• 2017年9月5日
  • 2021年10月14日

72時間ルール変更による夜勤負担を減らすには? みんなの夜勤手当はどれぐらい?

 

夜勤「72時間ルール」が招く問題と現状

夜勤「72時間ルール」は看護師の業務負担を軽減させるための対策にも関わらず、すべての看護師の夜勤が減らすことはできていない状況です。
ただ、現場の看護師としては、夜勤を多くやりたいと希望している人もいれば、夜勤は少しでも少ないほうがいいと希望している人もいて、1人ひとりのニーズが異なります。たとえば、「72時間ルール」を守るために、独身の若い看護師に夜勤を集中させることで解決しようとした場合。その看護師が「本当はあまり夜勤をやりたくない」と考えているとしたら、それが不満や負担になり、離職につながる原因となります。
夜勤「72時間ルール」だけでは、看護師それぞれの夜勤に対するニーズまで反映させることができないのです。

看護師の夜勤負担を減らすには?

そうはいっても、病棟単位で「72時間ルール」を順守するためには、夜勤回数をすぐに見直すことは困難です。となると、夜勤の多さを少しでも不満に思わないように、夜勤自体の負担を軽減させる対策を考えていく必要があります。
たとえば、中央社会保険医療協議会による看護師長への調査では、「看護師業務を減らすために、看護助手を夜勤スタッフとして加えることが効果的である」という意見もみられます。こういった現場の意見をスムーズに反映するために、看護助手や病棟クラークスタッフを夜勤配置した病院へ、診療報酬加算を設けるのも、ひとつの対策として考えられるのではないでしょうか。

参照:看護職員の負担軽減策の効果 中央社会保険医療協議会

みんなの夜勤平均額はどれぐらい?

このように看護師のストレスや負担の原因ともなっている夜勤ですが、手当はどうなのでしょうか? 二交代夜勤では、2014年の平均額は10,859円、2016年は10,772円と減額しています。三交代制夜勤でも、準夜勤の平均額は2014年の4,190円から、2016年は4,076円、深夜勤の平均額は2014年の5,259円から2016年は5,023円と同じように減額。負担の大きい夜勤の手当が減ってしまっていることも、看護師の離職につながっていると考えられます。待遇面においても、今後の改善が期待されます。

参照:2016年 病院看護実態調査 日本看護協会

まとめ

看護師の夜勤をめぐっては、その負担が離職につながってしまうことが大きなキーワードとなりますが、夜勤「72時間ルール」だけでは抜本的な解決に至らないのが現状です。今後は夜勤業務自体の負担軽減策や、夜勤手当の見直しをしていく必要があるのではないでしょうか。

文:看護師 水谷良介

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