• 2019年12月12日
  • 2022年5月13日

映画「家族を想うとき」~是枝監督も絶賛! 衝撃のラストは劇場で!

 

一般企業での働き方改革が進むなか、過重労働である医療の現場においても働き方改革が叫ばれています。しかし、慢性的な労働力不足・人手不足で、疲弊した看護師が7割以上(マイナビ調べ)というのが現状です。「私たちはなぜ・何のために働くのか?」「家族のあり方とは?」12月13日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される、ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』は、見る側にそんな問いを投げかける作品です。

作品情報
『家族を想うとき』
12/13(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
予告動画:『家族を想うとき』12.13(金)公開/日本版予告(外部サイト)

 

配給:ロングライド
© Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019

名匠ケン・ローチ監督×是枝裕和監督 初対談が実現!

日本でも大ヒットとなった『わたしは、ダニエル・ブレイク』など、カンヌで最高賞パルムドールを2度受賞している英国の名匠ケン・ローチ監督と、彼を「師」と仰ぎ『万引き家族』で同じカンヌで最高賞を受賞している是枝監督。ともに貧困や差別、社会の暗い部分に目を背けず作品を描き続ける彼らの初対談がNHK「クローズアップ現代+」で実現し、話題を呼びました。是枝監督は、映画の役割について聞かれると「見た人に悶々として欲しい」と語っています。本作はまさにそんな作品といえるでしょう。

家族を幸せにするはずの仕事が、家族との時間を奪い、引き裂いていく――

【ストーリー】主人公の父リッキーは、マイホーム購入の夢を叶えるため、フランチャイズの宅配ドライバーとして働きはじめ、母アビーはパートタイムの介護福祉士として時間外まで一日中働いていました。1日14時間以上の労働や、過酷なノルマ、過密シフトは、楽しい家族団らんの時間を容赦なく削ります。次第に寂しさを募らせる子どもたち。すれ違い生活の中、家族の絆は崩壊していきます。

映画界からの引退を表明していた監督が、なぜ再びメガホンを握ったのでしょうか? 本作で監督が描きたかったのは「労働弱者の怒り」にほかななりません。グローバル化が加速する中で起こる「働き方問題」と、それに翻弄される「現代家族の姿」という世界中どこにでも起こりうる悲劇を監督独自の視点で描きます。

町山広美も絶賛「権利と自由を奪われていると気付かされる」

公開に先立ち、11月28日(木)、東京・渋谷ユーロライブでは、放送作家・コラムニストの町山広美さんと、フリーライターの武田砂鉄さんによるトークイベントが開催されました。平日にも関わらず、会場には多くの映画ファンが訪れ満員御礼となりました。

「ヤクザ映画を観たような気持ちになった(笑)」という、町山さんのキャッチーな表現ではじまったトークイベント。武田さんは「横田増生さんの『潜入ルポ amazon帝国』を読むと、この物語の構図と似ていて。同じようなシステムなんだなと感じた」と作品について分析しました。

また「作品性はもちろん、映画で描かれている理不尽さは、今の日本でも起きてるよなと思いながら観ていた。これが、そのまま日本版として、こういう風に生きている人もいるわけで。だからこそ、どういう風に改善していくのか、模索する必要性があると感じた」と、武田さん。

町山さんは「本作と、前作の『わたしは、ダニエル・ブレイク』は兄弟のような作品。両作に通じるのは、身近にいる人に優しくする、その権利と自由すら奪われていることを気づかせてくれる映画だということ。ぜひ2作あわせて観ていただきたい」と熱い思いでイベントを締めくくりました。

83歳を迎える映画界の至宝が命を燃やして贈る『家族を想うとき』。衝撃のラストに監督の本作への意気込みが感じられます。監督が作品に込めた、未来を生き抜くためのメッセージに、きっと心揺さぶられるでしょう――。

取材・文:ナースプラス編集部

作品情報
『家族を想うとき』

12/13(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

予告動画:『家族を想うとき』12.13(金)公開/日本版予告(外部サイト)

監督:ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジミー、野を駆ける伝説』
脚本:ポール・ラヴァティ『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジミー、野を駆ける伝説』
出演:クリス・ヒッチェン、デビー・ハニーウッド、リス・ストーン、ケイティ・プロクター
2019年/イギリス・フランス・ベルギー/英語/100分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/ 原題:Sorry We Missed You/日本語字幕:石田泰子 提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド

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<監督プロフィール>
ケン・ローチ
イギリスの映画監督。労働者階級や移民・貧困・格差社会などの社会問題に焦点を当てた作品を数々手がける。2016年に制作した前作『わたしは、ダニエルブレイク』(2016年)は世界中で称賛を受け、2006年に制作した『麦の穂をゆらす風邪』に続き、カンヌ国際映画祭で2度目のパルムドール賞を受賞。前作を最後に引退宣言をしていたが、イギリスの貧困・格差社会を目の当たりにし、どうしても伝えたい物語として、本作を制作した。

著者プロフィール