仕事をするうえで、やはり気になるのはお金のことではないでしょうか。今回は看護師1000名へのアンケート結果をもとに、看護師の年収の傾向を分析しました。給与明細をもとに年収を計算する方法や手取り額の計算方法なども合わせてご紹介しますので、自分の収入を見直す際の参考にしてみてください。
1. ナースの年収をチェック
今回のアンケート(※)では、看護職員として働いている20代と30代の男女1000名を対象に、現在の年収(額面金額)を聞いてみました。
■20〜30代の看護師の年収(額面金額)
※2019年1月実施「マイナビ看護師アンケート」(楽天インサイト調べ)
最も多かったのは「400万円~450万円未満」の18.1%で、次点で「350万円~400万円未満」(15.7%)と「450万円~500万円未満」(14.7%)が続きます。
また、年代別に見ても20代・30代ともにボリュームゾーンは同じで、年代別の分布状況に大きな差が見られませんでした。
同アンケートにて、せんだって就業状況について調査したところ、複数の職場で働いたことがある人の割合は、20代が48.5%、30代にいたっては71.9%に達していました。年収は勤続年数の影響を受けやすいことから、転職を経験する人が多い看護職員の年収は、年代による差が出にくい傾向にあると考えられそうです。
2. 給料明細から自分の年収を計算してみよう
「年収」「月給」「月収」「手取り」の違い
給料の話をするときには「年収」「月給」「月収」「手取り」など、さまざまなキーワードが登場します。まずは、それぞれの意味と違いを覚えておきましょう。
■年収:1年間に支払われる賃金の総額
賃金には毎月決まって支払われる基本給や役職手当のほか、残業手当や期末手当、ボーナスなどがありますが、これら1年間に支給される賃金の総額が「年収」です。
■手取り:現金として受け取る(振り込まれる)金額
賃金から社会保険料や所得税、住民税などを差し引いた金額を「手取り」と言います。手取りは実際にもらえるお金で、月給として提示された金額より少なくなるのが一般的です。
■月給:毎月決まって支払われる賃金の額
基本給や役職手当などは、毎月固定して支払われる賃金です。1カ月単位で決まって支払われる賃金の合計額を「月給」と言います。なお残業手当や通勤手当などは変動するため、月給には含まれません。
■月収:年収を12分割した金額
年収を12分割して、1カ月当たりの支給額に換算したものが「月収」です。実際に給料が支払われるときには社会保険料や税金などが控除されますが、月収は社会保険料や税金が控除されていない金額で算出されます。
<月給と月収の違い>
給与明細を見てみよう
給与明細は主に「勤怠」「支給」「控除」の3つの要素からできています。名称や具体的な項目は職場によって異なりますが、重要なポイントは同じですので、それぞれの意味を覚えておきましょう。
■勤怠
勤務日数や欠勤日数、残業時間、有給消化日数、有給残日数など、1カ月間の勤務状況が記載されています。給料は勤怠をもとに計算されるため、給与明細をもらったら、まずは勤務日数や残業時間などに間違いがないか確認をしましょう。
■支給
基本給に加え、役職手当、残業手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、扶養手当など、勤務先から支給されるさまざまな金額が記載されています。
■控除
厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険などの保険料や、所得税、住民税など、給料から差し引かれる項目と金額が記載されています。そのほかには財形貯蓄の金額や労働組合費、互助会会費など、給料から引かれるさまざまな項目があります。
自分の年収を調べてみよう
自分の年収を調べるには、職場からもらう源泉徴収票の「給与・賞与」の項目にある「支給金額」を見てみましょう。「支給金額」には社会保険料や税金などが控除される前の金額が記載されており、その12カ月分の金額が自分の「年収」になります。
職場にもよりますが、源泉徴収票が受け取れるのは多くの場合12月~1月頃です。働き始めて間もない方や源泉徴収票がない方などは、給与明細をもとに自分の年収をおおまかに計算してみましょう。
このときに注目したいのは、 給与明細の「支給」欄です。支給欄に記載されている基本給、役職手当、残業手当、家族手当、住宅手当、扶養手当などを合算して、1カ月間に支給される給料を計算します。そして、その金額を12倍(12カ月に換算)し、さらに年間の賞与の見込み額を合算すればおおまかな「年収」が計算できます。
年収≒(1カ月の給料×12カ月)+年間のボーナス支給額
給与明細をもとに年収を計算しようとすると「給料に含まれる手当はどれだろう……」と迷ってしまうことがあります。国税庁が定める法令によると、支給される手当は原則として「給料」とみなされますが、通勤手当の一部などは例外として非課税の措置が取られています。そのため、交通費として支払われる通勤手当などは、年収から除外してもかまいません。国税庁ホームページによると、例外として、下記のような手当は非課税となることが定められています。
(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの
※交通費の非課税額の上限は、通勤方法や通勤距離によって異なります。
※通勤手当の取り扱いは、勤務先によって異なります。正確な年収を計算する場合には、勤務先に通勤手当の内訳を確認してください。
3. 月収・年収から手取り額を逆算してみよう
転職や就職のための活動をしていると、条件を月収や年収で提示されることがあります。しかし、月収や年収は手取り額よりも多いため、実際に給料をもらうと、予想よりも少なくがっかりしてしまうこともあります。そこで、給料などの条件が提示されたときには、手取り額がどのくらいになるのかをおおまかに計算してみましょう。
給料から控除される社会保険料や税金の額などは、所得金額や家族構成などによって異なります。そのため、一律に計算するのは困難ですが、目安としては「月収・年収として提示された額の80%くらいが手取り額」と覚えておくと便利です。
例)年収400万円・単身者の手取り額の目安
・年収400万円の方の手取り額は約316万円です
・ボーナスを考慮しないで計算すると、毎月の手取り額は約26万円です
・年間のボーナスを80万円とした場合、毎月の手取り額は約21万円です
<控除される社会保険料と税金の内訳>
・年間の社会保険料 約58万円
・年間の所得税 約8万7000円
・年間の住民税 約17万円
※手取り額はあくまでも目安で、実際と異なることがあります。
※社会保険料(健康保険・厚生年金)は標準報酬月額33万円・東京都にて試算しました。
※所得税・住民税は配偶者控除や住宅ローン控除などを考慮していません。
※住民税は前年の所得をもとに計算されますが、計算上、年収400万円で試算しました。
※住民税の税率は住んでいる地域により異なりますが、一般的に適用されている10%で計算しました。
4. まとめ
看護職員の多くが転職を経験しており、年収は勤続年数の影響を受けていることがわかりました。転職・就職活動で給料が気になったときには、「〇年間務めると、どのくらいの年収になりますか」など、具体的に質問してみるといいかもしれませんね。
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