患者さんの不安や不満に対し、適切な対応を怠ると、場合によってはクレームへと発展する場合があります。今回は「不安や不満をクレームにしない接遇マナー」についてご紹介します。
傾聴する
患者さんが不安や不満を訴えてきた場合、欠かすことのできない対応は「傾聴」です。また内容によっては「お詫び」も必要となりますが、必要以上に下手にでることで、相手側が「自分が上位」という認識を強めてしまうこともあります。出来事の経緯が明らかになるまでは全面的に非を認めることは避け、「ご気分を害してしまったことをお詫び申し上げます」のように「相手に不快な思いをさせてしまった」という点に対してのみ、詫びるようにしましょう。
共感しつつ要点を伝え返す
不安や不満がたまったままの患者さんに傾聴のみを続けると、当時の心境を思い出し、怒りが助長される場合があります。傾聴しつつも共感を交え、「おっしゃっていることは○○と××ということでよろしいですか?」と適宜、要点を伝え返しましょう。また、話が終了する際も、双方の受けとめ方に差異がないよう、必ず「それでは、改めてご確認させていただきます」などの文言を述べたあと、どのような対応をするのかを明確に伝えましょう。
<伝え方の例>
今、お伺いしたお話につきましては、今日中に上司に伝え、2日以内にお返事できるようにいたします。ただ、上司のスケジュールが現時点ではわかりませんので、もしお返事が先延ばしになりそうな場合は、私から改めてその旨をご連絡します。
<クレームに変わりやすい要因>
- ・対応の遅さ
- ・誠実さの欠如
不安や不満がクレームに変わる要因として「対応の遅さ」「誠実さの欠如」などが挙げられます。患者さんが訴える内容によっては組織としての対応が必要な可能性もあるため、可能な限り早く上司に報告しましょう。また、患者さんにも「何をいつ、誰に報告をするのか」を明確に伝えるよう心がけましょう。
看護師/カウンセラー 坂口千絵