育児相談やマタニティクラスの運営など、自分が取り入れたい活動を積極的に実施できる点も、独立開業のメリットです。

また、助産院を経営することで収入を伸ばすこともできます。助産師は長期的に働くことはもちろん、経験を積んでから独立できるなど、将来性がある仕事です。

助産師の仕事がきついと感じる理由6つ

助産師の仕事がきついと感じている女性

助産師の仕事はやりがいが多い分、仕事がきついと感じることもあります。助産師になることを目指す人は、やりがいや魅力ばかりを考えることはせず、実際の働き方にも目を向けましょう。

ここでは、助産師の仕事がきついと感じる6つの理由について、それぞれ詳しく解説します。

豊富な知識・高い技術が求められる

新人助産師の多くがきついと感じやすい理由が、仕事に豊富な知識・高い技術が求められることです。助産師の仕事内容は、妊婦や新生児の健康や命と深く関わりを持っています。新人助産師であっても失敗は許されません。

助産師として働く中で、先輩の助産師にミスを指摘されて落ち込んだり、ミスに気付かなかった自分に腹を立てたりすることもあるでしょう。しかし、最初から完璧な仕事ができる助産師はいません。助産師は、学び続けるきつさはあるものの、仕事を通じて知識・技術を習得することができる仕事だと言えます。

看護師と同様の業務が求められる

助産師の専門分野は、女性の妊娠・出産に関わる仕事であるものの、規模の大きな病院では看護師と同様の業務を求められることもあります。せっかく助産師資格を取得したにもかかわらず、助産師の仕事に専念できないことがきついと感じる人は少なくありません。

規模の大きな病院は助産師の数が多く、そもそも助産師が補助に回らざるをえない帝王切開での出産も増えます。助産師として仕事の経験を積みたい人は、助産師が必要とされている医療機関に就職しましょう。

仕事量の割に給料が少ない

助産師は勤務時間が不安定になりやすく、出産期にはいつでも対応できるようオンコール体制で働かなければなりません。助産師は平均年収こそ高いものの残業が多く、仕事量の割に給料が少なく見えて、きついと感じてしまいます。

仕事量の割に給料が少ないことは、仕事にまだ慣れていないときに感じやすいきつさです。まずは自分が担当している仕事の全体像を理解して、効率的に動ける部分はないかを考えてみましょう。助産師の人数を確保していて、仕事量の負担を抑えられる職場も存在します。

生活リズムが崩れやすい

生活リズムが崩れやすいことも、助産師がきついと感じる理由です。助産師の仕事内容である分娩介助や赤ちゃんのケアを担当する場合、深夜であっても出勤して働かなければならないケースもあります。

生活リズムが崩れると、体調も崩れやすくなります。助産師として働きながら、健康な身体状態を保つためには、休めるときに休む習慣を身に付けることが大切です。深夜勤務や長時間勤務をした次の日には休みを入れるなど、身体をいたわりながら働くようにしましょう。

激務によるストレスで人間関係がうまくいかない

助産師の仕事は激務になりやすく、仕事疲れや責任の重さを感じてストレスが溜まることもあります。激務によるストレスを感じていると怒りっぽくなり、ついトゲのある言葉遣いになることも少なくありません。職場環境で人間関係がうまくいかないことに悩む助産師は多くいます。

激務によるストレスで人間関係がうまくいかないときは、定期的にストレスを解消することがおすすめです。疲れを感じたらお茶を飲んだり、軽く運動したりして、気分をリフレッシュさせましょう。

中絶や流産・死産に立ち会うこともある

医療現場では、妊娠や出産といった明るい瞬間だけでなく、中絶手術の対応や妊娠期の流産、出産期の死産に立ち会うこともあります。妊婦と同じ女性である助産師にとって、中絶や流産・死産に立ち会うことは、きついと感じる瞬間です。

中絶や流産・死産といった辛い場面であっても、助産師は悲しむだけでなく、妊婦や家族への適切なケアを行わなければなりません。妊婦が最も悲しみの気持ちが強いことを理解して、心の傷を回復できるように声をかけてあげることが、助産師の大切な仕事です。

