• 2017年1月17日
  • 2021年11月16日

大卒プラス2年で看護学学士/看護師国試の新傾向

 

全国初! 大卒プラス2年で看護学学士がとれる-聖路加国際大学

聖路加国際大学は、4年制大学を卒業した人であれば、プラス2年の看護教育課程を受けることで、看護師国家試験の受験資格と看護学の学士が取得できる課程の開設を発表しました。卒業した大学・学部は問わないということで、これは全国でも初めての試みです。これまで、この2つの資格取得には、4年制の看護大学卒業が必要条件でした。

これが2年に短縮されたのは大きな魅力です。とくに看護学学士は、実際に病院に就職した際に、基本給の上乗せや別途手当がつくことも少なくありません。資格+学歴の組み合わせは高く評価され、スムーズにスキルアップをするきっかけにもなるでしょう。

近年では、4年制大学を卒業してから専門資格に魅力を感じて看護の道をめざし、新たに3年制の看護専門学校に入学するケースも多く見られます。

しかし、病院に就職するころには20代後半となり、すでにキャリアを積んだ同年代の看護師たちと比べると、焦りを感じることもあるでしょう。聖路加国際大学開設により、少しでも短い期間で資格を取得できる効果は大きいといえます。

ただ、通常3~4年の教育課程が必要な看護学のカリキュラムはかなりボリュームがあります。それを短期間にぎゅっと詰め込んでしまうため、学習のペースは少し早足になるかもしれません。

臨地実習もタイトになり、実習では、レポートなど多くの課題があるので、学生の負担が大きくなる可能性もあります。最終目標である、卒業試験や国家試験への準備不足につながることも考えられるため、ハードな教育課程についていける人材と指導者、環境の整備が必要といえるでしょう。

関連リンク:全国初「大卒プラス2年で看護学学士」課程- 聖路加国際大が開設へ、他大学文系卒もOK

「看護師国家試験」昔と今で傾向がさま変わり!

みなさんが受験したころとは、国家試験の内容や傾向が変わりつつあるようです。厚生労働省は、2017年2月に実施される「第106回看護師国家試験」において、より臨床を想定した問題傾向にしていく方針を打ち出しました。

新傾向としては、「看護の統合と実践」科目の問題強化が検討されています。この科目では状況設定問題が出題されますが、問題となる事例がより臨床のリアルさを追求したものや、今日の社会情勢を反映したものとなることが予想されます。

また、既存の出題基準項目の「看護におけるマネジメント」、「災害と看護」および「国際化と看護」以外に、「複数科目の知識を統合する能力」や、「多重課題や集団へのアプローチに必要な広い知識」、「複数患者さんへのアセスメント能力」などを問うような内容が予想され、状況設定問題の数が増える、配点の割合が上がるなどの可能性も考えられます。

受験者には、事例に対してどんなアセスメントをし、どの看護サービスを提供する必要があるのか、判断能力が求められる問題になるでしょう。また、さまざまな問題点や疾患が合併した多重課題が突きつけられたなかで、どう優先順位をつけて看護を提供するか問われる内容になりそうです。

参考:厚生労働省「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書(案)」

文:看護師 水谷良介

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