2018年度 診療報酬・介護報酬ダブル改定の要点 <各論5:外来・救急・リハビリテーション領域の改定ポイントは?>
初診料の機能強化加算が増収のカギ
2018年3月17日(土)は東京、3月25日(日)は大阪にて、マイナビ主催の診療報酬・介護報酬改定セミナーが開かれました(第1部として診療報酬・介護報酬改定の、第2部として調剤報酬改定のポイントを解説しました)。講師にお迎えしたのは、ベストセラー『医療費のしくみ』の著者でもあり、診療報酬・介護報酬の裏側まで知り尽くす斯界の第一人者、高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋氏です。今回は、診療報酬改定の各論5として、外来医療・緊急医療・リハビリテーションに関する改訂のポイントを紹介します。
外来医療に関して、今次改定ではかかりつけ医機能を充実させることに主眼が置かれています。入院や在宅医療へ移行したため外来を受診しなくなった患者についても、かかりつけ医が継続的に関わる方向性が打ち出されたこともポイントだといえるでしょう。 最も大きな変更点は地域包括診療料および認知症地域包括診療料に関するもので、従来に比べて点数の高い「地域包括診療料1」「認知症地域包括診療料1」が新設されました。 施設基準にもいくつか変更があり、例えば地域包括診療料1では、外来から訪問診療への移行に関する実績として、「直近1年間に、当該医療機関での継続的な外来診療を経て、在宅患者訪問診療料Ⅰ-1、在宅患者訪問診療料Ⅱ(注1のイの場合に限る)または往診料を算定した患者の数の合計が10人以上」「直近1か月に初診、再診、往診または訪問診療を実施した患者のうち、往診または訪問診療を実施した患者の割合が70%未満」であることを満たすこととされました。つまり、外来診療をこなしつつ、外来患者が在宅移行した場合もかかりつけ医が継続して診療にあたることが求められています。
また、初診料には「機能強化加算」が新設され、かかりつけ医機能を有する医療機関を評価しています。かなり算定要件のハードルが低いうえ、算定する機会も多いので、これを積極的に取りにいくことが医療機関の増収のカギとなるでしょう。
なお、初診料や外来診療料が減算となる「大病院」の定義が変更され、(1)特定機能病院、(2)許可病床400床以上の地域医療支援病院、(3)許可病床400床以上かつ一般病床200床以上の病院が該当することになりました。これらに該当し、初診患者に占める紹介率などが低い場合は、初診料や外来診療料が減算されます。そうなると「大病院」は外来患者数を抑制し、入院患者数を増やすことになるでしょう。その影響は、いわゆる門前薬局へも及ぶことが考えられます。
救急医療の充実度を細分化して評価
救急医療に関しては、救命救急入院料の「救急体制充実加算」が新設され、従来に比べて細分化したかたちで救急医療の充実度(S~B)を評価し、それに応じた点数をつけることになりました。
「特定集中治療室管理料」については、施設基準として「集中治療に関する適切な研修を修了した看護師が配置されていること」、算定要件として「生理学的スコア(SOFAスコア)の入退室時の測定」などが追加されました。また、「早期離床・リハビリテーション加算」(1日500点/14日限度)が新設されました。 そのほか、夜間休日救急搬送医学管理料の「救急搬送看護体制加算」(200点)の新設や「院内トリアージ実施料」(300点)の改定などでも専門性を有した看護師の関与が想定されており、人手不足に陥りがちな現場において医師のみならずコメディカルの活躍が大いに期待されているといえるでしょう。
必要に応じて介護保険によるリハビリテーションへの移行を後押し
リハビリテーションについては、早期に患者の在宅復帰を進め、必要に応じて介護保険へ移行させる観点から調整が図られています。 大きな変更点として、要介護・要支援被保険者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリテーション料が2019年3月末で算定できなくなります。一方で、通所リハビリテーションを同時に実施する場合の施設基準が緩和され、一定の要件を満たせば疾患別リハビリテーションの実施期間中であっても、疾患別リハビリテーション専従の従事者が介護保険のリハビリテーションに従事しても差し支えないとされました。 さらに、医療から介護への連携をスムーズにするため、「リハビリテーション総合計画評価料」「リハビリテーション総合計画提供料」が見直されています。
メディカルフォーラム当日の配布資料について
メディカルフォーラム当日の配布資料(第一部、第二部)が、以下からダウンロードが可能です。 ■【第一部】診療報酬・介護報酬改定 当日配布資料 ■【第二部】調剤報酬改定の概要と経営戦略 当日配布資料
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