働く人であれば、ほとんどの方が一度は経験する「転職」もしくは「退職」。しかし、このまま働き続けるかどうか迷ってしまい、なかなか決断できないこともあるかと思います。今回は、転職や退職にまつわる「決断」をテーマにお伝えします。
思考だけでなく感覚も大切に
私の場合、一度目の転職を決意し、行動に移すまで実に2年以上の月日を要しました。当時は業務の忙しさはもちろん、係の仕事にともなう長時間労働も慢性的に続いていたため、事あるごとに「いつか絶対に辞めよう」と考えてはいたのです。しかし、なかなか転職の決断ができなかったのは、「看護師としての希望や目標がなかった」ことと、「急いで転職をする必要がなかった」ことが理由でした。
長い間、転職するかどうか迷いながらも、忙しさに流されていく日々。そんなある日、とある小さなできごとに遭遇した途端、「あ、もう限界だ」という思いが瞬間的に湧きあがりました。そして、その場で迷いなく退職を決意し、翌日には転職先の病院で面接を受け、採用の内定をもらったという経験があります。その決断は「考えに考え抜いた末」というよりも、何の前触れもなく訪れた「直感」に近い感覚でした。
決断がなかなかできない理由は、「未来」や「自分の決断の是非」がわからなくて不安が消えないからだともいえます。しかし、未来を憂いているうちは、迷いもなかなか消えません。ですから、「たとえ、どのような選択をしても未来は何とかなるし、自分には何とかするだけの力がある」と信じることが必要です。また、頭で考えるのではなく、「何となく気になる」などの感覚を信じることもひとつの方法です。
時には流れに身を任せてみる
私はカウンセリングにおいて、転職を迷っている人に対し、「『いくら考えても決断ができない』のは、『決断にふさわしい時期』ではないともいえるので、流れに身を任せたほうがいいかもしれない」という話をしています。
本当にその人にとって「決断」が必要なときは、それが好むと好まざるとにかかわらず、事態は進展していくもの。迷い続けている状態は、知らず知らずのうちに精神的な負荷がかかります。
ただでさえ緊張やストレス、身体的な負担の大きい仕事を続けているのですから、ご自身のなかで無理に決断をしようとせず、流れに身を任せるのもひとつの方法ですよ。