助産師を辞めたいときの対策方法5選

助産師を辞めたいと感じている女性

助産師として働いていると仕事を辞めたいと感じることもあります。助産師の仕事を辞めたいと感じたときは、そのまま働き続けず、冷静に状況を判断して行動することが大切です。

最後は、助産師の仕事がきつく、辞めたいと感じたときの対策方法を5つ紹介します。

辞めたい理由を明確にする

助産師を辞めたいと思ったときは、まず辞めたい理由を明確にしましょう。たとえば、給料額に不満がある場合は、「現在の仕事量であれば給料は○万円でもおかしくない」など、具体的な不満点を挙げます。

助産師を辞めたい理由を明確にすることで、自分が本当はどのような働き方をしたいかが分かります。実現したい働き方が分かったら、次に本当に助産師を辞めたいかどうかを考えてみてください。助産師を続ける・辞めるのどちらにしても、実現したい働き方が分かっていれば、自分にとって最善の行動を取ることができます。

指摘をスキルアップにつなげる

先輩の助産師からの指摘で自信をなくし、仕事を辞めたくなったときは、発想を切り替えることが大切です。やってしまったミスを指摘されて「怒られた」と萎縮せず、「次は同じ失敗をしない」と考えましょう。

ミスを指摘されたときは、自分がなぜミスしたかを分析し、ミスしないためには何をすべきだったかを考えることが大切です。指摘された内容をしっかりと考えることで、自分ができていなかったことが分かり、スキルアップにつなげられます。先輩の助産師の指摘から学ぶことも、助産師が知識・技術を習得する方法の一つです。

アドバンス助産師の資格を取得する

現在働いている職場において、自分の助産師としての力量を認められていないと感じる場合は、アドバンス助産師の資格を取得することがおすすめです。

アドバンス助産師とは、日本助産評価機構が審査する「CLoCMiPレベルⅢ認証制度」に認証された助産師のことです。アドバンス助産師の資格を取得すると、助産についての高度な知識・技術を有していることが客観的に証明されます。

アドバンス助産師は5年ごとの更新制で、更新する場合は5年間のうちに必須研修・ステップアップ研修を受講することが必要です。アドバンス助産師の資格を維持することで、助産師の仕事に役立つ勉強も同時に行えます。
(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「アドバンス助産師とは」

看護師として働く

助産師の仕事が自分に向いていない、身体がきついと感じたときは、看護師として働くことも検討してもよいでしょう。助産師は看護師国家試験に合格している人であるため、希望すれば看護師として働くことも可能です。

看護師は基本的にシフト制で働く仕事であり、助産師よりも勤務時間が安定しています。また、給料額は下がる傾向にあるものの、助産師の仕事によるストレスから解放されるでしょう。病院や診療所で働いていた助産師であれば、看護師の仕事にもすぐ馴染めます。

転職を検討する

現在の職場では働き続けられないと感じたときは、助産師として転職を検討することがおすすめです。助産師は専門的な資格であり、大学病院や総合病院はもちろん、産婦人科クリニックにおいても需要があります。

助産師の資格や知識・経験を活かせる働き方ができる点も、転職を検討するメリットです。助産師として活躍できる職場で働きたい場合は、年間の分娩数が多い転職先を選びましょう。

助産師の求人を探すなら、マイナビ看護師がおすすめです。マイナビ看護師では助産師の求人情報を豊富に登録しており、仕事内容・給与・職場の雰囲気などをチェックすることもできます。

まとめ

助産師は、妊娠期・分娩期・産褥期における妊婦や新生児の誕生・育児をサポートする仕事です。助産師の仕事は、出産に立ち会えることや育児サポートができること、収入が高いことなど、多くのやりがい・魅力があります。

助産師の仕事がきついと感じる理由は、仕事に豊富な知識・技術が求めること、激務になりやすいことなどが挙げられます。

助産師を辞めたいと感じたときは、辞めたい理由を明確にして、自分にとって最善な対策方法を選択しましょう。助産師の転職活動には、ぜひマイナビ看護師をご利用ください。

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